権力嫌い貧乏人の「国総教養」合格体験記2024
国家総合職の教養区分を受験しました。体験記です。
出願まで
熊野寮祭企画エクストリーム官僚でノー勉合格者が多数輩出されている教養区分の存在を知る。しかしその年は出願が締め切られていたので、暇な日にたまたまやっていた埼玉の市役所試験を受けに行くなどして溜飲を下げ、2024年の出願日にリマインダーを設定。リマインダーにより出願に成功する。
1次試験まで
わけわからん経費飲み、DJナイト、ハロウィン・ナイトが重なり、夜眠れない1週間が続き、翌朝、
試験本番
無理矢理8時に起床。行かないのはさすがにもったいないとおもった。バス、阪急、JR、どれもアクセスはよくないが、阪急が最も遅く家を出られる、それくらいは昨晩に調べていた。カバンに100円玉(たまたまATMに入れていなかった、この家最後の現金)、筆記用具を放り込み、彼女から脱がせたTシャツを着た。
試験開始に間に合う(集合時間には間に合わない)最後の阪急電車まであと3分。ダッシュで家→100円でコンビニ印刷→駅を間に合わせて阪急で会場に。
この電車の中でNHKの時事ニュースまとめを読んだのがはじめての試験対策。実際に出題された時事問題は映画祭受賞作品とかで激ムズだったので歯は立たなかった。
会場は立命館OICで、反人民的な巨大道路に阻まれながらも、学内に案内が多くなんとか受付に辿り着く。なんか友人がいたから受付の人を無視してそっちに話しかけると「記念受験?」と聞かれる。そうかもしれない、そんな格下の自認はないけどな、まあそうじゃなくなるといいぜ。受付に戻ると、受験票の糊付けを忘れました、教室がわかりませんなどで手間をかけ、長いこと滞在した。
受付に聞いて受験室に入り、着席するも、なんか全然違う席だった。移動しなければいけないのかなと思って立ち上がったが、違いすぎてもう間に合わないのでそこで受けてくださいと言われた。たしかによく見ると、100の位も10の位も1の位も違う。そもそも部屋も建物も違う。なんこれ。寝不足か、怖すぎる。
試験が7時間あることは前日に知っていたが、受験票には科目の順番も持ち物も書いてないから少し不親切。行ってみるとそのうちの4時間が1発目の論文試験に使われるらしく、逆に楽だと思った。1次試験に論文は関係ないらしいから、1次だけでも受かって箔をつけたいという動機からすると緊張はない。
でも実際、論文テーマはめっちゃ簡単だった。大学入試小論文のほうが難しいだろう、受けたことはないが。あと時計を家から咄嗟に探し出してもってきたのは英断だったが、人事院ロゴ入りタイマーが会場にあるので必須ではない。それよりも、シャーペン不可のマークシートなのに鉛筆がないほうが問題。マークシート読み取りエラーで落ちる可能性もある、ひとつ運要素が増えた。受験のしおりみたいなのはPDFとしてあったらしいが、試験が終わってから初めて読んだ。持ち物とかきちんと書かれていて親切だな〜受験前に読んでおきたかった。
昼休み、OICに漂う既知の禁圧的な雰囲気と受験生たちの仕様もない会話に嫌気がさしながら、学内のセブンイレブンでおにぎりを3つ買った。喉も乾いていたが、喉が渇いたまま4時間の論文を乗り切った実績があるため水道水飲みに留めておいた。この時間に択一試験について調べて1問5分が目安であることを知った。
基礎能力試験1は分類するなら読解、英語、中受算数、SPI。試験2は出題ボリューム順に現代社会、物理化学、日本史世界史、地理。1問ずつ数学とエクセルがあった。1は読解と英語のほとんどが簡単で、中受算数はむずいやつといけるやつ半々くらい。箱が無数にあるっていわれたけど条件で絞ったら思ったほど個数ないとか、なにこれって思うのもあった。最後はSPIみたいな表読み取りの割合問題だが、電卓がないからちょっと無理があるというだけ。全体として正答率はまあいい線いってるだろう。2は中学で理科社会から脱落したせいでわからない問題が多い。唯一の?数学問題が点と直線の距離公式忘れてて、導出もできないから選択肢からの逆算で解くしかなかった、共通テストみたいな突破。
京都旅
試験終了後、現在の住居がある大阪にはバスで帰るほうが交通としては楽しそうだったけれど、受験生がみんなバス(と同じ方向のJR駅)の方に流れていっており、そいつらは仲間同士探り合いでふざけてるような、優秀なのかFランなのかは知らないけど、しゃらくせえやつらだったから真逆の方向に駅がある阪急で帰ることにした。
せっかく阪急京都線なので彼女を茨木に呼びつけて大阪とは反対行きの電車に乗り、河原町に旅立つ。彼女との実質的な出会いである去年の京都散歩から、この日でまる一年らしい。すごいね。
河原町ガーデン物件視察からはじまる。PS5のデモ機でグランツーリスモをして、俺のほうが2倍速い車に乗ってたからダブルスコアで勝った。「適当に歩こう」といって主導権を握っていた彼女が「東を目指す」と言い始めるまで、俺は目的がなくて気が気でなかった。でも、「東」くらいの漠然とした目標でも心が安定するんだというのは驚き。
