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グランドフェスは、なぜこれほど力を注がれたのか【Splatoon3】

今までのフェスとは考えられないほどの作りこみで、度肝を抜かれたグランドフェス。
遊びの部分じゃないところにここまで振り切ったアップデートをしたのは、スプラ1から考えてみても初めてじゃないだろうか。

フェス自体はいつも通りだから、つまらん!みたいな意見は見かけたが、それもそのはず。グランドフェスはスプラ4に向けた「ユーザーへの仕込み」の意味合いが強いと思った。

「フェス」の役割


Splatoon and Splatoon 2: How to Invent a Stylish Franchise with Global Appeal

まず、なぜ「フェス」が存在するのか。
それは、毎日はプレイしない人が、splatoonをプレイする動機を作りだすためだ。

上のグラフは、splatoon1,2の時のDAU(1日に何人がsplatoonを遊んでいるか)の推移だ。
矢印が付いている部分が、フェス開催日で、極端に人が増えていることがわかる。

フェス開催付近にフェスのお題がSNSで話題になることで、普段やらない人のプレイを促進させている。普段は遊ばないけどsplatoonは買っている友達にもイベントがあるから一緒に遊ぼうと誘いやすい状況が作られているのだ。(だからルールはナワバリの方が幅広く楽しめる)

「普段はやらないけど、たまにやる」という状況は、「splatoonはまだ売れない」という判断になるため、中古市場に出回りにくく、ソフトの売り上げに貢献していることだろう。

また、splatoon2からは、nintendo switch onlineに加入しないと、splatoon自体が遊べないため、オンラインアクセス権の販促にも貢献しているはずだ。

対戦ゲームがそこまで好きじゃない人を取り込んだSplatoonの凄さ


Splatoonの凄いところは、「対戦ゲームそこまで好きじゃないけど、買う」人が多いことだ。見ず知らずの人との対戦ゲームはライトユーザーにとっては購入ハードルは高い。

販売本数(日本)
splatoon:179万本
splatoon2:526万本
splatoon3:709万本

出典:wikipedia

splatoon1はWiiUという全然売れなかったハードかつ、限られた対戦コンテンツしかなかった。しかし、「すごく面白い」という口コミと、センスある世界観やキャッチーなイラストなどが、フェスのたびに話題になりSNSで拡散されていた。

そしてnintendo switchという次世代機と、対戦ではなく、協力してモンスターを倒すサーモンランという新コンテンツが引っ提げて発売されたsplatoon2。
WiiU買いにくかったから買わなかった対戦好き層と、対戦は好きじゃないけど仲間と協力してモンスターを倒すのが好きな層を獲得した。

splatoon3は、コロナ期間の巣ごもり需要というゲーム業界のボーナスタイムに発売され、そもそもゲームやらなかった層を幅広く拾えた。ロッカーの着せ替え機能などのプレイヤー装飾機能の充実や、ゲーム内カメラによるSNSへの拡散手段の増加は、switchで1番売れてる「あつまれどうぶつの森(788万本 2024/9)」のユーザーを狙った遊び機能だったのかもしれない。プロデューサー同じ野上さんだし、強みあるし。

ともあれ、対戦以外にもいろいろな楽しみ方がある結果、そこまで対戦ゲーム好きじゃなくても、十分楽しめるゲームにsplatoonは進化している。

そして重要なのは、「そこまで対戦ゲーム好きじゃない人の方が、世間的には多い」ということだ。

対戦ゲーム好きじゃない人、さらにいえば、ゲームをそこまでやらない人も、新しくスプラトゥーンが出た時に買いたくなるようにする必要がある。

次はswitchではなく、新しい次世代ハードで発売されるからだ。

あの楽しかった日々のおもひでを作るためのグランドフェス


フェスやビックラン、イベントマッチなど、指定の日限定でしか遊べないため、否応にも自分のスケジュールを調整する機会が多かった。週末は友達とフェスする予定があると思いながら、日々生活するのは日常にsplatoonが入り込んでいる状態である。SNSでも少しでもフォローしていれば、公式やフォロワーなどのイベント関連のツイートが目に入ることが多く、接触機会が多いほど好感を持ちやすい。

そしてその集大成がグランドフェスである。

事前に伝えていた最後のシーズンが終わり、いよいよスプラ3も終わりかと注目されている状況。
1か月以上前からグランドフェスの告知を行い、SNSでは情報を小出し。コンビニドリンクとのコラボで目に入る機会も増やす。

プレイヤー全員で金イクラを集めないと、グランドフェス開催しないといった前座のビックビックランで話題を作ったり、グランドフェスの結果で、次のスプラの運命が変わると匂わせることで、自分事化させ、グランドフェスに向けての日常への溶け込ませを高めている。

グランドフェスまでの毎日が楽しかったと記憶させ、猛烈に思い出に残る形でグランドフェスを楽しませることで、「splatoon遊んでいた毎日楽しかった!新しいのがでたら早く買わないと乗り遅れる!」と思ってもらう必要があるのだ。

「面白い」よりも「感動」を意識したスプラ3の最後のヤマ


そして迎えたグランドフェス。
待っていたのは、グランドフェス用の作りこまれたロビーだった。

プレイヤーの操作スキルによって受ける体験が前後する遊びの部分のアップデートはほぼ無く、全ての人が均等に同じ体験ができるLIVE視聴に特化したアップデートであった。

野外フェスの解像度がかなり高く、その場にいるだけで楽しい、写真を撮るだけでも楽しいフェスロビーに仕上がっていた。

特にメインステージの作りは圧巻で、誰もが「お~すげぇ~!」となったはずだ。
ここまでプレイアブルにキャラを操作し、自分の好きな形でライブを視聴できるコンテンツは今までなかったと思う。任天堂の挑戦だ。

8月から続く告知から待ちに待たされたグランドフェスで、期待していた以上の体験を受けたことで、「感動」したことであろう。そしてsplatoon3を買っててよかったと思うはずだ。

終わりに


全ては対戦ゲームがそこまで好きじゃない人も、次splatoonが発売したら買いたくなるようにするための仕込みのアップデートだったように思える。

対戦ゲーム好きな人は、バトルのルールや武器の追加で面白そうなものがあれば購入するだろう。しかし、それだと購入層が広く取れないので、幅広い層に購入してもらうための強力なLIVE特化だった。

古くからSMAPや嵐、AKBといったアイドルのLIVEはウケ続けており、最近だとウマ娘、学園アイドルマスター、Vtuberなど3DアバターでのLIVEもウケているため、大衆向けのコンテンツとして外れることはなかったのだろう。

スプラのオフラインLIVEの感動をそのままゲーム内にも持ってきたかったことも一要因としてあるかもしれない。コロナや任天堂LIVE中止などもあったので。

Splatoonは任天堂のタイトルの中でも、人と人とのつながりを意識して作られたタイトルだと思う。ユーザー間しかり、ユーザーとゲーム開発者間しかり。オンライン対戦ゲームという、人がいないと成り立たないコンテンツなので、このあたりの力の入れ方はとても勉強になる。

Splatoon4ではどう進化するのか楽しみだ。

ハードの性能が全てだが、太古のMMOのようなリアルタイムに人がいる部分に力を入れるのではないかなと予想しておく。ロビーやフェスにリアルタイムに人が多数いるメタバース的な感じ。

おわり。


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