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経理部門における属人化からの脱却 #5 職人の持つ技を身に付ける(共同化)

前回は、チャンスをモノにするためにも先んじて動いておくことが大切だったんだな、と実感したことをお伝えしました。(ほとんどラッキーですが。)

ここからやっと、お伝えしたかったメインを書いていきます。

できない者が最初に考えたこと

連結決算や資産除去債務などのスキルがない私でしたので、まずは担当する仕事をできるようになる必要がありました。

SECIモデル①共同化

最初に取り組んだことは、SECIモデルで言うところの「共同化」でした。

グロービズ経営大学院の解説によると、「共同化」とは、「経験の共有によって、人から人へと暗黙知を移転すること」だそうです。

SECIモデルを認識したのは実は最近で、今年10月に受験した中小企業診断士二次試験に係るスクール解説を視聴して、でした。それこそ11月になって、です。
(「暗黙知」、「形式知」という単語は聞いたことがありましたが)SECIモデルを知らないまま中小企業診断士を受験していたという残念さはちょっと横に置くとして、このSECIモデルなるものと私の取組み実例がハマっているように思えたのです。

恐怖心で必死

話を元に戻します。
「私」は、連結決算や見積りネタの実務経験がなく、10年前に取得した簿記2級では連結も減損も対象でなく、ましてや連結決算システムの操作方法もわからない状況で、まともな引継ぎもなく実戦投入となりました。

この連結決算システムは、「前任」が導入から中心的に関与していたもので、「前任」以外によくわからない状態になっていました。
昔は、連結パッケージも連結精算表もエクセルで作っていたのですが、連結決算担当の減員や業務集中に耐えかねた「前任」がシステム化に踏み切ったようで、導入時のコンセプトや考え方なども含めた一切が「前任」の脳内にあるままでした。もちろん、それ以外の担当業務についても整理されたものはなく、過去に処理したエクセル群についても「前任」のPCのローカルにしか保存されていない状況でした。
 #組織として想像以上に危険な状態だったと思います。。

実際に取り組んだこと

このような状況下、私が最初に取り組んだことは次になります。

・連結決算システムの操作方法やこれまでの連結修正の考え方などを含めた一切の情報について、「前任」から具体の内容を引き出して「私」が1人でできるようになるためのレッスンを受けること。
・引継ぎの過程で過去に処理したエクセル群を譲り受け、チーム内の共有に保管すること。

レッスンというと大げさですが、実務を通じてやり方を教えてもらった、ということです。そして、この1つ目の項目、まさに「共同化」だったんだと思います。

前任しかできない状態だった個別修正・連結修正、その考え方の理解、連結精算表や連結F/Sへの流れ、システム操作の習得について、私もできるようになるということは、「経験の共有によって、前任から私へと暗黙知(前任の持つノウハウ)を移転すること」に該当するものと思いました。

多いときは週5日毎日、前任に連絡して、行き詰ったネタのひとつひとつを掘り下げ、自分の考え方をぶつけてみては答えを教えてもらってやり直す、という取組みを続けました。

なお、私にとって幸運だったことは、職人気質の「前任」と「私」とが旧知の仲だったことです。
今思えば、論点を掘り下げる深さが近かったという部分が仲の良さにつながり、「前任」から煙たがられることなくレッスンを受け続けられたように思います。(これもラッキー。)

このような幸運に恵まれながら、「共同化」と並行して取り組んだことを次に書いていきたいと思います。(続く)




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