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ファッションとか化粧の話 その4・前半(お題箱より)

毎月生活がカツカツである。それはまあわたしがおたくで円盤やらグッズやら本やら漫画やらコスプレ衣装やらに課金することをやめられないというのも一因なのだけれども、それ以上に、恥ずかしながら私が多重債務者だからである。

何で借金しているのか。和服である。

というわけでファッションとか化粧の話最終回、和装の話をします。最終回と言いつつ前後編に分けたのは気合を入れて書いていたら結構なボリュームになってしまったからです。本当長くてすまない。

さて、和装(着物)というと一歩引いてしまう人は多いんじゃなかろうか。年配の方が国立劇場の行き帰りでしゃなりしゃなりと着ているとか、あるいは銀座のママさんが着てるとか、浴衣は着るけど着物は難しそう…なんていうイメージがあるんじゃないだろうか。
今回は一問一答形式でそのイメージをあらためつつ1人でも多くの方に和装の楽しみを知っていただきたいなと思います。

着付けが大変じゃないの?

着物を着る時の心理的ハードルのひとつがこれだろう。
だがまったく萎縮する必要はない。ちょっと着付けの本を読むだとか、最近ならYoutubeなんていう武器もあるので、そういうのを見ながら少し練習すればすぐできるようになる。確かに一発できちんと着るのは難しいかもしれないが、ちゃんと工程を踏めば誰でも着崩れない着付けができるはずだ。
でも街中に着付け教室ってあるじゃない?CMも流れてるじゃない?と思う向きもあるかもしれないが、私の想像だとあんなのは業界の陰謀である。趣味で着るだけならわざわざ安いとは言えない料金を払ってまで人に習う必要などない。わからないことがあれば着物屋さんにアドバイスを仰げばいいし、お店によってはワンコインの着付け講座を開いているところなどもある。結婚式など、絶対に失敗できない場に行くからと不安なのであればそのときだけ着付けを頼めばいい。
着付けがちょっと乱れていると難癖をつけてくる輩ははっきり言って老害なので無視してよい。だいたいが現代着付けの歴史は浅く、市井の人々が洋服を着るようになってからこちらのもので、それ以前の着付けはだいぶユルかった。大正あたりの風俗写真を見るとわかる。そりゃ日常着を毎日かっちり着付けているわけがない。
webサイトや本や動画を見ていると説明がまちまちなのにも気づかれることだろう。要するに仕上がりが整っていさえすればいいのだ。
ただ、帯結びのハードルはたしかに高い。しかし便利なもので、現代には「作り帯」という、あらかじめ形がつくってあるワンタッチの帯がある。帯に凝ろうと思わないのであれば、最初はこれで十分だ。

ということで着付けに関してはご安心だ。
あ、でも最低限あわせの左右だけは気をつけたほうがいいと思う。

ルールがややこしくない?

これもよく言われる。冬にはこれ、春と秋にはこれ、真夏にはこれは着てはダメで云々…みたいな季節感の話と、やれ付け下げだ訪問着だ結婚式にはこれを着ていったらどうとかなんとか、という「格」の話だ。

これも簡単な話で、前者に関しては、たとえば真夏にコートを着ているのが変だとか、逆に真冬にタンクトップで短パンはありえないとかというのと同じようなことだ。単純に夏に袷(裏地のついたもの)を着ていたら暑いし、冬に単衣(裏地のないもの)や絽(透け感のあるもの)を着ていたら寒いというだけの話である。着物関連のサイトや本にはこの季節にはこれ、と書いてあるが、そんなに厳密に考えなくても良いと思っている。地域差もある。北海道と関東で同じことを一概には言えないし、そういうのは目安として考えておけばいいだろう。

後者に関してはたしかにややこしいが、これも洋服に例えるとわかりやすい。普段はTシャツにジーンズでもお呼ばれの席ならジャケット、結婚式ならパーティードレス、みたいな話である。こう書くと細かそうだが、これもざっくり考えてしまえばいい。
総柄のものは小紋といい、これが最もカジュアルなものである。私のコレクションも一枚をのぞいてすべて小紋だし、売っている数も一番多い。ハレの席でどうしたらよいかわからなければこれもお店の人に尋ねれば確実だ。私だって付け下げと訪問着の違いはぱっとわからない。
個人的には趣味で出かけるぶんにはどこにどれを着て行ったって構わないと思う。

ので、小紋がカジュアル、その他が格式張ったやつ、とだけ覚えておけば十分。どこにどれを着ていったらよいかわからなかったら都度詳しい人に聞けば間違いない。

そもそも可愛いのがない!

