「旅とは何か」ではなく「旅とサッカーとは何か」という議論をするOWL magazineのメンバー
この記事は、旅とサッカーを彩るweb雑誌OWL magazineのコンテンツです。この記事単体で購読することも出来ますが、月額700円で15〜20記事が読み放題となるのでとってもお得です。
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この記事では、旅とは何かをゆるりと議論していますが、そこから旅は旅でもサッカーがある旅とは何だろうかというところに話が落ち着き、最後は関西のおばちゃん。
登場人物
ふらいくる:新米物書きであり期待の新星。札幌サポ。ガチサポ気味なので不用意に札幌の話題を振るとちょっとめんどくさい。あんまり旅に出たことがない引きこもり系の若者。OWL magazineのチャーリーブラウン。癖の強い人たちに囲まれて、いつも大変な目にあっている。Twitter, note
円子文佳:旅の経験はとても抱負。現代の貴族なので、旅の予算が二桁くらい違う。J2旅紀行を満喫する柏サポ。OWL magazineのシュレッダー。いつも優雅にピアノを弾いているイメージ。Twitter,note
中村慎太郎(鳩):作家業。最近、スヌーピー化している。小難しいことばかり考えているようで、実は何もしないでチャーリーブラウンからもらった餌を食っているだけのゲスである。猟犬の癖に一切猟が出来ない。一応FC東京サポ。書いておかないと本当にクズみたいなので自分で書くと、サッカー本大賞2015を受賞。芥川賞作家の先輩になったことを自慢し始めたのでやっぱりクズ気味。Twitter,note
たえ:旅に出ないタイプの旅人。あまり表には出ないタイプなのだが、思い切り発言しているのでカット不能なのでそのまま出します。そのうちペンネームが出来るかも。ちゃきちゃき仕切るのでルーシーっぽいけど、そんなに軽率ではありませぬ。
この鼎談は、まだOWL magazineがオープンする前に収録したものです。なのでまだ名前も決まっていません。
ふらいくる:さて、これから旅とサッカーのマガジン(OWL magazine)のプロジェクトを始めようということで集まりましたが、実は僕自身は、あまり旅とサッカーについて深く考えてきませんでした。
だから、旅ってなんだろうとか、どうして自分が旅をするのかというところがうまく考えられていないところがあります。ただ、Slack(オンラインチャットツール)で中村さんと円子さんが対話しているのを見て、この場で改めて噛み砕いて話して頂けるとありがたいと思っています。というわけでまずは、円子さん。人はなぜ旅をするのかっていうところから……。
※編注 初めての司会進行をしたふらいくるは、挙動不審でした。
円子文佳(まるこふみよし。以下、円子):いきなり、そこからはいりますか(笑)。
中村慎太郎(以下、ニックネームの鳩):せっかくの振りなんで、ホモ・サピエンスとは何かから振り返るといいのでは!
ふらいくる:そこからお願いします!
円子:なぜ旅するのかというと、人はそういう風にできているからです。ただ、なぜ旅とサッカーなのかっていうのは、僕もまだよくつかめていないんですよね。この話が動き出したのは、中村さんがこういうのをやりたいという話を出してきて、それにみんなが賛同したからだったと思うんですけど、中村さんがなぜそういう事を言いだしたのかはぼくもわかってはいません。
鳩:僕の発想の根本は、旅とサッカーについて書きたいけど適当なメディアがないというところがなのですが(参考記事:サッカー旅の記事をどこに出すか超悩んでいる)、どうして書きたいのかを掘り下げるのも重要かと思っています。
「旅とは人生だ」などと言っとけば何となく形にはなりますが、それではなんだかわからないわけです。にもかかわらず、旅とは何かという問いを立てただけの段階で、想像以上に多くの人が賛同してくれて、OWL magazineの立ち上げメンバーが集まってくれました。
それ以外にも、なんだかわからないけど面白そうだねと言ってくれる方も多いわけです。この魅力は一体何なんだろうというのをふらいくるにつきとめてもらいたい(笑)。
ふらいくる:僕ですか?!パスがどんどん回ってくる(笑)。
鳩:そして、誰もシュートを打たない。これが、模範的なジャパンウェイだね(笑)。
円子:さておき、旅とサッカーを書こうと思ったきっかけが知りたかったんですよ。
鳩:最初のきっかけはライターとして、請負で書いているだけじゃなくて、自分が編集する側、発行する側にまわらないと40歳超えてから仕事がなくなるというリアルにやばい話があったからです。これをフリーランス40の壁といいます。
となると、何らかの専門分野があって、それについて発行側をやるということになりますが、何をメインテーマにするかを探していたところで、サッカーと旅が書き手としても一番好きなので、これかなぁと思ったわけです。
ふらいくる:一番やりたいのがサッカーと旅ということですね。サッカーについては『サポーターをめぐる冒険』という本も書かれているのですが、そこに旅がセットになったのはどうしてですか?
鳩:ブラジルW杯のことも書いていて、それは一応サッカーと旅がテーマなわけです。だからこれまでやってきたことではあります。逆に問いかけますが、実は旅の本、旅だけがテーマの本は意外と難しいのです。ちょっと聞いてみますが、旅だけの本というと何を読んことがありますか?
