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【メンヘラ?】中原岬ちゃんの精神分析【NHKにようこそ!】


 メンヘラとは、匿名掲示板5ちゃんねる(以前の2ちゃんねる)のメンタルヘルス板を発祥とする、精神を病んでいる人のことを指すネットスラングです。10~20代の若者達の間で使われるネットスラングで、X(以前のTwitter)で検索するとワラワラと引っ掛かります。
 
 そんな若者達の心を惹き付けてやまない作品があります。
 それが『NHKにようこそ!』です(原作者:滝本竜彦)。

中原岬ちゃんのキャラクターデザイン(アニメ版)

◆あらすじ

 大学を中退して4年目の佐藤達広(通称:佐藤君)は、ひきこもりとなり脱法ドラッグを常用するなど自堕落な生活を送っていた。佐藤は、自分が無職のひきこもりであることなど全てが、謎の巨大組織の陰謀であると妄想する。その名はNHK(日本ひきこもり協会)
 そこへ突如として現れた中原岬(通称:岬ちゃん)と名乗る美少女は、佐藤をひきこもりから脱却させるべく、「プロジェクト」の遂行を宣言。その目的が不明瞭のまま、中原による佐藤のカウンセリングが始まる。

Wikipediaより一部抜粋

◆岬ちゃんのプロフィール

中原岬(なかはらみさき)
 佐藤君をひきこもりから脱却させようとする美少女。18歳。最終学歴は高校中退。黒髪のショートカット。
 とある宗教団体の信者である叔母の勧誘活動を手伝っている。
 普段表には出さないが、自殺願望(希死念慮)を持っている。

Wikipediaより一部抜粋

※なお、原作小説・漫画版・アニメ版で、生い立ちや半生などの設定に差異がある。この記事では漫画版・アニメ版における設定を扱う。

 この作品の最大のミソは、ひきこもりの佐藤君を救おうとしていた岬ちゃん自身がメンヘラで、実は救われる側だったというアイロニーにある。

◆岬ちゃんの生い立ち背景

・酒飲みの父親が母親に暴力を振るう場面を幼少期から幾度となく目撃しており、怯えていた(アニメ版)。
・幼少期に母親を自殺で亡くしており、深い喪失体験を持つ(アニメ版)。
・高校では周囲と馴染めず、孤立していた(漫画版)。

◆岬ちゃんの精神分析 

 幼少期の家庭環境に恵まれず、深い喪失体験を持ち根は自己評価が低く劣等感が強い。メサイア・コンプレックス(※注)を抱えていると思われる。佐藤君をひきこもりから脱却させるというプロジェクトは、そのメサイア・コンプレックスから来ている行為である可能性が高い。
 アニメ版では上は黄と黒のシャツ、下はデニムパンツという服装をしていることが多く、こだわりの強い一面が窺える。高校では周囲と馴染めず孤立していたが知能そのものには問題はない。
 以上を吟味すると、強いこだわりやコミュニケーションの障害を主症状とするASD(自閉スペクトラム症)なのでは?という疑問が浮上するが、男性に比べて罹患率の低い女性であること、佐藤君のように心を開いた相手とは円滑なコミュニケーションが取れていることから、どちらかと言えばパーソナリティの問題が核になっていると思われる。真っ先に疑われるべきはBPD(境界性パーソナリティ障害)である。いわゆる「メンヘラ」。

※注:他者を救うことで自分自身の劣等感を拭おうとする心理。
 
 DSM-5では、以下のうち5つ以上に該当するとBPDの診断基準を満たす。

①現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力。
②理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式。
③同一性の混乱、著明で持続的な不安定な自己像や自己観。
④自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、無茶食いなど)。
⑤自殺の行為、自殺のそぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。 
⑥顕著な気分反応性による感情不安定性(通常2~3時間持続し、2~3日以上持続することは稀な強い気分変調、イライラ、または不安)。
⑦慢性的な空虚感。
⑧不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(しばしば癇癪を起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)。
⑨一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状。

 岬ちゃんは①、②、③、⑤、⑥、⑦の6つに該当する描写がある。

①現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力。


②理想化と脱価値化との両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式。


③同一性の混乱、著明で持続的な不安定な自己像や自己観。


⑤自殺の行為、自殺のそぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。


⑥顕著な気分反応性による感情不安定性(通常2~3時間持続し、2~3日以上持続することは稀な強い気分変調、イライラ、または不安)。


⑦慢性的な空虚感。


 今回は以上です。
 この企画は個人的に面白いので、別の機会に再びやるかもしれません。
 最後まで読んでいただいたことに感謝します。

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