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ナイトタウン 〜私の街の中の日差しの中で〜 小説

第5話 2人の砦(とりで)

愛菜が「あら?辰秋君?どうしたの?こんな夜中に」と辰秋を見てびっくりして居た。
辰秋が「すみません。行く当ても無くて、今日此処で泊らせて頂けませんか?」と愛菜に声を掛けた。
愛菜が「行く当てもないなんてね?じゃ、梢ちゃんには連絡はしたの?」と辰秋に話し掛けた。
辰秋が「あぁ、すみません。それが、まだ連絡をして居ないんですよ」と愛菜に残念そうに返事を返した。
愛菜が「そう?じゃ、梢ちゃんも心配しているんじゃないかしら?」と辰秋に気を遣った。
辰秋が「あぁ、良いんです。あいつに迷惑をかけるのは悪いので、そっとしといて下さい」と愛菜に声を掛けた。
愛菜が「じゃ、好きなところで寝て頂戴。
何かあったら、その時は遠慮なく言ってね?」と辰秋に声を掛けた。
辰秋が「ありがとうございます。じゃ、此処で。おやすみなさい」と愛菜に挨拶をして次の日を迎えた。
梢が来て「あれ?こんな所で何をやって居るの?」と辰秋がいたので思わず声を掛けた。
愛菜が「あら、ごめんなさいね?辰秋君が行く当てが無いって言うから、このお店で寝泊まりしてもらって居たの」と梢に返事を返した。
梢が「あぁ、昨日聞いちゃったんだけど、あの住んでいた家を引き払ってしまったんだって?だから、此処で寝て居るの?」と聞いた。
辰秋が「あぁ、そうだよ。もう、住む家の家賃が払えなくなって行く当てが無くなって困って居た時にダメ元で泊らせてもらったんだ」と梢に話し掛けた。
梢が「そう?そんなに困って居たなら、私に連絡をくれたって良かったのに」と辰秋に返事をした。
辰秋は「悪かったな。急な事で申し訳なくて切り出せなかった」と梢に返事を返した。
梢が「まー、私の部屋も狭いけど、2人分は寝れる場所があるから泊まれるよ」と辰秋に声を掛けた。
辰秋が「じゃ、悪いけど今夜家に泊りに行って良いか?」と梢に返事を返した。
梢が「良いよ。良かったらどうぞ」と辰秋に話し掛けた。
梢の仕事が終わり、辰秋が「お邪魔します」と梢の家に上がった。
梢が仏壇の前で「じいちゃん、ばあちゃん、ただいま。今ね?知り合いの男性で辰秋って言うんだけど、今日泊まる場所が無くて困って居たから思わず引き留めちゃった」と今日の事で報告をした。
辰秋も、仏壇の前で「すみません。俺、他人様なんですが、今日泊まる場所が無くてこちらに急ですが泊らせて貰うことになりました」と梢のおじいちゃん、おばあちゃんに手を合わせて拝んだ。
梢が「で?どうして家を引き払っちゃったの?」と辰秋に声を掛けると、辰秋が「あぁ、俺な?競馬やっているだろう?お金が負けてそこついちまって、家賃を払えるお金がなくなって滞納して居たら、俺のペースで払える様な家賃形態の家が無くて、仕方なく働いてお金を払える様になってから、また再び何処かで住みたいなって思って居るんだ」と梢に話を始めた。
梢が「そうなの?中々、世の中うまく行かない物ね?私はその点、親からお金を仕送りして貰って居て、安心だけどね?」と辰秋に話し掛けた。
辰秋が「そうか?なら良かったな?俺は親からお金を仕送りして貰えないし、自分で貯めたお金もそこついて支払うお金がないんだよな」とガッカリして居た。
梢が「そっか。それは辛いね?あ、そうだ。親戚で貰った饅頭なんだけど食べない?」と辰秋に饅頭が入った箱を渡した。
辰秋が「頂きます」と言って饅頭を食べると思わず早食いをしてしまった。
辰秋が「この饅頭旨いな?何処でこれは売って居るんだ?」と梢に尋ねると、梢が「旭川饅頭ね?家の親の親戚がそこに住んでいて、いつも送ってくれるのよ?」と辰秋に嬉しそうに話をした。
辰秋が「ふーん。そんな所があるんだな?やっぱり親戚とか繋がりがないとお土産なんか早々食べられないよな?」と梢に話し掛けた。
梢は「この美味しい饅頭は、昔から私食べて居てさ?すごく馴染みのあるお店や味なんだよね?」と笑顔で辰秋に話をした。
しばらくして辰秋は眠りについてしまった。
梢は「辰秋」と名前を呼んでキスをした。
辰秋は「ん?梢?」と目を覚ますと、そこには梢も誰も居なかった。
梢は「あ、ごめんね?さっきまで靴を洗って居たんだ?そうだ、辰秋の靴も洗ってあげるね」と辰秋の靴を水道の蛇口で洗い始めた。
すごく晴れた昼間に、靴を洗い干した。
梢は、「こうやって居るとまるで2人で暮らして居るみたい」と嬉しそうに話をして居た。
辰秋が「そうだな?2人でこのまま一緒に暮らしても良いよな?」と梢に笑顔を見せた。
梢が「そうね?じいちゃんもばあちゃんも私達の幸せを心から祈って居るはずだもの」と仏壇の前で2人は、指輪を買い薬指に付けた。
そして、キラキラと光るダイアモンドが今でも薬指を綺麗に見せて居た。

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