円子:本ではありませんが、正月は路線バスの旅の動画をずっと見てました。蛭子能収さんが出演しているものです。路線バスだけでどこからどこまで行けるかという企画で、すごく大変そうなんですよ。
鳩:ふらいくる、やってみたら?(笑)
ふらいくる:いやー……(笑)。旅の本というと、僕が初めて読んだものは椎名誠の『あやしい探検隊』です。
鳩:あー、いいの読んでいるね。
ふらいくる:親の影響です。インドに行った話とか、スリランカにいった話とか。
鳩:このプロジェクトをなんで始めたのかという質問に対する回答としてはちょっと恥ずかしいんだけど、「ぼくは椎名誠みたいになりたかった」というのが正直ある……(笑)。椎名誠さんみたいに、書き手だけじゃなく編集もやりつつアウトドアも楽しんでというのがぼくの理想型なのよね。
ふらいくる:じゃあドンピシャですね!!僕、ずっと読んでました。
鳩:椎名誠は旅、冒険、自然探索などを書いていてるのだけど、彼は学者ではないので自然科学の視点での深い話はしていません。これって、ぼくのサッカー書き物と似ているところがあります。ぼくは、戦術分析家でもなく、元選手でもないのだけど、旅と絡めながら楽しく語りたいわけです。
ふらいくる:旅と絡めることで、ちょっとワクワク感が広がるところがありますよね。
円子:それがどんな旅であれ。
鳩:そうそう。そうなんですよ。パスタを食べるだけではなく、美味しいパスタを探す旅とすると、途端に色っぽくなります。
ふらいくる:概念として、冒険と旅って同じものなのですか?親和性があるし、場合によっては一緒の時もあるような気がしますが。そして、この企画は、冒険ではなく旅なんですよね?
鳩:ぼくにとってブラジルW杯への旅は冒険的だったんですけど、あんなこと日常的にやっていると力尽きます。たとえば僕アルゼンチンに行きたいのですが、治安状況や距離を考えると、ぼくにとっては冒険的になります。
一方で、島根に行って松江シティの試合を観るというのは、普通にやったら冒険的にはならないんですよ。ハードルの高さもあるので、マガジンのテーマを冒険に限定するというのは現実的ではないですね。冒険は旅のパターンの一つです。
ふらいくる:そこまではわかりましたが、冒険ってなんなんですか?
鳩:そういう概念的なのは円子さんに聞いてください 笑
ふらいくる:今の話だと冒険というのは旅の一ジャンルだということですが、円子さんとしてはどうですか?
円子:なにかに挑戦するってことなんじゃないですかね。よくあるドラクエみたいな。ドラクエだと旅もしつつの冒険ですが、ウィザードリィだと旅じゃないけど冒険ですよね。ウィザードリーシリーズは、ダンジョンを探索しながら悪魔と取引するなどしていくゲームです。日本ゲーム史の古典ですね。
ふらいくる:つまり、ウィザードリーでは移動を伴わないということですか?
円子:そういうことです。洞窟に潜るだけでも冒険にはなります。
鳩:ダンジョン系の冒険と……。ダンジョンは探検かもしれないですね。冒険は、文字通り、危険を冒すという意味です。
ふらいくる:未知との遭遇、新しいことをする?
鳩:未知との遭遇は探検でもいいのかな。ぼくの中では、冒険の定義というのは、引き返せと言われているのに引き返さないことです。やめとけよって言われても行くことです。危険を知らずに行ってしまうのは、結果として危険に遭うとしても、心情としては冒険ではありません。危険を覚悟で行くからこそ冒険です。
ドラクエⅢで、地球のへそだったかな。壁についている顔型のモニュメントに「ひきかえせ……」って繰り返し言われるダンジョンがあるんですよ。しかも勇者一人で行かなければいけなくて、非常に心細い。それ振り切っていくとブルーオーブという超重要アイテムがあります。
円子:エアーズロックですね。オーストラリアの。あれ世界地図ですから。
鳩:へえー!
澤野編集長:知らなかったの???!!!
鳩:そういやジパングとかあった!そういやそうだ。子供の時にやったからよくわかってなかったです(笑)。
たえ:ということは、ここでサッカーと冒険ていうのにしなかったのって、もっと日常的なもの、そんなに特別なものを愛でたいから「サッカーと旅」ってことなのね。そうじゃないかと思ってたんだけど。
鳩:うおっ。たえさんも喋るんですね。そのまま対談にいれちゃっていいですか?
たえ:あ、そうか!黙っているつもりだったけど、まぁいいわ(笑)。
円子:冒険って全く新しい未知の場所に行くことというニュアンスですよね。旅と言うときは、未知の場所に行くというより、非日常な体験だったら旅なんですか?
鳩:冒険というと、そこに置いてある『謎の独立国家ソマリランド』みたいな大きな話にしないといけなくなる。それだと1記事レベルでまとめるにはプロ中のプロの技術が必要です。
ふらいくる:冒険だと客観的に冒険と思われないと冒険にならない感じがします。
円子:アルゼンチン行くだけなんて冒険じゃないだろって言われちゃうかも(笑)。
ふらいくる:一方で、旅っていうのは客観的にもこれは旅だねって行ってもらうこともないし、主観的に旅なら旅ですよね。
鳩:これは旅じゃないっていわれることってないよね。主観的なものといえるかもしれない。
ふらいくる:主観的だからこそ、みんな思い思いの旅があるから面白い。
鳩:そこは面白いところだと思う。みんなの「旅観」が違っている。従ってマガジンのことを考えるとそれぞれの記事も違ってくる。面白い!!となると、ふらいくるにとっての旅とは?
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