……去年と同じく終電を逃して徹夜になってしまった。地図を見ずに土地勘と表示、山の遠景なんかで駅を探していたからだろう。市役所前に差し掛かったとき河原町の最終列車が行ってしまった。歩いているうちにどんどん見たことある左京区になってきたなあと思っていたら熊野寮についてしまっていた。国総会場→熊野寮という道を辿った人は寮生に結構いるだろうな、エクストリーム官僚や中核派との気まずい関係を思い出した。
帰れなくなったことを彼女は「立ち往生」と言ったが、俺はそれを叱り飛ばす。まだ京都でやりたいことがあるんだから何も往生してないだろう。帰ろうとしてるわけじゃない。
先斗町と木屋町の作りの違いを見物したり公園に寄ったり、鴨川行ったり警察についていってみたり、北山まで旅する計画が頓挫したり、室料0円ドリンクバー0円アルコール飲み放題0円のカラオケに行って何も払わずに出ていったりしたら、朝になってしまった。俺が歌うとめっちゃ喜んでくれるの好き。何も往生せず、滞りなく朝になった。
家に帰って血を噴き出しながら彼女を捩じ伏せた。1人になってからカフェテリアに行って自己採点すると、なんか意外といけそう。こういう試験系は自信持っていいのだろうか、ありがたい。全然頭が働かないよ〜明日から大学の新学期が始まるから今晩中に履修登録したいのに。先輩の家に行くぞ→いかなかった、逆に俺の家に来た。別の先輩とか後輩も連れてきた。2人が誕生日だったということで、俺はケーキとしてフレンチトースト風バケットに黒糖で煮詰めたタピオカときな粉をかけて振る舞った。
1次合格発表まで
試験としては易化してボーダー上がってるかもしれなくて心配。あと、無理が祟って流石に体調を崩したが、1日気合い入れて寝て、朦朧とする中無理矢理通学したら病み上がった。
2次試験、2分の1で部活の引退公演に被るな。リサーチ的には受かってそうだし、運ゲーがはじまった。あとシャーペンも運。
1次合格発表
合格発表、合格したが2分の1を外して引退公演に被った。民間英語試験で日程的に受験できて成績証明書の到着が間に合うのはIELTSだけだったからIELTSに申し込んだ。会場で出会った例の友人は、R-1グランプリの1回戦に合格していた。
2次試験まで
翌月の第2回DJナイト(毎月の定例行事にしようと運営奮闘している)で夜を明かした朝、IELTSを受けにいった。15点加点の対象になる5.5狙い。5.5なら勉強しなくても取れるということで、首尾よく5.5を取得した。その日は試験場があった梅田から北区と中之島を散歩して、梅田に戻ってきて彼女と映画を見た。反体制だがカタルシスのない映画だった。
2次試験に必要な書類を揃えよう。なぜ国というのはこんなにもまとまっていそうな顔をして散らかった文書を作るのか。結局何が必要なのか、全部通読しないとわからない。とりあえず役所に住民票記載事項証明書は取りに行った。サイクリングだと言い張って彼女を連れて行った。サイクリングだと言い張ってはいたものの、俺の自転車は役所に押収されていたので、行きはほとんど歩きだ。押収担当者との会話は録音して、自転車撤去弾劾訴訟に備えた。夜になると取り返した自転車で府県をまたぐサイクリングをして、さらに夜が深くなると歩いて阪急電車の陸送を見に行った。この時点で2次試験の2日前だ。
2次試験に向けた勉強をするぞ!(白書を読むぞ)と高らかに言って図書館に行く、ということを3回した。そのうち1回は勉強できた。勉強しているとなんだか知らないゼミの会場に迷い込んでしまっていたようで、知らないゼミ発表を聞きながら揚げパンを食べて勉強することになった。たいそう真面目なゼミで、1時間で4人も個人発表をしていたが、そのぶん気は弱いようで追い出されることはなかった。公務員内定者の先輩と2回目の勉強をした。作業ナイトという名目で彼女と3回目の勉強をした。前日には徹夜で4回目の勉強をしようとして、その前に1回だけ3時間の仮眠をしようと思ったら、4回目の3時間仮眠から目覚めたとき、12時間が経過して試験当日の朝になっていた。
2次試験対策で思ったこと
政策を考える試験の対策をしていていろいろ調べてみると、政策ってやり尽くされているなあ。その点官僚はすごい。でも全部カスでディストピア。自分が思いつく政策も、既存の政策も、人を説得できるというだけのカス。8050問題と地域共生社会と多様な正社員に取り組んでいる役所、厚生労働省。キモすぎ。そりゃあそうだ。何かやらないといけないと思って捻り出すからこんなことになる。前提が間違っている。行政が何かやらないといけないというのがまず間違っている。その行政の主体が無数の官僚なのもよくない。1人でもいらないことをするのに、10万人もいたら大変。権力としての行政が肥大する前に、機構としての行政が肥大し切っている。
