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ハトヨガ的読むヨガ 連載47 日本橋 アーティゾン美術館
早稲田でのリアルクラスの後、日本橋に立ち寄ってみました。東西線で、早稲田から東へ。ちょっと立ち寄るのに便利なルートです。
2020年に新館が完成しリニューアルオープンした、アーティゾン(旧ブリヂストン美術館)。今回、初めて行きましたが、とても鑑賞しやすい環境が整っていました。
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19日までと会期終了が迫っている「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」が目当て。
山口晃さん、全然存じあげませんでしたが、絵巻物や浮世絵などの伝統的絵画の手法と超緻密な手法で有名な売れっ子現代芸術家。
先週鑑賞したインドの細密画に負けず劣らず、緻密な大作がいくつも展示されていて、非常に見応えがありました。
そもそもなぜアーティゾンに行こうかなと思ったのかというと、その前日、人形町にある素敵なバーで、カクテル「テイルオブトーキョー」をいただいたことがきっかけ。女性のバーテンダーさんが、紹介してくれたスコットランド、ハイランド地方のウイスキーブランド、グレンモーレンジィ。毎年、各国の都市にちなんだ味に仕上げ、ラベルも特別にデザインするそう。「今年は、東京を冠した名前のウイスキーなんですよ」と、ボトルを見せてくれたのでした。
ラベルの絵を担当したのが、山口晃さん。ポップだけど、伝統の香りがするデザイン。バーカウンターで、大判の図録も拝見し興味が湧き、ヨガクラスのあとの時間がたまたま空いていたので、一人で行ってきました。
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これに対となる意味で、鑑賞できてよかったのは、17世紀の江戸時代に制作された、「洛中洛外屏画」。一つ下のフロアに展示されていました。山口さんの作品で「すやり霞」の手法を取り入れるアイデアは、伝統技法を現代の美術作品に巧みにミックスされ、東京の変遷のありさまを彷彿、凝視させてくれる魅力的な仕上がりに。(「ウォーリーを探せ」を観る時に似た、集中力を発揮してしまいます)
他にも、東京の全景を鳥瞰図的に捉えて、これまた緻密な作品、NHK大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺~」のオープニングタイトルバック画として知られている「東京圖 1・0・4輪之段」も展示されています。
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これにからめて、東京2020オリパラを巡って、パラリンピックのポスターの仕事の依頼を受ける際の葛藤を漫画作品で表現した一連の展示と実物のポスター作品もありました。
福島第一原発と海、除染で大量に発生した黒いフレコンパックの山、国立競技場建設の影で立ち退きを強いられた住民や、障害を持った方が暮らす施設のささやかな運動会、そして、差別抑圧の対象とされている女性(左手が欠損している)を中心に配置し、弓を射る姿というコンセプト。批判精神を作品に込めたいという心意気が感じられます。一連の五輪がらみの作品を鑑賞することができてよかったです。
体験できるインスタレーション、モスキートルーム。自分の眼球の中を見ることができる感覚ってこうなのか!と、目から鱗。飛蚊症を意識させられました。ここでヨガの瞑想をしてみるとよいな!
ヨガとは関係のない内容になってしまいましたが、11月19日(日)までの展示、お天気のよい秋の散策におすすめです。ネット予約が便利。大人入場料1200円。多くの作品を撮影、デッサンも可能。虫眼鏡あればよし。無料のロッカーに荷物を入れられるので、日本橋のお買い物帰りにもおすすめ。会場内に椅子がたくさん用意されているので、ゆっくりとくつろぎながら鑑賞ができますよ。
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