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2021年の音楽というかなんというか夜話<その1>

2020年から暗雲のようなものを持ち込みながら迎えた2021年。
今までレジャーだった部分がごそっとなくなり、だいたい仕事、散歩する、配信見る、寝るを繰り返す日々は年が明けても変わらなかった。それでも何かに抵抗するように、1月4日に仕事の折に突然初詣をしたりなにもないけどどこかまでクルマで行っては帰ってきたりしていた。
あ、世田谷文学館のムットーニのコレクション展も雨の中走っていった(のんびりおやつ食べてたら予約時間に遅れそうになったので)。

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1年の殆どが「緊急事態宣言」下に置かれた状態の中で、開店したばかりの商店街の焼き鳥屋はいつ開いていたのかわからないぐらい閉まり、その一方でTOKYO 2020のフラッグが商店街の街灯をはためき続け、テレビが平和の祭典をもてはやし、自身は相変わらず悶々としていた。そんな中くるりから届いた新たなナンバーはなんともアンニュイで。

「Baby I Love You」を通ってきたぼくたちにとって「I LOVE YOU」というさらに直球なタイトルで来られると、どんなラブソングなんだと気になってしまったが、直球どころか「ラブソング」に並ぶくらい歯がゆさを感じる一作である。「その決定項は誰の気持ちよ」ってどういうことよ。

わが町にバーガーキングが来て、春がきた。パソコンの修理が若干できるようになった。おそるおそる吉祥寺に買い物に行った。後輩が卒業展示をするというので山手線の向こう側まで見に行った。後輩とはこの暗雲が垂れる前に久しぶりにあって、話をしたけどまた長い時間が経ってしまった。でも今年も桜は咲いたし、15年ぶりの浅草の天丼は美味かった。

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4月30日には我らが川崎の友たろうくんと荒谷くんが属するKawasaki Meltdownがこちらも我らが女将率いるThe Skamottsを迎えて下北沢で対バン。荒谷くんが女将と背中合わせで吹いてるのが配信越しに熱いといいうかうらやましいぞ!という感じであった。ライブのあとにみんなで話したいのでまたこの対バンはやってほしい。

5月に入ると少しずつ夏が近づくような気もしたが、なかなか今年は近づかなかった。東京都から「今日もStayHomeでお願いいたします。」とLINEが来た。ガソリンはまだ139円で、去年はできなかった見本市も急遽実施されることになっていた。
蓮沼執太フィル「◯→◯」(オーチャードホール公演の配信)を観た。「テレポート」で伸びやかに歌う塩塚モエカが印象的だった。おまけの音源から外れたのが残念である。浜離宮アンビエントでの「centers#2」、夕闇の芝生の中で灯火をともしながら、都心を背にして響く祈りの音が印象深い。響、あるいはハーモニーの中にある、心を無にし研ぎ澄ませてくれる祈りの音、刹那のようなものをいつまでも追っていたい気持ちになる。

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久しぶりに絵も見に行った。中原亜梨沙さんの下図集の出版記念の個展。
下図からは定規で測ったあとなど、緻密な「線」と「自然」の設計に驚かされる。七夕物語をモチーフにした作品も出展された(下のツイート引用)。この絵について、中原さんご本人からお話を伺った。七夕、365日の中で1日だけ織姫と彦星が会える日。でも、ほかの364日、それぞれは、どんな一日一日を生きて重ねているのだろうか?このことばが自分の中にずっと絵とともに引っかかっていた。

幼い頃の記憶、今夜食べたいもの、何もかもが違う。やがて同じ場所で眠るのに。他人という不思議。星野源の繰り出すコード進行とまるで想い人でもいるかのような歌詞に、絵の中に得ていた不思議を不思議に重ね合わせてしまう。
(結局、星野源は想い人いたんですけれども。)

つづく。


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