2次試験当日
この日の試験は昼からなので、まだ余裕はある。でもまだ面接カードすら書けていないのはよくない。書き上げて、1次試験と同様に駅前のセブンイレブンで印刷。1次試験と違ったのは、家に筆記用具が何もなかったことと腕時計が止まっていたこと、セブンイレブンのプリンタで印刷エラーが起こること、試験開始1時間前に家を出たことだった。時間に余裕があるのでエラーに対処するため家に戻ったりもした。エラーは改善しなかったが、ファミリーマートのプリンタに行くと印刷できた。セブンイレブンの隣にファミリーマートがある場所に住んでいてよかった。好立地。セブンイレブンのプリンタに100円玉を忘れていたことに気がつき、取りに戻ると盗まれていなかった。セブンイレブンに感謝して何かを買おうと思ったが、すべての商品が高かったので、セブンイレブンに感謝するのはやめて、100円玉を盗らないでいてくれた人民と団結して巨大資本セブンイレブンとは対立することにした。
新大阪に到着。といっても、JRにも地下鉄にも金を払いたくなかったので阪急南方から徒歩で新大阪に接近。セブンイレブンの物価が高すぎるせいで、この時点でまだ筆記用具が手に入っていない。ローソンを見つけ、首尾よく無印良品の100円シャーペンを購入。中学のときも筆記用具を全部なくしてローソンで1本だけ買ったペンと時を共にしていたなあ。
1日目は昼集合で15時に終わる。こういう時間割が事前にはまったく公開されていないし、OBに聞いて回ったがよくわからなかった。今年は日程を複数設けてだいぶ受験生を分散させたことで時間は短縮されているっぽい。女の子がいたら話しかけることを就職活動のルールとしているので、試験後は東京から来た女の子に義務のように話しかけて、しばらく語り明かした。そうこうしている間に、俺が欠席している部活の引退公演がそろそろ終わるころだ。打ち上げに駆けつける。途中立ち寄ったヨドバシですべての延長コードを見ていたら打ち上げにも少し遅刻してしまった。打ち上げではしっかり泣いて、その後同期の2次会にもしっかり行って、筋は通してから早めに帰って2日目に備えて眠った。
2日目 9時集合で14時終わりくらい。2日連続昼食の時間はないし、なんかヘンだね。読書しかやることがないのは自習の時間みたいで楽しかったけれど。この日は阪急崇禅寺から歩いた。阪急における本当の会場最寄りはここ。しかし各駅停車しか止まらないので狙って崇禅寺に着くことは難しい。帰りは政策討議が一緒だったメンバーとご飯を食べた。
運命の友達について
2次試験1日目、隣の席に運命の友達がいた。中学受験塾と中学が一緒だったがほとんど喋らなかった友達。塾の合格実績稼ぎのために旅費無料で行ける高校受験ツアーでは旅館でそいつと同じ部屋に泊まって、同じ釜から鯛めしを食べた。大学受験のトイレでもそいつとばったり出会した。そして今日。
追記
2日で止まるけれど止まってしまってもぜんまいを巻けば動き出す機械式の時計を買った。時計が必要になるのは大事な場面だから、そのためにぜんまいを巻いて時刻を合わせるというのは気合も入るしいいんじゃないか。
2次試験の内容についてTips
・試験官が怖い場合→官僚でぱっと見怖い奴は、不器用で表情が暗く見えちゃうだけorザコだから人間が嫌いなだけ のことが多い。どちらも怖くはない。企画提案の質疑応答で厳しい追求をしてくる試験官は厳しくしようとして厳しくしているだけだから、それも仕事。こっちもそれに表情を崩さず耐えるのが仕事。
・英語のスコア証明書は、証明書原本だけでなく、証明書をコピーしてそこに受験番号とかいろいろ書いたやつも持っていかないといけない。すごいわかりにくく書いてあったから見落としてる人も多かった。
・面接カードを見てもいいですよと言われる時間があるが、印刷してくるよう指定された3枚の面接カードは回収されて返却されないので自分用に1枚印刷してくるといいかも。
運命の友達について2
大学に入ってから出会った運命の友達がいる。サークルの合宿で初対面ながら一晩語り明かし、翌年の新歓で出会って大学の屋上で星を見ながら一晩語り明かした。最近では竹を割るのに使う斧を研いで持ってきてもらった。こういう3か月に1回くらいある接点が、徐々にゼロになって、明確な別れとかもなく別れるのかもしれない。
合格発表
1次試験は番号を探すスタイルで見たが、2次は怖すぎるのでパーソナルレコードにログインして合格を確認してから、番号探しのアクティビティに出かける形を取った。まずまずの成績で合格。
でもな、合格発表日がいつなのか書いてあるページと、合格者番号掲示のページと合格通知書のPDFダウンロードリンクがあるページが全部別なのヤバいと思うぜ、なんでこんなに散らかってるの?あと受験生に書類の印刷を強いるんだったら、合格通知書くらい郵送してくれよ。