【発達障害】親が知っておきたい「専門的な療育」
「専門的な療育、療法の意味について」
~ABAやTEACCH、OT、PT、STが見る視点について~
昨年11月25日(土)に開催した勉強会の内容を
ブログに起こしてみました。
1.なぜ療育に行かせようと思いましたか?
ここでは参加した方に意見を聞きました。
皆さん早い段階での利用とそれのメリットについての
意見が多かったです。
2.皆さんは療育に何を求めていますか?
ここでも参加した方に意見を聞きました。
求めている物とそれが実現出来そうな環境か、
療育先で異なるようです。
⇨つまり療育先の質、それは地域ごとでも違って
くるようですよ。
3.この子達に必要な療育とは何か?
1)得意を伸ばして生きていく
2)これなら負けない自信
3)結果ではなく、努力のプロセスを褒める
⇨ここでは私見も交え、プロセスを褒めるデータに
ついての話をしました。
参考動画:ブレイクスルー佐々木氏「努力が勝手にクセになる方法」とは?
早稲田首席が解説します!より
発達障害のお子さんは、成長に偏りが出てくるため、
他のお子さんとの比較をしたり、他の子のようにと
期待する事は望ましくないですね。
4.療育の専門家は子どもたちをどう見ているのか?
1)絶えず客観的に情報収集し、仮説立て、評価している
2)絶えず新しい手法、考え方を取り入れている
3)それぞれの得意分野ごとでのアプローチをしている
⇨私が参加した、関わった専門家を見て、子供たちを
どう見ているかをお伝えしました。
良い専門家は、日常のちょっとした会話からも
自然と仮説立てしながら聞いています。
いくつになっても「これが一番いいんだ」では
なく、新しい手法を試し検証する姿勢があり、
保護者の方が支援を選ぶ際のポイントにもなります。
5.代表的な療育・療法の意味
1)ABA
⇨日本名で応用行動分析と呼ばれている。
⇩
①伸ばしたい行動は褒め、褒美を与えて伸ばす
②抑えたい行動に対しては、褒美を一切与えない
⇨軽い不快を与えることによって抑える
ことを基本にしています。
③行動原理として3つあって
・強化:好ましい行動を増やす
・強化子:強化を増やすためのごほうび
・消去:問題行動をやめさせたい手続き
⇨行動の後にごほうびが与えられなくなると、
その行動は減少する
ABAでは、「強化」を繰り返すことで行動形成し、
「消去」は問題行動に対処するときに基本となる
手続きだそうです。
・弱化/罰:嫌なこと(不快)
⇨基本的には使用しないが、工夫を
重ねてもどうにもならないときの
最終手段
参考:LITALICO発達ナビ「応用行動分析学(ABA)」とは?より
2)TEACHH
①1972年以来行われている自閉症スペクトラム障害
当事者とその家族を対象とした、生涯支援プログラム
②自閉症の人々の行動様式を文化の一つとして捉え理解
③「親は共同療育者」
⇨専門家のセラピストの支援と同等以上に、親の
療育への関与が期待される
④予測不能な状態が苦手である特性を持つ自閉症児に
対して、整理され、構造化された環境を作る
・「物理的構造化」
⇨活動別に場所を決める
「休む場所」「一人で勉強する場所」など
★エリアを明確な仕切りで分ける
(衝立、棚、囲い、カーペット)
★活動エリアを大きく4種類に分ける
・ワークエリア(作業、勉強をする場所)
・プレイエリア(遊ぶ、落ち着くための場所)
・トランジションエリア(個別スケジュール確認場所)
・カームダウンエリア(冷静になるための場所)
・「視覚的構造化」
⇨音声コミュニケーションより、イラストや写真で
提示する視覚的コミュニケーションの手法に強みが
ある。
⇩
指示や、意思表示をイラストや写真を使って行う
・ 「個別のスケジュール化」
⇨時間の概念を理解することが難しく、先のことを
見通すことに困難がある。
⇩
何をすればいいかがわからないと不安やパニックに
なる。
★「スケジュールを決める」
⇨不安を回避し、安心して学習や作業に取り組む
・ワークシステム
⇨「一人で自立して」一連の学習や作業などの活動が
できるようにするための方策
⇩
★どんな活動(学習や作業)をするのか
★どのくらいの時間、あるいは量の作業や活動を
するのか
★その課題や活動はいつ終わるのか
★終わった後は何をするのか、何をしてもよいのか
参考:LITALICO発達ナビ「TEACCHとは?」
ASDの人々を生涯支援するプログラムの概要を紹介より
6.その他の注目したい手法
1)モンテッソーリ教育
①「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という
「自己教育力」の存在がモンテッソーリ教育の前提
②モンテッソーリ教育は、教師(大人)の価値観で一方的に
教え込もうとするのではない
③子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもが触って
みたい、やってみたいと思う環境を適切に用意する
④その環境と子どもを「提示」などによって結びつけ、
子どもの自発的活動を促す。
⇩
★7つの教育環境
・粗大運動の活動
・微細運動の活動
・日常生活の練習
・言語教育
・感覚教育
・音楽
・美術
参考:モンテッソーリ教育綜合研究所「モンテッソーリ教育について」より
2)STEAM教育
①STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、
Engineering(ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics
(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語で、
5つの領域を重視する教育方針
②目的は、現実の問題を解決に導く力や今までにないものを
創造する力を育むこと
③STEAM教育が注目されている背景には、テクノロジーの
進展があり、具体的には、AIやIoTなどの科学技術の発達や
スマホ・タブレットといった端末の進化などが挙げらる
④これからの社会では、科学技術を活用するだけでなく、
作れる人材が必要で、科学技術の理解を深めると同時に、
それらを利用して新しいものを生み出す力を養うための
教育として注目されている
⑤学習事例として、
★プログラミング学習
・簡単なゲーム等を作ることができるようになる。
・オンライン上のプログラミング学習
★ものづくりやワークショップ
・『勉強』という形ではなく、ものづくりを通して
理数系の世界に親しめる
・ロボットを作ることで、高度な理数系の知識を得る
・簡単に組み立てられるブロックを使い、ロボットの
プログラミングを学ぶ
⇩
◎複雑な問題解決力
◎他者との調整力
◎人とのマネジメント力
◎クリティカルな思想
◎交渉力
◎傾聴力 など
このような感性を身につけることができる教育手法
参考:スタスタ「STEAM教育とは?」より
参考:STEAMJAPAN「STEAM教育ってなに?」より
7.まとめ
1)専門家の領域は専門家に任せる
⇨保護者と専門家では役割が違う
2)行われていることの意味、何に
つながるかは理解しておく必要がある
⇨家で療育と同じことをする必要があるか?
専門家から求められるとしたら、同じ環境設定が
出来るのか?同じ効果が得られると専門家は考えて
いるのかを確認する
3)どの手法や療育を選ぶにしても、将来
どう暮らしているのかイメージしながら
その時、その時選択していく
⇨その子その子、その家庭で違ってくるので正解は
ありませんが、将来をイメージしながら支援を
理解していく
4)苦手を克服するではなく、得意を見つけ、
自信を持ち、何度でもチャレンジする力を
つけることが大事
⇨苦手克服に着目する専門家より、得意を発見し、伸ばしていく
考えの専門家を見つけていく。
親自身も失敗と捉えず、何度もチャレンジさせる支援が必要