選び疲れて怖気づく? 〜 意思決定の疲労と感情がリスク先行に及ぼす効果を測るRCTs
青山学院大学 経営学部 服部ゼミ 4年生:
落合 栞・神尾 武志・河北 莉奈・佐藤 智大・藤村 春菜
概要
「選択」は心を疲労させます。では、選択によって疲労した状況では、人はリスクを好むようになるのでしょうか、それとも恐れるようになるのでしょうか? 本研究は、人間が選択を繰り返すことにより生じうる「選択疲れ」が、個々のリスク選好にどのような影響を与えるかを、2つの実験によって明らかにしました。
実験1では、大学生の実験参加者(N=141: 女性 N=72)を、選択問題に回答しない群(対照群: N=65)と、6択の選択問題に回答する群(介入群: N=76)にランダムに割り当て、その後の両群の参加者の「賭け事への参加意欲」や「チャレンジ精神」の度合いなどのリスク選好を比較しました。
実験2では、感情誘導と選択疲れという2×2の二因子介入実験を、大学生の実験参加者(N=155: 女性 N=91)に対して行いました。感情誘導として、「おおらかさ」もしくは「慌ただしさ」の感情を誘導する写真を参加者に見せた後、選択疲れの有り・無し群に分け、選択疲れがリスク選好に及ぼす影響が一時的な感情に影響される可能性があるかを検証しました。
2つの実験の結果から、① 神経質でないおおらかな男性は、選択疲れによってリスク回避的になること、② 計画性のない女性は選択疲れによってリスク回避的になること、③ おおらかさをもたらす感情誘導によって、選択疲れがリスク回避を促す効果が増幅されることが明らかになりました。
これらの結果は、リスクを伴う様々な場面で、望ましい決定を行うためにはどのような要因を考慮するべきかについて、重要な知見を提供することが期待されます。
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