家族釣りという名の幸せ製造機。小学生と船釣りした記録
ここのところのハードワークとハードプレッシャーにすっかり参っていたので、もう開き直って釣りをすることにした。
「自然の中で疲れる」という行為は、脳を非日常へと解放してくれ、日常の疲れを吹っ飛ばしてくれるのだ。
そして、息子もテレビのサバイバルものの影響によって釣りがしたいと強く言うようになっていた。コロナ禍でつまらない思いばかりさせているので、ここはいっちょ釣りにいこう!
この記事は、初めての息子との釣行について記録しておくのが目的なので、あんまり凝った文章にはせず情報中心で記すつもり。
息子「釣りに行きたい!」
そう言われたときかなり悩ましい自体が訪れる。なにせぼくは10年間釣りをしていない。近所でハゼ釣りを一回しただけである。なぜ釣りをしていないのかというと、それは明らかで、息子が生まれてお金がなくなったからだ。
釣りはそれなりにお金がかかるアクティビティで、徒歩圏内で手持ちの道具でやればそれほどはかからないが、何のかんので1万円から2万円くらいかかるのである。
安くしようと思うと、釣り公園になる。しかし、横浜以南までいかないとまともに魚は釣れないのはよく知っている。若洲海浜公園などもっての他なのだ。もちろん釣れないことはないのだが、ある程度狙いを絞って、ポイントについて知った上で釣らないとボウズに終わる可能性が高い。
ボウズとは一匹も釣れないで終わることだ。初めての釣りでのボウズは避けたほうが無難だ。やはり魚が釣れないと面白くない。
横浜以南の海釣り公園とか、伊豆のほうまで足を伸ばすなどすれば確率は高まるが、正直はじめてのポイントで確実に魚を釣る自信がない。イワシやコノシロの回遊待ちというのもなかなかしんどいし、投げ釣りでシロギスという季節でもない。適当に仕掛けをなげておけば何かしら釣れるかもしれないが、美味しい魚が釣れるかどうかは難しいところだ。
マスなどの管理釣り場に行くという方法もある。これもまた楽しいのだが、放流直後のチャンスタイムに入れ食いになった後は、ひたすら食い渋ることが多く、しかも釣った数だけ金を取られるという萎える構造になっている。そもそも、養殖魚を釣ったところでやはり釣りのダイナミズムは味わえない。
ぼくが海釣りが好きなのは、わけがわからない外道魚が釣れてくることなのだ。というわけで選択肢はやはり船宿になった。船釣りは、普通に考えるとハードルが高いし、お金もそこそこかかるのだが、ぼくの場合は船に慣れているのもあるし、お金さえ出せば釣果がある程度計算できるのがいいところだ。
船宿での釣りについて知識がない人に向けて少し説明しよう。
仕立て船というチャーター船と、乗り合い船という知らない人と船に乗っていくスタイルがある。仕立て船を立てるのが一番やりやすいので、本格的に初心者が多い場合には仕立てるのもいいと思う。これまで5,6回、仕立て船は出したが、船中知り合いなのは雑談をするだけでもなかなか楽しい。船の上でビールを飲んで遊んでいてもいい。
一方でデメリットもある。
・8人〜12人集めなければいけない
6人くらいでも出船はできるのだが、1人当たりの料金が高くなってしまう。極論すると1人で10万円払えば出船してくれるはずだ。
・天候の予想がつかない
予約の段階で、当日の天気や海況を予想することは困難だ。東京湾での釣りは比較的風に強いのだが、東京湾でも1〜2メートルの波になることもある。なんだ1メートルかと思うかもしれないが、自分の足場が1メートル動くのである。船に慣れている人なら余裕なのだが、慣れていないと座っているだけで吐きそうになるだろうし、子供を連れて行くのは少々怖い。
調べてみると2.5メートルまでは安全に出船できるらしく、その2.5メートルギリギリで乗ったこともあるのだが、としまえんにあった「パイレーツ」というアトラクションばりに揺れた。海の研究者だけでいったのだが、その中で淡々と魚を釣り上げられたのは、プランクトン屋の釣り人だけであった。
