結婚式

緊張しいである。

人前に出て話すとかなるともう数日数週間前からドキドキして、失敗しないように脳内シミュレーションをする。

発表する原稿などは作る事が出来る。
しかしそれを人様の前で発表するとなると話は別だ。
上手いこと言えない。
プレッシャーに押しつぶされそうになる。

しかしその緊張を悟られたくないので、「緊張してます」と言いふらす事は余りない。
限りなく涼しい顔で澄ましている。
おかげで肝心の時にプライドをかなぐり捨てて「私、緊張してます!無理!」と言っても信じてもらえない。
普段の行いが功を奏して自分の首を絞めるのである。
これを世間一般的に自爆という。
誠に残念な行いである。

緊張しいなので、結婚式もしなかった。
旦那は多分しても良かったし、旦那の家族も「しなくていいの?」と聞いてくれた。
しかし花嫁が望んでないので決行されなかった。

人前で愛を誓うなんて、あなた…。

この私に出来るとお思いですか?
いやもう絶対に無理である。私にしたら拷問なのである。

そもそも結婚式となればお金もかかるし、手間隙もかかるし、気も遣う。

それでも尚人前で幸せを宣言し、ウエディングドレス姿を披露する根性が羽鳥にはなかった。

人様の結婚式には参加させて頂いたが、あの舞台を作り上げるのに新郎新婦はさぞかし手を尽くしたと思うと尊敬する。

あの舞台の主役に自分がなるイメージが全く沸かない。
成人式の着物も鬱陶しくて早く脱ぎたかった私であるから、お色直しなど考えたくもないのである。
そして人様にわざわざ集まってもらってお祝いしてもらって見せる花嫁姿が私であるなど…。

本当に、「ひー!!」って感じなのである。

なので、写真だけ撮りました。
一応。
当時の私がお休みを取って、お洒落なフォトスタジオで写真だけ。
自己満足なのでこれで良いと思っていたし、特になんの感慨もなかったのだが、今になって母が知人の結婚式に参列し、
「本当はお前の結婚式で着物を着たかった」
と言ったのでちょっと申し訳ない事をしたなあと思ったのである。
きっと父もそうだっただろう。
花嫁からの手紙をもらって泣きたかったに違いない。
申し訳ない。

しかし娘は何度も言うように人前でいちゃつくなど、2人の生い立ちを語られるなど、耐えられませぬ。

お父様お母様。
ウエディングドレス姿も和服姿も、きっと気を使って綺麗と言ってもらえるでしょうが、
「そりゃ結婚式だから言わないとまずいと思うよね。気を遣わせてごめんなさい」
と素直に受け取る事ができませぬ。

結婚式のBGMも、レゲエとHIPHOPばかりだと親族がビックリするに違いありませぬ。
睡蓮花と共に登場したら沸きますか?
そんなはずはありませんね。
分かっています。
花嫁はタオルを振って登場すべきではないのです。

旦那はちなみにレゲエもHIPHOPも大して好きではありません。

花嫁の自己満足はどこまで許されますか。
親戚の挨拶も、頼んでおきながら「長いわー」と思うに違いありませぬ。
そろそろ泣かないとまずいか、と、泣き所に身構えてしまう可能性も高いのです。

世間には結婚式に向いていない花嫁もいる。

弟の結婚式があればそちらを全力でサポートしたい所存であるが、生憎相手すらまだ見つかっていない。

お父様お母様その節は申し訳ありません。
あなた方の娘はこのように捻くれて育ってしまいましたので結婚式は出来ませんでした。
お許し願いたい。
不出来な娘の懺悔である。

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