猫の川流れ

昔、親に「あなたは橋の下に捨てられてたのよ」と言われた事はないだろうか。

言われたことのないあなた、優しい世界に生まれましたね。
言われたことのあるあなた、世の中ってそういうもんですよね。

羽鳥は言われましたよ。
「あんたは川から流れてきた猫なの」と。
「川に流れる段ボールの中でみーみー泣いてたから、不憫で育ててみたら人間になった」と。

そんなミラクル、ありえます?
世界が驚愕するよそんなの。
よくグレなかったよ私。
親の悪ふざけ、極まれりですね。

弟はもっと可哀想だった。
「あんたは橋の下に捨てられてた豚なの」。
まさかの。豚って。
育ててみたらこちらも人間になったそうで。

だとしたらうちの親は優秀な飼育員。
もしくはなにかの研究員で私達は実験で人間にされたとしか思えない。
そんなドラマはもちろん背負ってないし、背負う覚悟もないのである。

その親の悪ふざけにより、幼い純粋な弟は泣きましたよ。
可哀想に。
「俺、お父さんとお母さんの子じゃないの!?」と。
あの日の可愛かった弟はすっかりひねくれて、その日を境にポケモンマスターを目指すようになりました。
今はソシャゲ王を目指してガチャを回す日々だそうです。
彼の夢に幸あれ。

しかし私の顔は母そっくりなので、間違いなく血が繋がっている。
母も実は川を流れた猫だったりして。
そうだったらちょっと面白い。
あなたの隣にも、実は元は違う動物で、人間になった人が紛れてるかも。

なんて親の悪ふざけをポジティブに捉える歳になりました。
ふと猫を見て思い出した思い出話。
楽しんでいただけたら幸いである。

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