「サッカー旅記事」に最も重要なのは、旅に出る動機の共感性ではないか
サッカーと旅のプロジェクトが水面下で着々と進んでいます。顔合わせてのミーティングや、Slack内でのオンラインミーティングなどであれこれ議論しているわけですが、その中で面白いやり取りがあったので記事にしようと思います。
登場人物
中村慎太郎:作家・ブロガー。デビュー作『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。ブラジルW杯の旅行記は電子書籍『Jornada』にまとめる。未完。当プロジェクトでは発起人であり、主筆。Twitter
maruko1192:当プロジェクト代表。柏レイソルサポーター。36カ国を旅している。中村が書いたnoteの記事を読んで、真っ先に名乗りを上げてくれた人。カルマ値高め。 Twitter
Slackでこんな提議があったことから話が始まります。
某氏:これ結構重要な気がしていますが「サッカー∩ 旅」と「サッカー ∪ 旅」のどちらをイメージしていますか?みんなのイメージが違ったらまずいんじゃないかと思いまして。
中村慎太郎(以下、中村):む、集合記号!久々に見ました。えっと……、要するに、このマガジンで扱うのが「サッカーかつ旅」なのか「サッカーか旅のいずれか」ということですね。サッカー旅だけを対象とするのか、旅記事、サッカー記事も認めるのかどうかですね。
maruko1192(以下、maruko):ぼくの認識だと「サッカーかつ旅」でした。そのうえで、サッカーに限らずスポーツツーリズム全般を扱ってもいいのではないかという話が出てきたのかと。
中村:ぼくとしては両方です。まず、サッカーなのかスポーツなのかについてですが、マガジン名にサッカーという題目は掲げてもいいかと思うものの、扱うのはスポーツ全般でいいと思っています。
そして、スポーツ(サッカー中心)かつ旅なのか、または旅だけでもいいのかについては以下ののように整理しています。
1.主コンテンツは、スポーツかつ旅である必要がある。これはマガジンの根幹部分として必要なものだと思います。そして、これは主にぼくが書きます。分量として月4本だと少ないのでもう少しはほしいかなというイメージがあります(このへんは相談して決めましょう)。
2.主コンテンツ以外は、スポーツまたは旅でいいと思っています。要するに何でもありです。ただし、「旅」について言及している箇所を作ると良いかと思います。そして、まったく「旅」に関係ないものであっても、あってもいいかもですね。
maruko:旅に関係ないものというのはどういう想定ですか?
中村:例えば週刊Jリーグみたいな企画です。これを書くのはかなり面倒なので多分やりませんが、旅とは関係ないものの旅の大元になるサッカー情報なので、ありです。
あるいは、翌週の試合日程を見ながら、「旅に行くのならこの試合」のようにして、妄想旅テキストを書くのもいいかもしれません。それを書いた著者は、その場所に行くフラグが立つので、効率的でもあります。
maruko:なるほど。
中村:1と2の割合をどうするかを考えることが大事かな、と。1のサッカー旅が弱いと趣旨がぶれます。一方で1だけで貫くのはコンテンツ制作がかなり大変になるし、読者も疲れてしまう懸念があります。
maruko1192:ぼくも同じイメージを持っていました。ただ、サッカーと旅の配分をどうするかは検討する必要があるかも知れません。「サッカーありきの旅」を描くのか、「旅ありきのサッカー」を描くのかという問題についてです。
個人的にはサッカーありきの旅ばかりしているのでそれ以外の切り口がめったにない(たまにあったらその方が書きやすいと思う)のですが、面白ければ何でもよいのではと思います。つまり書き手次第だということですね。と思ったのですが、「サッカー」とは?「旅」とは?と考えだすと色々ややこしいことを考えだしました。
中村:ややこしいこと?
