ハトヨガ的読むヨガ 連載28 夏至と国際ヨガ・デー
6月21日、夏至を迎えましたね。毎年6月21日は、国際ヨガ・デーだってご存知でしたか?
2014年にインドのモディ首相が国連で提唱し、同年12月11日に採択されました。今年は、9年目を迎えます。
ベジタリアンで、ヨガ実践者としても知られていて、毎朝ヨガをしているそうです。
国連本部広場にて、インドの独立の父、マハトマ・ガンディー像前で合掌した後、ヨガセッションにも参加していました。その様子をライブ配信していたUN TVでは、鳴物入りで登場している、訪米中のモディ首相の姿が見えました。
国連広場でのヨガセッションは、アーサナに続き、プラーナヤーマ、そして瞑想を深めています。呼吸と瞑想を大切に実践していますね。時間があるときに、後半部分のヨガセッションを受けてみてください。
さて、今日はインドでのヨガの歴史と発展の流れをご紹介したいと思います。
古代 ヨガの発祥はインダス文明
世界四大文明の一つ、現在のパキスタン領インダス川沿岸に発展した遺跡都市モヘンジョ・ダロからは、瞑想をしている人の土偶や印章が発掘されています。
↓ 瞑想しているシヴァ神と思われる印が残されています。
ヨガの起源は、紀元前5000年から3000年前と定義されているのは、このような出土物があるためです。
その頃の日本は縄文時代中期から後期ごろ。長野県の八ヶ岳山麓エリアで出土した「縄文のビーナス」が作られた頃と大体同じころなのでしょうか?
そこから時代は流れ、紀元前1500年ごろの聖典(ヴェーダ)群の一つである「ウパニシャッド」という奥義書に「ヨーガ」という言葉が記されます。
しれっと、紀元前1500年前の記録と書きましたが、日本最古の歴史書物「古事記」が712年に編纂、源氏物語が11世紀初頭に書かれたのと比較して、悠久の大陸文明の先進性を感じますね〜。
さらに時代は流れます。紀元前500年ごろの二大抒情詩「ラーマーヤナ」と「マハーバーラタ」のなかには、神クリシュナと、王子アルジュナの対話からなる物語「ヴァガバットギータ」の章が含まれています。この物語のなかでも、ヨガは、精神的な修行として描かれています。
読み応えのある波乱万丈の王朝大河もので、たくさんの翻訳本も出版されています。
歌舞伎の演目やアニメ映画にもなっています。(ぜひ観たい)
大好きな映画「バーフバリ」シリーズは、「マハーバーラタ」からインスピレーションを得た大ヒット作品。めくるめく壮大なスペクタクルで、大好きな映画です!!
最古のヨガマニュアル「ヨーガ・スートラ」
実は、最新の研究では、ヨーガ・スートラの編纂は200-500年と研究の結果推定されます。日本では、須恵器が焼かれていた弥生時代後期、古墳時代から飛鳥時代にさしかかる頃。大陸から仏教が伝来し、聖徳太子が登場するちょっと前ごろにあたります。インドでは、ヨガに特化した解説書「ヨーガ・スートラ」がパタンジャリによって編纂されました。最古のヨガマニュアルの登場です!!
「ヨーガ・スートラ」は、ヨガの究極の目的、その実践方法、ヨガで得られる力、ヨガを達成したその境地について、4章195節で簡潔にまとめられています。このコラムでも何度もしつこく書いてますが、ヨガは「心」をケアし、収めるのが究極の目的!アーサナではなく、原点はここにありです!
時代の揺れ、どちらの説が正しいのかの議論は、今後もさらに調べてみますが、最新説のほうが有力とする意見が増えているようです。
いずれにせよ、太古の時代から、ヨガの叡智がまとめられ、現代まで受け継がれていることは間違いありません。歴史と伝統に裏打ちされたマニュアル。頼りにしています!!
ところで、当時の書物は、細長いヤシの葉や木の板に文字や絵が書かれていたようです。糸のことをサンスクリット語で、スートラといいますが、椰子の葉に穴を開けて、糸を通して束ねられていました。おそらくこんな感じの束だったのでしょう。
「ヨーガ・スートラ」も、そんなふうに箇条書きにされていて、それが糸の様に細長いので、「ヨーガ・スートラ」と呼ばれています。
古い時代のヨガは、今のような動的なものではなく、座位で、呼吸と瞑想を中心とした、どちらかというと修行・苦行でした。ブッダも、瞑想、苦行を実践したヨガ行者の一人。裕福な王子として生をうけたものの、世の中の不条理に心を痛め、厳しい修行の道へ自ら入ったのでした。
今でも、インドやネパールなどでは、修行を続けているサドゥー(行者)が一定数います。ビジュアル的にインパクトあるお姿。
旅する写真家の三井さんが何年にも渡りインドで撮影した写真がたくさんありますので、お楽しみください〜。今昔が混沌としているのがインドらしいな〜。
以後、1200年ごろまでに残されているさまざまなヨガに関する経典には、精神面へのアプローチが記されています。
呼吸と瞑想によって、霊的なマジカルパワーを得ようとして、修行に励んだ人々。今のように老若男女が気軽に親しむものではなく、人生の苦悩、輪廻からの「解脱」を願い、ヒンドゥー教的、密教的な思想のもとに修行・苦行に励んでいた特別な行いから、現代のヨガへとつながっています。
さてさて、長くなりましたので、次回は、中世以降から、マリリンモンローも、ビートルズも、マドンナもヨガにハマった!
爆発的に広がっていく近・現代までの発展について書いていきます。良い週末をお過ごしください。