鳩羽 映美

鳩羽 映美(はとば えみ)。詩や小説や日記を書きます。

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    エッセイや日記をまとめました ※「目が覚めたら、担任教師が隣で寝ていた」を、書籍「#8月31日の夜に。(生きるのがつらい10代のあなたへ)」に収録していただきました。

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最近の記事

和牛の解散を知った日、「永遠なんてない」と叫んだ

※すべて個人の感想です。 2016年のM-1グランプリから2020年頃まで、私はお笑いコンビ「和牛」のファンだった。 2016年のM-1で最終決戦まで進んだ和牛は、「ドライブデート」「花火デート」というネタを披露した。 その直後から和牛はブレイクして、多くのメディアで姿を見かけるようになった。 特に若い女性のファンが多かったと感じる。 私もそのひとりだった。 和牛のネタには、説得力があった。 きっちり隙なく練り上げた台本と、それを乗りこなす演技力。 そしてなにより、お互

    • 【詩】あなたの地獄を想像したい

      他人と肩をぶつけあい 足を踏まれながら生きている 俯いて歩いているとじろじろ見られる こちらが見ると目をそらす だけど あなたの地獄を想像したい ここまで踏んできた針の鋭さを 身動きできない池の熱さを あなたも地獄の住人なのだと そう思えたら 優しく手を取れるのかもしれない 地獄を持った者同士なら

      • 【短歌】テーマ:仕事

        レンジ前用の話題が見つからず 冷えた弁当噛みしめる昼 コンビニの雇われサンタが 白い袋に投げ入れる避妊具の箱 CCとBCCにとどまらず Toも誰だよ「お世話になります」 「Hく」の隙間に落ちた パンくずにすら代わりたい水曜の14時 紙パック毎回10本買う客の 密かなあだ名「ジューススタンド」

        • 9/24

          秋がきたのが嬉しくて、夕方と夜の隙間に住宅街をふらふら歩いた。 このままどこまでも行けるって、いつも忘れてしまう。 めちゃくちゃ部屋着だしサンダルなので、行けないんだけど、ほんとのほんとは行けるのだ。 晩ご飯のにおい、窓明かり、人の気配。この時間の住宅街が好き。 遠くのマンションの窓がいくつも光っているのは特に好き。 でも姿の見えている知らない人は全員怖いし嫌いなので、あの明かりやにおいに、私はなにかの概念とか自分自身の郷愁とか、そういうものを感じているだけなのかもしれない

        和牛の解散を知った日、「永遠なんてない」と叫んだ

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          他人だった

          生まれる前から知っていたなんて嘘で 出会うまでは普通に他人だった でもこれから死ぬまではずっと一緒だ おなかすいたね おいしそうなものは大体おいしいね 一緒にいると 飲みこむ前に笑ってしまうね 私はあなたとの境目をなくして この先きっと もっと優しくなくなる どうしても嫌だな ずっとひとりとひとりでいたいよ ねむくなったね でも明日を思うとねむれないね 一緒にいても 怖いときには泣いてしまうね 一緒にいるだけでしあわせなんて嘘で 悲しみも怒りも消えなかった でもこれか

          他人だった

          通勤

          イヤホンを外せない地下鉄のなか 膨れたストレスを抱えながら 向かいに座った人の顔すらまともに見られなくて開いた文芸誌の その静止した文字だけが私の知り合い 車窓に映って闇に引きずられてるあれじゃなくて 手元のまっさらな行間を染めていくのが私

          プレゼント

          プレゼントを買う時。 その時の心には、相手のことをただただ好きだという実感が、さらさらと満ちてくる。 そして、それ以上に。 どうにも相手に好かれたいと、本当に、ただ素直に思う。 なにも取り繕えない。 無防備に開いた心と、それから身体。 カラフルな棚を縫い歩きながら、ただただ見返りを求めている。 君に好かれたい、君に好かれたい。 醜いはずなのに、あつくて、気持ちいい。 満ちた気持ちがちゃぷちゃぷ揺れる。 プレゼントを買うのは好きだ。 無償の愛など知らなくても、こんなに愛

          プレゼント

          『私のことを好きな人に会いたい』

          「私の人生はもうここで終わりです」と思うのに、コンビニでプリンを買うのを我慢したりする。 店内の蛍光灯に煌々と照らされて、剥げたコンシーラーやテカる鼻のことが気になりながら、同時に「私の人生にもう行き先はない。ここで終わり」と強く思っている。 2分くらい立ち尽くしてから、コンビニを出る。 帰り道は暗く、「この世には私のことを好きな人も、これから好きになる人もいない」と思う。 そういう道を、ただひとりで歩いているように思える。 しかし、だ。インターネットで見たけれど。 ど

          『私のことを好きな人に会いたい』

          『恋』

          何千年も生きたように疲れていたし いつまでも生まれる順番を待つように寂しかった どんな景色も見飽きていたし どんな音も聞き飽きていた でも あなたの顔は 間違いなく初めて見るもので あなたの声は 間違いなく初めて聞く音だった あなたがその顔で笑って その声で私に「好きです」と言ったとき 私は初めて 世界と目が合った と思った だけど私が一度 まばたきをしたら 昼と夜が知らぬ間に くるくると入れ替わって あなたの「好きです」は 綺麗さっぱり 誰かに奪われてしまった そ

          目が覚めたら、担任教師が隣で寝ていた

          私は、小学6年生の中盤から不登校になった。 私は幼い頃から容姿が悪く内気な性格で、友達はほとんどいなかったけど、特に大きないじめなどにあっていたわけではなかった。 だから学校を休み始めたときは、大人たちに何度も「どうして学校に行かないのか」と尋ねられたし、親には頬を叩かれたりもした。 「どうして、不登校になったのか」。 それは、20代後半になった今でもうまく説明ができない。 でも、ちょっと振り返って整理してみようと思う。 それから、6年生の時の担任の先生にまつわる思い出につ

          目が覚めたら、担任教師が隣で寝ていた