対面者表情と自己開示 ~ オレの笑顔はアイツの本音を引き出せるのか (2022)
青山学院大学 経営学部 服部ゼミ: 朝倉 佳幸, 西村 亮人, 松井 陽奈, 宮坂 恵実
概要
本研究は「対面者の表情が、人の自己開示(ポジティブ・ネガティブ)行動や、虚偽の申告行動に及ぼす影響」を調査する実験研究です。大学生 248 名を無作為に『真顔の面接官(対面者)の写真を見せるグループ』と『(同一人物の)笑顔の面接官(対面者)の写真を見せるグループ』という異なる処置に割り当て、その後、参加者自身の長所や短所を自己開示の程度や、多くの人が経験したことがあるが積極的に第三者に話すことはない不道徳な行動についての経験の有無を聞き取り、それらをグループ間で比較をしました。
実験結果から、面接官(対面者)の表情が参加者の自己開示に及ぼす効果においては、自己効力感が影響していることがわかりました。① 笑顔の面接官に触れた「自己効力感の高い人たち」はより多くの長所を自己開示する傾向があり、② 真顔の面接官に触れた「自己効力感の低い人たち」はより短所を自己開示する傾向があるということが明らかになりました。また、③ 面接官の笑顔は、自己効力感の低い人たちにより多くの虚偽申告を引き出しやすいという結果が得られました。
これらの結果は、企業が採用面接を行う際に、事前に行った適正テストにおける面接受験者の心理的特性ごとに面接官の表情を変えることで受験者の自己開示を促すことができるという具体的な問題に活用することができると考えられます。
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