maruko1192:そうでえす。おそらく、「サッカーありきの旅なのか、旅ありきのサッカーなのか」ということについては、書き手や読者のニーズを考えると「サッカーありきの旅」が正解になるのではないかと考えました。
先日のミーティングで話したのですが、サッカーの試合は場所や時間が限定されてしまうため、自由旅行の楽しみとはバッティングしてしまいます。鳥ぎんバードスタジアムに行くと、鳥取砂丘でゆっくり出来ない問題ですね。
なので、旅が主、サッカーが従という「旅ありきのサッカー」というのは偶然が色々と重ならないと起こらない現象なのではと思います。「岡山に旅行に行ってみたらたまたまファジアーノの試合をやってみてそれはそれで面白かった」みたいなのが「旅ありきのサッカー」なのかなと思います。そして、そういうことは時々世の中にあるとは思うのですが、そういうことをわざわざ寄稿したいか、あるいはわざわざ読みたいかというといまいちですね。
さらに「サッカー」とは?「旅」とは?というのは別のテーマとして考えてしまった(結構ややこしい人間なのです)のですが、一旦やめます。
中村:いや、面白いので最後まで出しましょう(笑)。
maruko1192:では、「サッカー」とは?についての話を出してみます(書きながら自分でも考えるので結論はまだ出てないです)。旅人度では、僕とFJまりこがかなり抜けていて、僕らが「サッカーありきの旅」をしてきた方だと思います(編注:旅したことがある国の数を編集部内でアンケートした結果:FJまりこー45カ国、marukoー36カ国、中村は7カ国くらい)。
ここで問題なのは「サッカー」の意味が、僕とFJまりこでかなり違うと思うのですね。僕にとってのサッカーありきの旅は、某Jクラブであり日本代表でありと「自分のチームを応援しにアウェイに行く、ついでに旅行をする」ことだったのですが、FJまりこはサポートクラブを持たない人なので、「サッカーありきの旅」ではあると思うのですが、「サッカー」に応援要素が含まれていなさそうだなと。
どちらが正しい間違っているということではないのですが、どちらの方が多数派なのか、マガジンのターゲットになりえるのかはよくわからないところではあります。
中村:面白いですね!!ぼくは「サッカーは旅の動機」だと考えています。サッカーがあるからこそ旅に出るというのがスポーツツーリズムです。ここで面白いのがサッカーの試合観戦以外の果実が、想像以上に多いことで、書くべきなのはそっちというのがぼくの考えです。しかし、動機の部分にサッカー(あるいは他のスポーツ)が含まれていることは決定的に重要です。そうでなければサッカー旅にはなりません。
ちなみに「旅ありきのサッカー」は新婚旅行でバルセロナの試合を見るような場合があてはまります。これはこれでいいのですが、仰るようにそうそうあるものではないし、コンテンツとして弱いです。
どうして弱いのかと言うと、文章には「共感性」が重要だからです。そして、共感性について一番強烈なのが「動機の共感性」です。飯がうまそーというのも共感ですが、旅のマガジンである以上、「その旅に出る理由すごくわかる!!」となって然るべきです。
従って「新婚旅行に行くことになっていたのでついでにバルサの試合を見に行った」よりも、同じバルサならば「史上屈指のストライカー、リオネル・メッシが現役のうちにどうしてもカンプ・ノウで試合が見たい!!」というほうが良い文章になります。
さらにいうならば「自分の人生を救ってくれたリオネル・メッシにお礼を言う旅」というほうがよりよいです。逆に「大嫌いなリオネル・メッシの無様な姿を見届けるために旅に出る」というのはネガティブなのもあって共感性はいまいちです。
maruko1192:なるほど。旅ありきのサッカーというのも確かにありますね。
中村:はい。そして、旅とサッカーの記事の書き手は、サポーターであってもサッカーファンであっても、サッカーをよくわかっていない人でも大丈夫です。大事なのは旅の動機がサッカーであることで、それが共感性を持っていることです。もちろん、まったく共感性がない場合でもエンタメに仕上げるというテクニックはあります。
例えば、「最高に気持ち悪い魚である「わらすぼ」を躍り食いしてみたくて長崎に行ってきた」というような旅記事です。共感はできませんが、面白そうには思えます(ちなみに「わらすぼ」を躍り食いしたら高確率で死にます)。
書き手はサポーターであるほうが、サポーターには共感性が高く受け止められます。一方で、FC東京の応援のために名古屋に行ったというだけの記事では、エンタメ性が低く見えます。FC東京の応援で行くならば、ACLのブリーラム戦とか、プレシーズンの台湾でやる試合のほうが、面白そうな記事には見えます。
このプロジェクトでは、色々な書き手の色々な視点の記事があるのを売りとして、オムニバスとしての魅力を持たせていくことを目標にしたいですす。これは僕一人では絶対に達成できないことです。
maruko1192:ハトさんのように要素を分解して解説してもらえると非常に参考になります。
中村:議論しながらマガジンの形を作っていけるのは本当に面白いですね!!どんどん語りましょう!!
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というわけで旅とサッカーのプロジェクトは、チームで動き始めています。といいつつ年末年始はぐうたら休みました。
ここで議論しているmarukoさんは、海外サポーター仲間では知られている人で、アジアカップには大迫半端ないってのゲートフラッグを託されたのだそうです(笑)。
旅とサッカーのプロジェクトの新年の打ち合わせは明日なので、まだ詳細は詰まっていません。だけど、月に10〜15本程度のサッカー旅記事を更新していく心躍るマガジンにしたいと思います。
そして、その先には達成したい大きな夢があります。
世界へと届かせるためには、まずは国内で、自分のやるべきことを一歩一歩積み上げていきます。ぼくの役割はメインライターです。ぼくが良い文章を書けなければ、このプロジェクトは始動しません。だけど、それだけでは……。そう、それだけでは、世界は変わらないことも学びました。
作家になるという個人の夢は個人で達成することが出来ました。しかし、もっと大きな夢はみんなでつかみ取る必要があります。
このプロジェクトを始めると宣言してから、次々と、エネルギーにあふれた仲間が集まってきました。
2月にはスタートしたい!!
そのために、一日一日を大切にして、仲間と相談しながら着実に階段を上っていこうと思います。
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