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デフレ再び??

――米国長期金利低下のシナリオと投資家が取るべき防御策

デフレ(物価が持続的に下落する現象)は、需要減退・過剰債務・技術革新による供給効率化が複合的に作用して発生するものである。現在、ディスインフレ(インフレ率の鈍化)またはデフレへ移行するリスクが浮上している。FRBの利上げサイクルが終了しそうな気配を感じ取っているのでここに記す。

米国長期債券のダイバージェンス

債券の価格が上がると金利は下がる。超長期債券ETFのTLT(20年超米国債ETF)の価格は2020年以降長期間停滞していたがRSIとのダイバージェンスが生じている。これは市場が「金利ピークアウト」を織り込み始めた可能性を示唆している。つまり価格が上がりそうということは金利が低下しそうだということである。

構造的なインフレ抑制要因の台頭

米政府のDOGE(省庁効率化局)による財政支出削減は、供給サイドの改革を加速させる見込みである。トランプ政策の想定シナリオでは、(1) シェール増産によるエネルギー価格の安定化、(2) 規制緩和で企業の設備投資効率性が高まること(3)AIの台頭により、賃金上昇に歯止めがかかる可能性。――などがある意味良い意味でのディスインフレ圧力として作用する。ただし、保護主義的な関税は短期的には物価を押し上げる一方、貿易縮小→景気減速→金利低下という逆説的な展開をもたらすリスクも内包している。

日本市場の特異性:利上げが招く円高

日銀が「激烈利上げ」(短期金利0.25%→1.0%程度を想定)に踏み切った場合、円キャリートレードが逆流し急激な円高(1ドル=130円台)が進む可能性がある。これについては過去記事を参照してほしい。2010~2012年の円高局面では、10年債利回りが0.8%から0.4%へ半減した事例があるように、輸出企業の業績悪化→国内景気減速→長期金利低下という連鎖が再び起こり得る。ただし、長期金利には今のところ下がる気配はない。

今のところ長期金利が下がる気配はない

円高ショックに備えるポートフォリオ戦略

1. 円現金の戦略的配置
三菱UFJリサーチのシミュレーションによれば、政策金利が1%まで上昇した場合、メガバンク定期預金金利は0.3%から0.8%ほどに上振れする見通しである。為替変動リスクを排除した安全資産として円預金を活用し、流動性確保の観点から預金比率を30%程度に引き上げる選択肢が浮上している。
2. 為替ヘッジ付き海外ETFの活用
BlackRockの為替ヘッジETFなら、コスト(年約0.5%)を考慮しても、S&P500ヘッジ付きETF(コード2563)などは投資妙味があるかもしれない。特に米国テクノロジーセクターでは、AI関連企業の収益成長が高いリターンを生み出す構造が続くと予測される。

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Kay米国株式投資🇺🇸
毎度お読みいただきありがとうございます。冷静なるポートフォリオの分析や、自分なりの投資哲学を今後とも書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします!