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虹色のスープカレーを一杯。(cocan体験記)

「交換」と「共に(co)できる(can)」で、cocan。
cocanはちょっとした出来ることを互いに交換するサービス。

その理念に好感を持ち、勢いに任せて出品したのはもう五ヵ月も前のことになる。

  〇

cocanを知ったのは、あさぎはなさんの紹介記事だった。
コロナ禍の中、次々と休業が発表され、ステイホームが叫ばれだした頃。殺伐としたニュースに、何かが削られていく音がしていた。
そんな中で人の温かみを介したサービスを知り、何かにぎやかしでもいいから参加できればと思い、半分くらい勢いで出品をした。

それから五ヵ月。宣伝もなにもしないcocanに利用者はなく、すっかり忘れかけていた時に、二件の依頼を頂き、cocanをすることとなった。

私なんかに古典の話ができるのか、その資格があるのか。そんな不安を持ちながらも、cocan相手のお二方は拙い説明を真剣に聞いてくださって、そのことが何よりもうれしく思えた。

こうして自分の知識が、少しでも誰かの役に立ち、古典というものを好きになってもらえる。cocanで私は『出品』側だが、同時に古典について改めて考える機会を頂けた。

  〇

ふにさんとのcocanでは、交換内容としてふにさんに『カードリーディング』をしていただいた。

遠隔で、カードを引き、その内容を教えてもらう。

今の私は、自分の身をどうすればよいかわからずに、ただただ不安を募らせている。解決の糸口もいまいちわからず、暗中を手探りで進むような、泣き出しそうな気持だ。そのくせ時間は止まらないので、後ろからどんどん進めと迫られる。当然のことだが、あまりにも恐ろしい。

カードに聞きたいこと、と言われて『これからの自分』をお願いしたのは、情けないけれどそういう事情があってのことだった。

シャッシャという、小気味よいカードを切る音がする。

「もう、準備は全部整っていて、あとはやるだけですよ」

ふにさんがそう仰った。
引かれたいくつかのカードをzoom越しに見せてもらいながら、その意味を読み解いていく。
天から降り注ぐ光を受け取る人、イルカと共に波に乗るユニコーン。
それから、虹を降り注ぐ女性のカード。

「この、手から出てるスープカレーみたいなやつを、きっと色んな人が喜んでくれます。動物が沢山あつまってて、遠くから人も来てますよ」

そう言いながら見せてくださったカードは、確かに手から虹をふりまく女性が描かれていた。
虹色のスープカレーだ。

その言葉が、なぜだか心にじわりと沁み入った。
心がすっとほどけていくような、そんな気がした。

  〇

cocanに登録したのは、ほんの気まぐれだった。
ろくに宣伝もしなければ、利用する人もいないだろうと高を括り、にぎやかし程度になればという、本当にそのくらいの気持ち。

だけれども、cocanで出会った方達とのお話は、どれも楽しくて、遠く知らない誰かと話す不思議だけれどもとても刺激的な経験だった。

五ヵ月前の私の気まぐれが、五ヵ月後の私の不安を和らげてくれる。

その奇妙な巡り合わせと、虹色のスープカレーに、心の中でこっそりと感謝をした。

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ふにさんが書いてくださったcocan体験記はこちら。


cocanについてはこちら。


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