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【短編小説 丘の上に吹いた風 エピローグ】次のページ
エピローグ -次のページ-
大きく開いた窓のカーテンがはためいた。
風は部屋に吹き込むと、机の上の三年日記をぱらぱらとめくり始めた。
陽太が両親に残した手紙のページで一旦止まり、ゆっくりともう一ページめくった。
「ここに書けばいいんだね?」
風はうんとうなずいた。
ミカエルは背中の翼から取り出した羽ペンをさらさらと走らせた。
風は読んで嬉しそうにうなずいた。
一つ前のページに戻りそうになった。
風はふーっと吹いて押さえつけた。
また戻りそうになった。
風もまたふーっと吹いた。
小さな風が次々と窓から入ってきた。
「さあ行って。僕達が見ててあげるよ」
ミカエルは羽ペンを翼に戻し、風の手を取り窓の外に飛び去った。
だけどそれはほんのちょっとの間のことだよ。
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