あんまりきつそうだったら見合わせてもらうことも出来るのだが、船宿さんは電話では塩対応なことも多くなかなか難しい。メールフォームなどで相談するか、釣行の後に直接話をするかしたほうがいいと思う。
・ある程度の経験が必要。
あと経験者じゃないと専門用語が多すぎて何をいっているのかわからないかもしれない。
「アジだとLTなんですが、タナ深めなのと、小まめに取り直さないと釣果でづらいです。ビシは指定の物を使って下さい。初心者に慣れた中乗りさんにしておきますね」
専門用語があってもこのくらい丁寧ならいいのだが、もっとぶっきらぼうなこともある。
「アジね。はい。いつ?はいはい。」
「アジ釣れますか?」
「まーアジだからね。タナ合わせてね。LTだから大丈夫。」
「アジ以外も釣れますか?」
「んー。泳がせで青物やってもいいよ」
これでも親切に答えてくれているのだが、はじめての釣行としてはちょっと不安が残ることだろう。
というわけで乗り合いである。
こちらは船宿選びがすべてだ。ぼくのお勧めは金沢八景から出ている半日船。比較的「観光」の色合いが強い土地柄なので、初心者や女性、子供にも親切な対応が期待できる。
逆に「漁業」の色合いが強い漁港では、知ってて当たり前、知らないと怒鳴られる、魚に逃げられると怒られるなどの理不尽な目にあうこともある。
そう、船長に怒鳴られるのである。
「下手クソ!!しっかり巻け!!」
それがトラウマになってGoogleなどの評価で1をつける人もいるのだが、まぁ漁師だからね……。釣らせてあげようと思って、精一杯頑張ってポイントを探しているのに、せっかくかけた魚を逃がされたら腹も立つのだろう。どれだけ釣れたかが自分の評価にかかわるわけだから。漁師だからね。
観光であればサービスが大事、漁であれば釣果が大事。怒鳴られてもめげないメンタルと、厳しい環境でも自分で対応して修正できるだけの知識と経験があれば、そういうところで成果を狙うのも楽しいだろう。
また、やる気もなく態度も悪い船長もいないこともなくて、そういうのは本格的に外れなので二度といかないほうがよい。
ぼくのお勧めは一ノ瀬丸さん。他にも良さそうなところがあるけどいつも使っているところなので。船長さんがみんな「不気味なくらい」親切。日焼けして、金ネックレスをした「いかにも漁師」という大柄なおじさんが「これに座ってね」とわざわざ椅子をもってきてくれるなど。なんで不気味だと思うのかというと漁師さんは、親切な場合でも「すわれぇー!」みたいな言葉を発するだけのことが多いからだ。
ニコニコしながら親切にしてくれる漁師風の男性にであるのは、金沢八景の船宿だけかもしれない。
基本的に全方位的に親切なのだが、朝の忙し時間とかはピリピリしているので要点だけを話すほうがよい。初めての釣り人もやまほどくるようで対応にも慣れている。
というわけで金沢八景の半日船、お勧め。
一日船 朝5時半〜夕方4時くらい
半日船 朝5時半〜11時半くらい or 12時半〜4時くらい
半日船は料金が安いのと、子供が船酔いしてもリカバリーが速いのでお勧め。というか、最初の釣行は半日船がマストと言えるかもしれない。
主な釣り物は時期にもよるが、LTアジ、シロギス、メバル、カサゴ、イシモチなど。
LTというのは、ライトタックルのことで、重りが軽く、水深も浅いのでお手軽である。ヘビータックルという言葉はないのだが、比較に載せておこう。
LTアジ
水深 10~25メートルくらい 重り40号(150グラム)
普通のアジ釣り
水深60~100メートルくらい 重り100号(375グラム)
LTだと手軽だけアジのサイズは小さめ。普通のアジ釣りは、重い仕掛けで深いところを狙う。流れが速いところだと扱いが難しい。あと、ぼくは使ったことがなくて100メートルでも手巻きでやっていたのだが、電動リールがないとちょっと厳しいかもしれない。というか一日やっていると、下手な拷問よりもハードである。
電動リールと貸し竿レンタルだと毎回2000円以上かかるし、竿を買っちゃおうかなぁというのが釣り沼である。
