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嘘の作法②
きのうにひきつづき、「自然な嘘のつきかた」について。詳しく書くには時間がないので、はじめにざっくりとした結論から。あくまでも覚書きなので。というか、このシリーズ自体、個人的な創作のための助走という位置付け。
・日常的なあるあるや、共感をえやすい話題で読み手の日常と地続きであるように見せつつ、微妙なズレのようなものを用いて、いっきに読み手をつくり手の構築した作品世界に引きずり込む。
・「微妙なズレ」というのは、”我々”の中にある常識や、既知の情報を逆手にとって利用することで生み出される。
・フィクションを考えるというのは、自分たちの普段の日常や、普段「日常」と呼んでいるものが、いったい何によって成り立っているのかを、じっくり考える作業である。
本日の架空の小説の冒頭。
富士山を左に見ながら国道1号線を東京方面に向ってハイエースを運転していた黒川は、山梨にはいる少し手前で国道73号線にはいると、最初に見つけたコンビニで休憩をとった。
ペットボトル入りのブラックコーヒーと緑茶を1本ずつ買い車内にもどると、表紙の日焼けした地図帳を手に取り、今から向うハピネス台への入り口を再度確認した。
ちなみに国道73号線は存在しない。国道には欠番があるという予備知識を必要とするので、さすがにティーンエイジャー向けの小説には不向きなテクニックだが、『ハリーポッター』シリーズの「9と4分の3番線」のような感覚で、「ここから先はフィクションですよ」の合図にすることができる。
もちろん「ハピネス台」なるものも存在しないが、世の中には意外と変な地名が多い。というより、人間が新たに地名をつけなおしたりする。
きのうの記事では、人名は「文脈」に依存すると書いたが、人名だけでなく、我々の常識や言語感覚など世界観そのものが文脈――すなわち文化や伝統や日々の積み重ねによって支えられている。
はやい話が「守破離」で、フィクションをつくるためにはあるていどコモンセンスをおさえておかなくてはならない、ということでした。おわり。
◆勉強用の動画。
1.岡田斗司夫ゼミ/『夏への扉』回
岡田氏は「作者と読者の共犯関係」という言葉を使って説明している。
2.だいなしキツネ/『百年の孤独』回
マジック・リアリズム!!
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