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関係案内所はつひのでが出来るまで

今回は、鎌倉市材木座に2022年6月23日にopenした、関係案内所はつひのでが出来るまでをお届けしてみたいとおもいます。

何かを生み出すには、意志・できる場所・仲間・スキル・資金 この5つが揃うとできることがわかりました。はつひので がどのように生まれたのか、5つの要素に分けて、お伝えします。



意志

1)実験:ハルバル材木座・伊藤さん

2022年1月に、ハルバル材木座・伊藤さんとお話しする機会がありました。ハルバル材木座は、"モヤモヤをワクワクに変える場、何とかなる場、とりあえずやってみる場、ほっと過ごす場として" のコワーキングスペースです。

「ここ(鎌倉)に暮らすひとや、ここにある体験を紹介できる場をつくってみたいんです。」と伝えたところ「月曜日、やってみたら?」と、なんとその場で提案して下さいました。
このご提案がなかったら、想い だけで、止まっていたかもしれません。

そして、「偶然しかない、月曜日」というコピーの元、喫茶偶然という場が始まりました。はつひので の前身です。

伊藤さんはいつも、「使う人がこの場所の意味を決める」と話します。だからこそ、伊藤さんと会うと一歩進む人が多いのかもしれません。

実験:喫茶偶然について×ハルバル材木座


2)コンセプトメイキング:ナンニモナイさん

実際にやってみることで、漠然としてものが、少しずつ言語化されていきました。

鎌倉の魅力のひとつは、ひと。特に地域のコミュニティキーマンに出会うことで、地域への浸透スピードが格段に違います。かく言う自分も、2019年にふたりのキーマンをきっかけに、鎌倉にご縁いただき引っ越してきました。

コミュニティのキーマンに出会うことで地域に知り合いが増えていくと、まちの中で小さな偶然がぽつぽつと生まれてくる。地域が、大学のキャンパスのよう。それは、地域への愛着につながり、まちに対して何かアクションを起こしたいという想いが湧くきっかけにもなる。

物件も見つかり、そんな想いを相方である空想家・ナンニモナイさんに話したところ、「今日も誰かのはつひので 」というコピーと、はつひので というお名前が生まれました。

人それぞれが"必ず"持っている大事にしていることや、伝えたいことに対して、名前やメッセージを付けること。それらを彼は空想と呼びます。まだ誰も目に見えていない内に秘めた形のないものをカタチにするために、彼の力は非常に重要でした。


ロゴ・名付け・キャッチコピーについて



場所

3)JUST ピンポン it :大家・山田さん

我々が日の出屋酒店と出会ったのは、奇跡のような偶然でした。

日の出屋酒店の歴史を辿ると、約100年ほど前から酒屋をはじめ、鎌倉の酒屋にお酒を卸す問屋のような役割をしていたそう。代々継がれてきた大切な会社です。

由緒ある場所とは知らずに、空き物件を探していたところ、「半年前まで近所の八百屋さんが本店を改装修理中に使っていたけれど、今はシャッターが閉まっているから、開いているんじゃない?」と、ハルバル材木座の伊藤さんがお伝えしてくれました。

勇気を出して、ドアのチャイムを押したのがきっかけです。

大家の山田さんは、見ず知らずの人間が来たことにとても驚いたと思いますが、「やりたいことがあるならどうぞ」と快く受け入れてくださいました。

日の出屋さんは900年続く大町祭りの休憩所にもなっている場所で、この場所が重ねてきた時とコミュニケーションを、次の時代に新たな形で受け継いでいくためにも、「関係案内所はつひので」がしっくりきて、決めました。

仲間・スキル

4)空間デザイン:株式会社kitenさん

いざ、場所をつくるぞ!となった時に、ご一緒したいなと思ったのが、kitenさんでした。
株式会社kitenは、鎌倉で3番目に古い建設業&不動産屋さんです。元々は、我が家の近くでお野菜販売をやられていたことをきっかけにお会いしました。

「不動産屋さんなのに、野菜販売?」と思うかもしれません。そこがミソです。

不動産屋をしていると、一次産業にお金が行く仕組みをつくる必要があると気づいたそう。初めは、国産材を使った商業施設づくりなどを行い、たどり着いたのが栄養たっぷりのお野菜を、採れた土地の人達で消費することでした。

今は、鎌倉から35km 圏内の生産者から 直接仕入れた新鮮な野菜や果実、調味料を届ける「久遠」立ち上げ、お寺で販売されています。
既成概念にとらわれない不動産屋さんが、kitenさんです。


6)空間に置く様々なものづくり:桜花園さん・再転さん

kiten 代表の北山さんと話しながら、"歴史を活かしながら新たなものをつくる" 空間にしようと決めました。そこで出向いたのが、古材・古道具・古建具の店 葉山にある桜花園さんです。

家の解体屋さんでもある桜花園さんは、三浦半島を中心に解体した家にあるものたちを集めて販売されています。
目の前に広がる木材や古道具を見ていると、「このドアが付いていた家は、きっと大お屋敷だったんだろうな」「この食器を使っていたひとは、イタリア好きだったのかな」と空想が広がり、それはそれは、その場に存在するだけで少しやんちゃな気持ちにさせてくれる、楽しい場所です。

