午後の朝鮮薊(新潮 2023年10月号)/蓮實重彦[感想,批評]

伯爵夫人の後日譚

 伯爵夫人の続編でる。この物語の主人公、二郎は屋敷に住んでいるようで、上流階級に生まれたが、時期悪く、世界中が戦争でもめている時に元気な男性として存在してしまう。そうなれば二郎は直接的に戦争に巻き込まれる
 二郎は東京大学出身で、活動写真(現在でいうところの映画)が好き、この小説の著者である蓮實重彦と共通点が多く、モデルは作者当人、つまり蓮實重彦なのかと予想できる

感想

 朝鮮薊が食べ物であるというのは話の中で分かったが、この小説で初めて初めて聞いた食べ物の名前だったのでネットで検索して調べた。ケシやあへんのように、球体が植物の先端、上の方にくっつている様態であり、なんとなく反モラル的である。
 朝鮮薊を食用にするときはそのつぼみを調理するということなので、さらに乗って薄緑色の球が自分の前に出されると思うとあまり食欲をそそられそうにないが、朝鮮薊が庶民には手の及ばない食べ物だからだろう。
 二郎は小説の中で広島へ向かう。そこから飛行機乗り中国へ向かい、美術品の調査だかの任務に就く。二郎は「伯爵夫人」で存命なので戦争を生き抜けたが、美術品の知識という珍しい能力があったからなのかもしれない。

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