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弁護士に必要な「共感する力」
弁護士として、相談者の話を聞くとき、まず大切にしているのは「共感」です。法律の理屈や論理ではなく、まずは相手の感情に寄り添うことから始めます。「それはつらいですね」「苦しいですよね」というように、相手の感じている痛みや困難に共感することで、自然と「この問題をなんとかしなければ」という感情が湧き上がります。この気持ちが、私の弁護活動の原動力となります。
共感から得た熱いハートが、私の脳をフル稼働させ、法律や判例を駆使し、最適な解決策を見出す力を与えてくれるのです。とはいえ、頭まで熱くなってしまうと判断を誤る危険があるため、心では共感しつつも、頭は冷静に保つことが必要です。感情と論理のバランスが、良い弁護活動を支える重要な要素だと考えています。
共感には、自然にできる場合と、意識的に行う場合があります。たとえば、ハラスメントに苦しむ方や事故で負傷した方の話を聞くときは、自然とその辛さに共感し、それが弁護活動へのエネルギーとなります。このようなケースでは、意識して共感を高める必要はありません。しかし、共感し、何とかしなければと強く感じ、その直感をもとに法律を駆使して問題を解決できたとき、依頼者とともに喜びを共有できるのは、弁護士としての最高の瞬間です。
一方で、無理な要求をしてくる相談者の場合はどうでしょう。例えば、「タクシーに乗ったらたばこの臭いがした。だから100万円の慰謝料を請求したい」というケース。このような場合、慰謝料請求は現実的に無理です。しかし、「タクシーで快適に移動したかったのに、臭いで嫌な思いをした」という点には共感できます。その感情を共有した上で、慰謝料の請求は難しいという結論を伝えるのです。共感をもって話を進めれば、相談者も「分かってくれた」と納得し、法律相談は円満に終わることが多いです。
もし共感のプロセスを飛ばして「それは無理です」とだけ伝えてしまえば、たしかに法律相談としては正しいですが、相談者は納得せず、別の弁護士を探すことになるでしょう。結局、問題は解決していないのです。
どんな相談にも、必ず共感できる部分が存在します。自然に共感できる場合はそのままで良いし、難しい場合は意識して共感力を高める必要があります。弁護士として、依頼者の思いや悩みに共感し、それを共有した上で、現実的に解決できる道筋があるのかを伝えることが、何よりも重要だと考えています。その意味で、私は依頼者に対する共感力を常に高めていかなければならないと感じています。
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