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植物療法と私 / ときの香り

子供の頃、祖父とよく散歩に出かけました。
路傍に咲く草花、そこに集う虫たち、空を舞うトンボやチョウ…
目に映る様々なものを指さしては教えてくれました。

ただ、幼い私にはわからないことが一つ
祖父は少し進むごとに立ち止まり、ノートに何やら書き込んでばかりいたのです。
あまりにも頻繁に立ち止まるので「何をそんなに書くことあるの?これじゃ散歩じゃないよ!歩くのが散歩でしょ?」とプンスカしたことも(笑)

祖父は俳句を生業としており、ふと思い浮かんだ句をメモしていたのを知ったのは、それから数年経ってから。

大人になり祖父の俳句を見返すと、その句の多くが身の回りの草花に私たち家族の姿を重ねたものであったことに気が付きました。
小さな草花の中に、祖父は私たちの存在を感じ 静かに詠んでいたのです。

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