いわゆる”和柄”的なものや古典柄・伝統柄を想像して言っているのじゃないかと思うのだが、それは大きな誤解だ。かつてはどうだったか知らないが、現代にはかわいい着物がたくさんある。以前noteで書いた通りわたしはオフィスカジュアルなどクソ食らえと思っているハデ好きなので、もし着物がみんなそんなだったらそもそも着る気になどなっていない。

ということでわたしの着物コレクションをいくつか自慢させてください。ちなみに着物の写真を撮ったことがないので撮り方がよくわからなかった。

大手の着物チェーンでも最近では若者向けというか、ちょっと気の利いた柄の着物や小物を出すラインを作っているところがある。「着物のやまと」が展開している「なでしこ」がそれにあたる。わたしはここで友人の結婚式に着ていく着物を仕立ててもらった。これです。

ちなみにこれは「付け下げ小紋」という伝統的にはなかった新しい格で(文字通り小紋と付け下げの模様の合わせ技)、たとえば明治神宮でやるような格式高い式に着ていくのはちょっと…ということらしい。こう書くとやっぱりややこしいかもしれないな。

こちらはモダンアンテナさんの小紋。

ロックというかレゲエというか。何だ。とりあえず持っているもののなかで一番のお気に入りだ。

これは中古着物屋さんで買ったもの。裾に棉が入っている珍しい仕立て。ちなみに3000円でした。

もう少しご紹介しよう。わたし自身持っていないけれど今後欲しいブランドたちだ。
iroca
さん。ネオンカラーや大胆なプリントを使ったかなりインパクトのある着物がある。蝶々、くらげ、果ては微生物柄の着物などここでしか買えないだろう。今組んでいるものの返済が一つ終わったらここに手を出そうと思っている(泥沼)。
豆千代モダン
さん。文字通りモダンでカラフルな小紋が揃っている。実店舗店頭のマネキンのコーディネートも可愛い。本も出していて、わたしが着物に興味をもったきっかけは実はこの本。素敵な着こなしのアイデアが詰まっている。
ドゥーブルメゾン
さん。洋服も和服も作る珍しいブランドで、浅草にかなり入りづらい雰囲気の実店舗を構えている(悪い意味ではなく、本格的なブティックの気品があるということです)。形から珍しいものがあったり、レースやリネンをふんだんにつかったガーリーな小物が目白押し。デザイナーさんのこだわりがかなり強いらしく、店頭での値引きを一切許さないほか、プレタ(仕立て上り)のものはつくりがかなり細身らしい。つまりデブは着るなということ。うーむ。

ほか、着物本体でなく小物ならば制作の敷居が低いということで、デザインフェスタなどの個人クリエイター参加型イベントで入手することもできる。

また、これはハードルがかなり高いかもしれないが、お気に入りの布を30cm幅に断てば反物と同じように着物向け生地になるので、自分でつくってしまうという手もある。確かに難易度は高いが洋服を縫うよりは(なんせ直線しかないので)楽はなず。衣装自作派コスプレイヤーさんなんかだったら楽勝だろう。

でもお高いんじゃないの?

冒頭でわたしが廃課金していることを宣言してしまったのでこう思われても仕方ない。一枚いくらとか言いたくないけど、いま必死で返しているものたちはどれも2桁万円はします。あといくら残ってるとか考えたくもない(遠い目)。

ただ、わたしは自分サイズで正絹のものを仕立ててもらっているからアレなだけで、仕立て上り、かつポリエステルのものなら比較的お手軽だ。上に挙げたメゾンのものでも2−5万円くらいから買える。

それでも高い(そうですよね)、でも呉服屋の端っこに置いてあるような3000円くらいのウォッシャブル着物は可愛くないからやだ、という方のためには中古という手段がある。

いいものに出会えるか否かは運なのでなんとも言いがたいし、価格もさまざまだが、3000円くらいから買える。わたしも羽織やコートはもっぱら中古だ。
中古着物ショップだと有名どころはたんす屋さんだろう。
他にも個人経営のお店はたくさんあり、東京だと浅草(個人の方が作られた着物屋さんマップはこちら)、原宿、ほか近郊ならば鎌倉の小町通り添いなどだと見つかりやすい。

いくら中古が安いからといって気に入りのものを歩いて探し出すのが面倒だ、というなら、われわれには文明の利器オンラインショップがある。楽天市場のkissteさんやニコアンティークさんなんかはたまに羽織や小物でお世話になっているが、綿着物が可愛いし比較的お値打ち。個人的にはAmazonよりスペックが細かく見られる楽天のほうがファッション通販には向いていると思っているのだがどうか。

次回後編、実際に着てみようの巻に続く。今度こそ最後です。

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歯塚傷子
お小遣いください。アイス買います。