そして、桜花園さんを通して出会った、家具作家と大工のユニット再転さん。
古材や廃材を使ったものづくりが得意で、お二人のアイデアがとても素敵です。はつひので にある作品をひとつご紹介すると、欄間がカウンターになり、カウンターの脚は障子のサッシが使われています。

古材から作った家具について。桜花園×再転

5)植物での空間装飾:dodo tokyoさん

はつひので が大切にしている価値観は、ひと・まち・地球です。人が楽しく生きられるのは、まちの中にコミュニケーションがあるから、まちが存在するのは地球があるから。
だからこそ、植物を取り入れた少しでも生物的に多様性のある空間を目指しました。

dodo tokyoさんの肩書きは、エンターテイメントフローリスト。"笑いと花とサプライズ"というコンセプトで、本当に驚くような空間を植物達と共につくる姿は、植物に対する愛と抜群の感性があるからこそだと思います。

そして、その土地にある廃材や根づいている何かを掛け合わせることを大事にされているdodoさんは、"新しいけれど、どこか懐かしい" そんな空気感づくりにはぴったりでした。


7)webサイトデザイン/制作:ubune maboroshiさん/KANBINさん

もちろん、鎌倉から遠くに住まれている方にも、はつひので を知って頂くことが必要です。maboroshiさんとKANBINちゃん。かわいいお名前から感じ取れるように、かわいいデザインをつくるふたりです。

"センスは磨けば光る" と言いますが、 "生まれもって備わっているもの" も、ものすごい威力があると思うのです。そこがキラリと光るふたりに伝えたのは、"今日も誰かのはつひので" をイメージした青とオレンジをキーカラーにしたwebサイト。

KANBINちゃんがイラストを、maboroshiさんが全体のwebデザインを。
人々が集い、新しいひと・こと・何かが生まれる場を想像して、そんな場になることを願ったイラストから始まり、"夕日が登り、沈む" ことをイメージさせるグラデーションが効いたサイトができあがりました。

8)経営企画/経理/バックオフィス:株式会社KAKERUさん

運営するためには、ビジネスモデルをどうつくるか、資金調達をどうするか、もちろん考える必要があります。KAKERUのヒデさんとの出会いは、墨田区のワイズホステルにて。
「将来、湘南で税理士事務所兼飲食店を兼ね備えたお店をつくりたいと思っている」と話してくれたことを、覚えています。

特に飲食店の方のバックオフィスをサポートする上で、自ら飲食業をやってみなければわからないという背景から、キッチンカー事業KAKERU×Kitchenを展開し、シェフとしても活動。そんな現場主義のヒデさんにバックオフィスの相談をしたら、お金のこともシビアに楽しく考えられるかもしれない。

そして、ヒデさんのひとつの夢を鎌倉で実現できたら嬉しいな。

そんなことを思って、はつひので事業の棚卸しから一緒にスタートしました。

9)感謝に感謝を重ねて。たくさんのご協力

そして、ここには書ききれないほどのたくさんのご協力がありました。

ペンキ塗りメンバーの皆さん、脚立を貸してくださった山田さん、声をかけてくれるご近所さん、暑いからとアイスをくれたご近所さん、何もない中で応援してくれた皆さん、悩み相談にいつものってくれるタクトさんとたけちさん、本を寄贈頂いた皆さん、お祝いをくださった皆さん、組み立てをを手伝ってくださった皆さん、シェアプランツの皆さん、日頃お世話になっている皆さん。。。

ひとりひとりへ何か自分が返せたのか?と思う時もあるのですが、自分にできることを一歩ずつ、巻き込み巻き込まれ、お返ししていきます。


資金

10)起業支援拠点HATSU鎌倉

地域とつながる起業支援拠点HATSU鎌倉は、コミュニティで地域や社会に貢献する起業家をサポートする、神奈川県産業振興課の取り組みで生まれた拠点です。大体100名ほどの起業準備者/起業家との交流や、士業の専門家の方々へ相談することができます。

公認会計士事務所を持ちながら、SANTiというジェラート屋を開く松純さんに日本政策金融公庫の資料づくりのサポートを、弁護士の高野さんに規約のチェックを、支援仙人廣川さんと善積さんには事業全体のアドバイスを。

2022年には、鎌倉市の商工業元気アップ補助金に採択していただきました。

結果的に、大家さんと相談し、すぐ事業を始める代わりにフリーレント期間あり・保証金なしになり、初期費用はぐんと抑えられたため公庫は申請しませんでしたが、根拠のない自信を持ってはつひのでを始められたのは、HATSU鎌倉があったからこそです。

おわりに

以上、はつひので ができるまでの6ヶ月 超省略版でした。この文章を通して、少しでもここに関わってくださった人達の体温や感性を感じていただけましたら本望です。

それでは、本日も素敵な1日をお過ごしください。

はつひのでの最新情報はinstagramをチェック!▼https://www.instagram.com/hatsu_hinodeya/

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