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ナイトタウン 〜私の街の中の日差しの中で〜 小説

第3話 俺の中のあなた

梢が「こんな所で何をして居るの?さっきの見てた?」と病院の外に居た辰秋が梢を見て居た。
辰秋が「あぁ。お前、借金して居るのか?」と梢に訊ねた。
梢が「うん、そうだけど」と何故か寂しそうな目をして居た。
辰秋が「何で借金をしているんだ?」と梢に声を掛けた。
梢が「あのね?私のお父さんが、パチンコ打ちに行ったり、莫大な借金をしたりして、そのお父さんは、行方不明でもう、戻って来なかったの」と涙が目から出て来た。
辰秋が「だから、お前がお父さんの分までお金を前借りして借金を返そうとして、バイトを掛け持ちして居たのか?」と梢の顔を見て返事を返した。
梢が「うん、ごめんなさい。やっぱり私だけの力じゃ借金のお金を返し切れなくて、1000円を盗んじゃってた」と素直に辰秋に謝った。
辰秋が「別に良いよ。でも、借金は返し切れたのか?」と梢に聞いた。
梢が「うん、ありがとう。おかげ様でお金を返し切れたけど、私も借金を返してくれって闇金融から声を掛けられる毎日が怖かったから、やっとそこから救われると思うと気が楽になった」と辰秋に本音を話した。
辰秋が「そうか?大変だったんだな。梢のバイト先って何処なんだ?」と梢に聞いた。
梢は、「ここから2、3分のホリキタ喫茶店で働いて居たの」と辰秋に教えた。
辰秋は「そうなんだ?ここ老舗の喫茶店だよな?俺も一度立ち寄って見たかったけど、通り過ぎて来たからな」と梢に話し掛けた。
ホリキタ喫茶店の愛菜さんが来て「あら?誰かなって思ったら、梢ちゃんじゃ無い」と親切にも、梢に声を掛けて来た。
梢が「あ、愛菜さん。こんにちは」と愛菜さんに挨拶を返した。
愛菜さんは「梢ちゃん、最近見ないからどうしたのかなって思って居たのよ」と梢を心配して居た。
梢は「あれから…、私、お父さんの借金して居たパチンコ打ちのお金を闇金融さんにお金をせびられて居て、凄く怖かったんです」と愛菜に話をした。
愛菜は「あら?そうだったの?困って居たなら、何か私も力を貸してあげたのに」と梢を大切に思って居たのか涙を流して居た。
梢はひたすら「今まで何も言えなくてごめんなさい。私、自分の事だからって突っ走って自己解決しようとして居たから今まで何も言えなかった」と愛菜に母の面影を見て居た。
愛菜は「良いのよ?もう、しょうがないわ。私も梢ちゃんと同じ位の娘がいてね?私は、その娘を旦那さんに親権を取られて、その娘と会えなくて、寂しかった時に梢ちゃんに会ったの」と梢に正直な気持ちを打ち明けた。
梢が「そうだったんだ。で?その娘さんと私を重ねて見て居たの?」と訊ねられて、愛菜は「そうよ。あの時、梢ちゃんに会って娘の事を思い出してね?何か困って居たら守ってあげたいって思ったの」と梢に今の気持ちを伝えた。
梢は涙を拭えずに、手で口を押さえながら涙を流して居た。
愛菜は「梢ちゃんは今元気なの?」と梢に訊ねた。
梢は「うん、元気だよ。でも、また何か困った時があったら、甘えて良いかな?」と少々遠慮しがちに答えた。
愛菜が「えぇ、良いわよ?その代わり、梢ちゃんには私のことを、お母さんって呼んでね」と梢に提案をした。
梢は「うん、お母さん」とニッコリと笑顔を見せて愛菜を呼んだ。
辰秋は「良かったな?やっぱり人と人の暖かい絆があるから、この街も穏やかで何処か優しいのかもしれないな」と笑顔になれた日だった。

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