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福田パンという宇宙を漂った僕は、ただ恍惚とするしかなかった。
ぼくは今、岩手県盛岡市にいる。
宮沢賢治がイーハトーブと名付けた土地である。今回の旅は、いわてグルージャ盛岡のマスコットキャラクター“キヅール”と共に岩手県の名所を回ることを目的としている。
この企画は、OWL magazineのライター五十嵐メイによるものであり、ぼくはただの運転手であった。ただの運転手というよりも、編集者であり、アドバイザーであり、「財布」であった。
今回の企画は、それなりに予算の必要なものであったのだが、何とか「財布」としての仕事をこなせた。ずっと一介のクリエイターだったぼくにとって初めてこなした「ドン」としての仕事のような気がする。もうすぐ40歳だし、メディアの代表だからね。頑張らないと!!
ふー。
というわけで、プロジェクトのサポートスタッフとして写真撮影や運転を担当してきた。今後はこういう機会も増えるかもしれない。しっかりサポート出来るように、道具を集めたり、実施フローを見直したり、バックアップチームを作って連絡系統を作ったりと、色々やっていこう。
今回は、動画ディレクターとして富澤友則氏が電撃参戦してくれた(Twitter)。動画の撮影はもちろん、移動中の車内で編集までしてくれたため、タイムリーにキヅール動画をお届けすることが出来た。感謝感謝とともに、OWL magazineにがっつり引き込んで、今後は記事の執筆やその他の企画にも関わってもらうことになった。
富澤氏だけではないのだが、最近はOWL magazineに興味を持ってくれるハイレベル人材が増えている。これは、OWL magazineが活動してきた2年間が間違っていなかったということでもあると思う。支えてくれた読者の皆様、編集部の面々、ほんとうにありがとうございます!!
【キヅールと三陸鉄道の旅】
— OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWEB雑誌 (@owlmagazine2019) March 8, 2021
キヅールと五十嵐メイは、三陸鉄道・陸中山田駅から吉里吉里駅まで一緒にお出かけです🚃
キヅール、『電車移動』もできるんです!!
先頭車両に乗って進行方向を確かめています😁#いわてグルージャ盛岡#GRULLA #キヅール#owlmagazine@me1mei0502 @_Shintaro_ pic.twitter.com/02WyrdLdGN
というわけで、現在鋭意執筆中の五十嵐メイのうなり声を聞きつつも、ちょっとした小ネタなら運転手にも書けそうなので、ちょこちょこ出していこうと思う。
わおん…
— 五十嵐メイ (@me1mei0502) March 17, 2021
前述した通り、そもそも記事を出すつもりはなかった。あくまでもサポートだからだ。若手ライターの晴れの舞台に、おじさんがでしゃばるのもよろしくないからだ。
しかし、どうしても黙っていられなくなった。
福田パンに、出会ってしまったからだ。
岩手取材三日目の朝は福田パンというパン屋さんの取材であった。しかし、朝一でパン屋さんを取材するモチベーションはぼくにはなかった。
というのも昨晩食べ過ぎたからだ。岩手の食べ物は美味しい。蒸し牡蠣は本当に美味しくて、最高中の最高だった。15個以上平らげてしまった。
しかし、世界で最も人気がある貝類である、オイスター様すらかすんでしまうほどの一撃であった。
それが福田パンである。
ぼくは福田パンについての事前知識を持っていなかった。岩手にある人気のあるパン屋さんなのだとは聞いた。ただそれは、両国の安田庭園前にあった「しんちゃんパン」のように、水気のない焼きそばパンと駄菓子を売っているだけなのだが、愛想がいいから学生や地元の人に愛されているお店なのだろうという認識だった。当時の安田学園生以外誰もわからないと思うのだが、そういうお店があったのだ。現在、アパホテルが出来たあたりにあった(今あるかどうかはよくわからない)。
その程度の理解だったので、取材は五十嵐メイと富澤監督に任せて、車の中で休んでいた。
その時の車窓より。
盛岡の朝は早い。今日も運転手なので、車で待機してたらキヅール出てた! pic.twitter.com/f8TpPGqkHY
— 中村慎太郎@物書きタクシードライバー (@_Shintaro_) March 8, 2021
キヅールの個性は天を揺るがすが如くであり、何時間見ていても飽きることはない。
しかし、そのキヅールすらもかすんでしまった。
福田パン。
福田パン。
福田パン。
福田パン。
福田パン。
不思議な不思議なことばー、ふふふふふふふふふくだぱーん。
福田パンとは、大まかに言うと、コッペパン屋さんである。コッペパンの中に色々と挟んで食べるのだ。ただ、中に入れるトッピングの種類が豊富で、玄人になるといれる順番や位置などについても指定していく。
基本的に「甘い系」と「調理系」は混ぜるな危険で別物である。
甘い系は甘い系同士で2つまで組み合わせることが出来る。調理系も同様に2つまで組み合わせることが出来る。
「甘い系の例」
ピーナツバター+アプリコットジャム
抹茶あん+粒入りごまクリーム
桃ジャム+スイートポテト
「調理系の例」
カレー+とんかつ
メンチカツ+やきそば
ポテトサラダ+デミグラスハンバーグ
そのバリエーションは非常に多い。一説には2700以上とか、8000以上とか、場合によっては「無限」と呼ばれることもあるらしい。
ざっくり計算してみた。甘い系は34種類あるので、34×33で、合計1122通り。調理系は24種類だが、ポテトサラダ入りのものから、ポテトのみ抜くという定番のレシピがあるため、29種類と考えることも出来る。29×28で、812通り。足し算すると1122+812=1934通りまでは表メニューとして注文することが出来る。
ただ、追加料金のトッピングをしたり、裏メニューや調理法や具材の入れる位置などを指定したりすることで、組み合わせ数は跳ね上がっていくとのことだ。どれだけ少なく見積もっても約2000種類。毎日食べても6年以上かかるというその壮大さに戦慄する。
とはいえ、「無限」というのはありえない。
どれだけ多くのトッピングがあるといっても、数には限りがある。有限である。有限に有限を掛け合わせても無限にはならないのである。
しかし、ぼくは気付いてしまった。
有限と無限のあわい。その向こう側にある境地に。
福田パンという宇宙に!!
ぼくが注文したのはコンビーフとスパゲティナポリタンの調理系であった。
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