竿は汎用性のあるもので1〜3万円で、もっと高いランクのものもあるようだが、正直よく知らない世界だ。ただ、釣り道具は肉体の延長で、釣り糸も感覚を海中まで延長させるものなので、スムーズに動くもののほうが気持ちがいい。
釣りの上手さというものにも色々と考え方はあるのだが、道具を正確かつ迅速に扱い、ミスを起こさないというのも上手さの1つだ。そういう意味ではぼくはあまり上手な釣り人ではない。
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一向に始まらないので釣行へ。
午後船にしたので、10時半に家を出て、11時半に金沢八景到着。船宿は狭い駐車場に車を止めるため色々ややこしい。勝手に止めずに確認すると、車幅ギリギリのところに止められるかとやや申し訳なさそうに聞かれる。
とはいっても、いれるのは楽勝だ。左右15センチも空いていなかったけど一発でいれる。ただ、それだと出れなかったのでちょっとよせて、細い隙間からすり抜けるように車を出た。
「すごいですね!!私なら絶対無理です!!」
「タクシードライバーなんで、任せてください!」
人生で一度はやっとけタクシードライバー。慣れると夜間にぐねぐね曲がった坂道をバックで登って出ないといけない状況などにも対応できるようになる。天敵はUber EATS。
さて、息子氏は行き道はハイテンションであったものの、船宿にたくさんの人が出入りしていて、パパがわけのわからない専門用語で知らないおじさんと談笑しているのを見て、ちょっと引き気味。
初心者パパの場合は、初心者です宣言をして周りの人から情報を引き出すといいと思う。みんな初心者や子供に慣れていてとても親切だ。ただ、気が立ってる漁師系の釣り人がいることもあって、そういう場合は塩対応なので近づかないようにしよう。
船での座席。
玄人は船の後ろのほう(トモと言う)に座ることが多い。特等席だが、個人的には排気ガスが飛んでくるので好きじゃない。
前の方(ミヨシと言う)に座る玄人もいるのだが、揺れが激しいのであんまりお勧め出来ない。
真ん中辺(胴の間)に座るのが揺れも少ないし、近くに船長もいるので困った時に聞けるのでお勧め。隣にめんどくさい人がいると釣りがしんどくなるので、
というわけで胴の間に陣取る。
船が動き出すときに「おおっ!!すげぇ!!」と一言。
頂きました!!連れてきて良かった。
ただ、その後は船が揺れるのにびびりたおす。巡航中はそれなりに揺れるので、座って遠くを見ているのが良い。
出船前にベテランの釣り師に教わったのが「とにかく話しかけ続けること」。下を見たり、何か作業をしたりすると酔うことがあるので会話に集中させるのがいいらしい。
だから耳元で叫ぶ(風音、エンジン音がうるさい)。
「あそこに、ジェット!コースター!あるよ!!!」
「みて!!おおきい!!工場!!!」
「あっちのほう!!!千葉県!!!!こっちは!!!!神奈川県!!!!」
というわけで難所を乗り切る。
最初は船が揺れるし、道具の使い方もわけがわからないしで萎えるかと思いきや、最後のほうまで積極的かつ勇敢に釣りに挑んでいた。
「いつもすぐやめたいとか帰りたいとか言うけど、言わないでしょ?なんでだと思う?」
「なんでなの?」
「釣りが楽しいから!!魚釣りたい!!」
潮風が目に染みるぜ……。なんとか釣らせてあげないと。
LTアジは、簡単な釣りなのだが、この日は若干悔いが渋めで、この傾向は一日続いた。根が点在するようなポイントだったようで、小さいカサゴがよくついていた。
息子氏も最初に釣り上げたのは小カサゴで、え?おまえいたの?と目を白黒させる。でも、それは「本命」ではなく「外道」だと教えていたので、すぐにアジを狙う。
5センチくらいの豆アジを釣るという逆に難しい成果をあげるなどして迎えた運命の瞬間……。
釣れた!!えらい!!
実際には、父がタナ合わせから何から全部やっていたので、独力で釣ったとは言いがたいものの、自分で巻き上げた糸に魚がついているのは格別だよね!! すごく嬉しそうだった!!
