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読むSezyo 1st EP『sorrows』

はじめに


私が所属するロックバンド、Sezyo(世情)が去る2024/5/30に1stEP『sorrows』を発表いたしました。
より作品を楽しんでいただくため、拙い文章ですがセルフライナーノーツを作成しました。聴きながら読んでみて下さい。

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盤面のデザインはRYO EBATOさん
RYOEBATO | 江波戸嶺

本記事のヘッダー画像にもなっていますがデザインかなりかっこいい。部屋に飾ってるだけでオシャレです。ライブ会場にてCDも販売いたしますので、ぜひご来場してお手にとってみてください。



セルフライナーノーツ

標題『sorrows』

sorrow 悲しみ、憂い、悲嘆、悲哀を意味する英単語。
憂い(うれい)という言葉が好きだ。「う」と来て「れ」と来るのが、悲しい意味のはずなのに、どうにもやわらかな言葉並びなのが美しい。
にんべんをつければ優しさになるところも好きだ。誰かに優しくすることは誰かの悲しさを一緒に抱えることだから。
今回の音源に入ってる曲たちには鮮やかな悲哀が込められている。その悲哀は先述の様に誰かに優しくするための辛さかもしれないし、誰かが傷を抱えて生きるための標かもしれない。もしくは怒りの刃かもしれない。
聴いてくれた皆さんの憂いを一緒に抱えるための一枚になってくれたら幸いである。そんな意味を込めて『sorrows』

1.Salvage you

Song by RUI
words by シカワ、ヘラクレスヨシダ
REC.MIX.MASTER by フルサワ

我々の中で最もキャッチーな、バンド結成時よりある一曲。
作曲者であるGtのルイさん曰く、曲の原型は10年以上前からあったとのこと。
そんな大切なものを今回リリースさせて頂いたのは1人の人間として誇らしい。ありがとうございます。
というわけで自身が作曲に苦労した訳ではないが、メロディの付け方や後半のリズムなどを練り直して今の形になった。とにかくストレートで、身体にスッと入ってくる自分たちらしさの出ている曲だなと個人的には思っている。

題名が先にあったので、それに合わせて歌詞のテーマは「救われること」で書いた。
芸事なんて飯を食うのには必要ない、がどうしてか我々はそれにすがる。初めて何かに感動した時の衝動を忘れたくない、混沌とした実社会を生き抜く上で必要と思われる前向きな感情を表現している。

2.I don't wanna watch my real

song by ヘラクレスヨシダand Sezyo
words by ヘラクレスヨシダ
REC.MIX.MASTER by フルサワ

20代の前半、仕事の事情で茨城県水戸市に住んでた時に描いた曲。あの頃はバンドもやらず、弾いてみた動画とかも上げておらず。所謂、燻りの状態だった。この曲はそんな時の気持ちを表している。一人で浴びるほど酒を呑んで、小銭越しの関係性を持っても誰にも認められやしない。
社会に迎合「したくない」自分と「ちゃんと」しなきゃあならないと思っている自分の2人が頭の中にいて、その狭間で生きることについて考えている。
「狂いに対する憧れ」の気持ちは子どもの頃からずっと忘れられない。けれど段々と立場は変わる。
今や家族も出来た。仕事に責任が増えた。
俺たちは前に転がり続けることしか出来ない。
ただこの曲を聴くたび、俺はあの街を、1人で住んでいたやたら広い2DKを思い出してしまう。
この曲は俺のような、割り切れない奴らへの鎮魂歌である。


3.夢想

song by ヘラクレスヨシダ
words by ヘラクレスヨシダ
REC.MIX.MASTER by フルサワ

バンドの中で静かな曲を作ろうと話した時に、真っ先に浮かんだのが最も尊敬するバンドの一つであるCoaltaroftheDeepersであった。静かさと轟音の相反する要素を調和させたかった。
作曲した時はギターでなく、打ち込みピアノとボカロで作ったのだけど、バンドアレンジするにあたりボサノヴァ風味なアレンジとなった。

歌い出しの「醒めない夢を見ていたつもりだった」は、子どもの頃からずっと頭に引っかっている言葉である。カウボーイビバップからスパイクのセリフを引用している。
壊れてしまいたい、消えない炎の中にいたいと思っても現実がどうにも目の前に転がってくる。狂った夜を過ごしても、朝が来ればまともな日常を生きてしまう、生きていけることが怖い。
誰にもなれないまま迎えた朝、誰もと同じ列車に乗って、似たように生きる。それがどうにも恐ろしい。けど、それができてしまうんだ俺たちは。
そんなことを想って、今夜も騒音の中に沈むのだ。夢が覚めないで欲しい、この夜が明けないで欲しいと唱えながら。
そんなこと、誰にでもあるだろう?