この日は、起伏に富んだ海底地形だったようで、正確にタナを取るのが正解だったようだ。
ぼくが自分の竿で釣りをしたのは1時間半もなかったと思うのだが、正確にタナを取るとしっかりあたりが取れて、10尾くらいは釣ることができた。仕掛けをいれるたびにすぐに魚を釣り上げるパパをみて、息子氏もかなりびっくりしていたようだ。
2匹のアジがついていることをダブルというのだが、一度このダブルを決めることができて、帰り道で「追い食い」というテクニックを教えたら感心していた。いい感じに父と息子の関係が作られているなと感じる。家でもいいんだけど、そういう意味でアウトドアはいい。
そして息子は海の上で食べるじゃがりこのうまさを知ってしまった。やつはもう帰れない。
さて、船を下りて、精算をして帰途へ。釣りの話を少しすると、息子は爆睡してしまった。珍しい。
帰宅。
調理へ。
アジ13尾は、2尾を両親に貢ぎ物にする。
あとは、謎の息子料理、刺身、なめろう、唐揚げにした。
小カサゴは、丁寧に二度揚げして全身唐揚げにした。
唐揚げ。見た目はともかく、バリバリ食べれてとても美味しかった。ただ、カサゴの唐揚げという絶対の強者(唐揚げ史上最強の器)としては、やはりちょっと風味が足りない。これから色んなものを悪食して、あの味をつけていくのだろう。
刺身。見た目はともかく味は良い。疲れて帰ってきた後、見た目を整えるのはめんどくさいのと、今は器の準備がないので次の課題とする。
血抜きをしないですぐ凍結にしたため、若干の地の臭みがあったため、ほんのちょこっとにんにくを練り込む。サクサクの歯ごたえにしっかり脂も乗っていてとても美味しい。やっぱり釣り鰺、最強ですわ。
なめろう。見た目はともかく味は良い。切り身を包丁で叩いて、味噌と和えたもの。めんどくさいのでネギやら生姜やら大葉はいれなかったのだが、やっぱりいれたほうが美味しい。次回はちゃんとやろう。
このなめろうが食べたくてアジ釣りばかりしているのである。
謎の息子料理。
割けるチーズ、スモーク味を使って、新料理を作ると意気込む息子氏。割けるチーズを使ってどうやって料理にしようかと悩むパパ。
結局、牛乳を加えて煮込む料理を提案した。
ジャガイモと人参を細かく切ってオリーブオイルで炒める。そこに適当な大きさに切ったアジとスモークチーズを投入。牛乳を入れて煮込む。
塩加減を調整し、乾燥バジルと胡椒で風味を付ける。
溶けづらいスモークチーズがドロドロしてきたら完成!
結論、すごく美味しい!!
いつもご飯の食べ方が渋い息子氏であったが、自分考案の料理とのことで大喜びでおかわりをしていた。
とはいえ、実はこの料理。鮮度の良いアジでやるものでもなくて、正直魚はなんでもいいというくらいミルクスープの味が勝ってしまう。
逆に癖の強い魚の場合には、ミルクと喧嘩して変な味になってしまうこともある。主役であるはずのアジに潰れ役になってもらい、牛乳とチーズを主役とした不思議な料理にはなったが、結果は美味しくできたのでこれでよい。
プレミアムモルツを飲み、美味しい刺身と料理を食べて、パパも満足だ。一瞬だけとはいえ本気を出してしっかり釣果を稼いで良かった。
釣りに行った息子は終始得意げで幸せそう。また釣りに連れて行ってねって。いけなかった4歳の娘も「おさかなだ!!おいしい!!」とおおはしゃぎ。釣りにいっている裏でママと2人でたっぷり遊べたのもよかったらしい。
ママも久々に三枚下ろしをしたり、大好物のなめろうを食べたりして大満足。
みんな満足して、幸せ一杯で、そのあとは4人で楽しく話しながらそのままごろんと横になった。
釣りにいくと幸せが増える。これも新しい発見。子供ができて、お金がとにかくかかるので釣りなんか行く余裕がないと思っていたのだが、まぁまぁ余裕はある程度できてきた。
何の余裕かというと保育園代月7万円が、小学校に入るとなくなるから余裕ができるのだ。下の子は、無料化の恩恵を預かっている。ようやく中村家も安定ステージに入ってきた。
あとは、魚の調理をする機会もだいぶ減ってしまっているので、調理用具も揃え直さないといけない。あと盛り付けできるように。
友達は家族と釣りに行って、そのあと調理して食べるというのは、非常に良い楽しみ。
脳の疲れは自然の中で吹き飛び、不眠気味だったのだが9時に寝て5時に目覚めた。今日は頑張れそう。
次はどこいこうかな。
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