4.おめでとう

song by ヘラクレスヨシダ
words by ヘラクレスヨシダ
REC.MIX.MASTER by フルサワ

「変拍子の曲、欲しくない??」から制作した。イントロの拍子は3+2と4+3、Aメロも4+3となっている。それ以外は3拍子である。
途中で同種転調したりと思ったより凝った作りなのが特徴。
メロディあり、ポエトリーあり、シャウトあり、キメあり、轟音ありと我々Sezyoの全ての要素を詰め込んでいると言っても過言ではない。

煙草の火を消して髪を切って、愛する人を抱きしめたあの人に贈る。
飯が食えて寝る場所があって、抱きしめられる誰かがいることで充分なはずなのに、どうしても満たされないあんたたちに贈る。
人並みじゃあ満たされないわがままな俺たちへ贈る。
また生きて喧騒の中で会おうぜ。

5.Ghost

song by RUI
words by ヘラクレスヨシダ
REC.MIX.MASTER by フルサワ

ギターのルイさん作曲。曲名の元ネタは攻殻機動隊らしい。
高速2ビートのパンクな曲ながら、7thコードを多用し、掛け合いのVo、唐突な曲調の変化、ポエトリー、轟音、シャウトと言った我々らしい要素を入れ込んだ一曲。書いててどんな曲だよって思います。

攻殻機動隊の作中におけるゴーストは魂や心、思い出の様な実態の分からないものだと思う。(SACアニメ見て、原作2巻で半分挫折した人の感想です。解釈違いあったらすみません。)
作中の世界に現実が近づいている、もはや飛び越えて行くように感じる。
現代社会ではゴーストを持たない、不要とした人のほうが資本主義的な幸せに近づけるのかもしれない。全てを実学に捧げ、数字の出てこない会話はチープと切り捨てる。大切なモノは紙切れのもとに平準化され、そのうち魂の形もインターネットという巨大なコンプレッサーの下で均一化していくのだろう。
けれでも、そんな時代に「あなただけの何か」を後生大事に抱えている、抱えていたけれど手放した人に聴いてほしい一曲である。
あの頃俺たちは無敵だった。漠然とした世界の天井は見えておらず、視界は晴れ渡っていた。
今はどうだ?
紫煙と毒薬で汚染された脳みそで考えても生涯年収は朧げながら逆算できる。20年後にやってる仕事は使えない上司の代わりだと予想できる。
ただあの日に置いてきた魂だけは譲れない。叫び続けることだけは奪われたくない。
晴れ渡る世界が広がらなくても、土砂降りを征く様なドラマチックでなくても、何となく気分が悪い、ぼんやりとした曇天しか眼前に広がっていなくても、お前の世界に叫び続けろ。
前が見られなくてもいい。
置いてきた魂のために今を生きたとて、それは生きるということに違わないと思う。


おわりに

自分はバンドを始めたのが二十代後半だったし、これまでレコーディングのノウハウもなかった。
そのためか五曲作って作品にするために2年もかかってしまった。
その分、1曲は短いながら我々の歴史や思いを詰め込んだ気持ちの良い一作になったのではないかと思う。
試行錯誤、トライアンドエラー、スクラップアンドビルド。
誰かと何かを作り上げるのは本当に難しい。
ここまで付き合ってくれたメンバーや活動を支えてくれたメンバーの家族や関係者、何よりも見守ってくれた方々には本当に感謝を伝えたい。
Sezyoはあくまでもメンバー全員の生活の傍ら、やりたいことや納得できる曲を生み出していくのが筋だと考えている。
しかしながら、本作の制作を通してそんな状況だからこそ出来ることをやらねばならぬと感じた。
完成に伴い、多くの人に自分達の楽曲を聴いていただきたい、自分と同じような気持ちを少しでも抱えている人と分かち合いたい。
音楽に、芸事で飯を食う人々に恥じない様にありたいと強く思わされた。
今後とも、Sezyoはゆっくりでも前に進んでいく。
皆様、どうか見守り下さい。

最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました。また、喧騒の中で会いましょう。

Sezyo ヘラクレスヨシダ

宣伝

※EP発表後、最初のライブです。狂気のチケット0円+2ドリンク(1,200円)ですので良ければお越しください。

【Live info】
2024.6.30(SUN)at 吉祥寺WARP
「反芻した喉の振動」
open/start 11:00a.m/AM11:30a.m
ticket ¥0+2 drink(¥1,200)

Sezyo 12:20p.m~

w/
neu
A To Fade In
Naraka; Hold onto Holon

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