Weekly AR Review vol.6|nreal本格始動、日本での展開に期待!
10月に入り、ますますAR業界盛り上がってきました!
MRデバイス『NrealLight』の登場や様々な分野でARの試験導入が行われ、一般に向けた普及への道筋がより鮮明になってきましたね。
今回も個人的に気になった記事を集めました。2019年10月初旬に報道されたARニュースの中から選んだトピックはこちら⬇️。
・本格的に日本展開を始めたnreal。
・教育の場で活かされ始めたAR。
・ARで体感する映画の世界観。
それでは、『Weekly AR Review vol.6』始まります!
nreal、日本展開本格始動!続々登場するnrealユースケース
10月7日、中国に拠点を置くMRグラスを開発するスタートアップNreal Ltd.の日本での事業展開に向けた説明会が開かれました。
nrealが開発する『NrealLight』は高い解像度に加え、88gという軽量と一般販売価格が499ドルという低価格、そしてサングラスの様なファッショナブルなデザインで話題を呼んだMRグラスです。本体に搭載された3基のカメラが空間を認識し、現実世界をデジタル情報で拡張することを可能にします。
7日の説明会のなかで、日本の開発者を支援するプロジェクト『Project Eve』や日本で普及させるためのプログラム『Nreal Developer Evangelist Program』が発表されました。『Project Eve』は選考を通過したAR/MRアプリ開発者に開発用のNrealLightを無償で貸し出すというもの。Nreal Developer Evangelist Programでは、5社が採択予定であり、すでにMESON、ENDROLL、GRAFFITYがエバンジェリスト企業として決まっています。
さらに説明会の翌日に開かれた『Nreal Developer Gathering』には、100人近い日本の開発者が集まり、NrealLightのこれからの展望について話し合いました。(応募開始後、ものの数時間で満席になったことからも、NrealLightへの期待と感心が感じられます。)
このNrealLight、日本国内ですでにユースケース開発が始められています。
今年5月31日に公開されたプレスリリース内で、KDDIがnrealと戦略的パートナーシップを締結したことを公表しました。すでに、メルカリの類似商品検索アプリ「Mercari Lens」のNrealLight版のプロトタイプをユースケースとして制作しています。
10月11日には、凸版印刷と共同でNrealLightを使った実証実験を行うとの報道がありました。
このプロジェクト『AR Museum――国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱』は、凸版印刷が制作した国宝「八橋蒔絵螺鈿硯箱」をテーマにしたVR作品 をNrealLightを用いて鑑賞できる様にする試みで、『XR技術による時間と空間を超える体験の創出』を目的としています。
この取り組みは、2019年10月14日から開催されている『CEATEC 2019』のKDDIブースでデモンストレーションが展示されています。
ちなみに、このCEATEC 2019ではauオリジナルデザインのNrealLightが展示されるそうです。
写真から確認できる様に、フレームには『nreal』の代わりに『au』の文字が入っています。KDDIのnrealへの力の入れ様が見受けられますね!
DocomoがMagic Leapに積極的に投資しているように、KDDIはnrealに投資をして、ARグラス普及への下地を築いているようです。
そして、僕が所属するMESONでもNrealLightのユースケース開発の取り組みが始まりました!
この取り組みは、『AR City in Kobe』に引き続き、博報堂DYホールディングスとの共同研究第2弾として始動し、『体験拡張時代のコミュニケーションサービスのプロトタイプ開発と実証実験』を目的としています。
現在、ARとARクラウドで拡張された仮想空間で、NrealLightを着用した複数人のユーザーがデジタル情報にアクセスしシェアするといった、近未来のコミュニケーションの社会実装が視野に入れられています。
”ARクラウドが社会実装された未来のコミュニケーションサービス”とはどのようなものなのか?
MESONと博報堂DYホールディングスは、デジタルとリアルがシームレスに繋がった空間、いわゆる『サイバーフィジカル空間』でのコミュニケーションの創造を実証実験していくようです。
これらのユースケース開発で使用するデバイスにNreaLightが選ばれた理由は、その性能とファッション性。日常使いも視野に入れ開発されたこのデバイスでどのようなユースケースが生み出されていくのか?このデバイスで社会にARが浸透していくのか?浸透した時に、僕らの生活、コミュニケーションがどう変わっていくのか?これからが”非常に”楽しみですね!
三重県桑名市でAR/VRを活用した授業を実施
XRソリューションを提供するAVR Japan株式会社と桑名市教育委員会のサポートのもと、桑名市立益世小学校にAR/VRを活用した理科の授業が実施されました。このプロジェクトではEON Reality社が開発するAR/VRプラットフォーム『Creator AVR』が使われました。
今回は、バッタや蝶などの昆虫の身体の仕組みと生態がARで学べる学習コンテンツが用意され、生徒は配布されたタブレット端末で体験を通して学びました。
近年、こういったAR(そしてVR)を学びの場に導入する事例が増えてきています。
Microsoftの調査によると、仮想体験を通して学んだ生徒は、クリティカルシンキング等の分野において約22%テストの成績が伸びたそうです。また、記憶した知識も短期記憶ではなく長期記憶として残りやすいといった結果が出ました。
今後、こういったAR活用の裏付けをする研究が出てくると、学校での導入も加速しそうです。
またそれだけでなく、ARスポーツを教育現場に導入した事例も出てきています。
今年8月、meleapが開発したARスポーツ『HADO』が体育の授業で導入されました。これは産官学連携のスポーツビジネスコンソーシアム「Sports-Tech&Business Lab」の一環で実施されたものです。
この試みは「体力差や体格差の是正」や「スポーツの頭を使うおもしろさに気づかせる」などの目的がありました。ARスポーツ『HADO』を採用した理由も、プレーの技術習得のハードルが低く、誰でも簡単にチームに貢献できるから、とのことです。
今回は初の試みだったこともあり、想定通りの効果は生み出せなかったようですが、これからも継続的に実験を行なっていくようです。体育の授業の選択肢の一つとしてARスポーツが現れると、子供たちにもARが浸透していくことが期待できますね!
これからプログラミング授業が必修になるなど、教育現場の改革が進んでいくなかで、ARが本格的に導入されることも実現するかもしれません。
AR×映画の取り組み、ARゴーストバスターズ
ARを映画の世界観と掛け合わせる試みが頻繁に行われるようになりました。
その中でご紹介したい事例が『GHOSTBUSTERS ROOKIE TRAINING』。映画「ゴーストバスターズ」の世界観をARで体験する実証実験です。
Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)で開催されている『#011 GHOSTBUSTERS IN THE PARK』の目玉として展示されるこのコンテンツでは、参加者がゴーストバスターズの一員となり、プロトタイプARデバイスを使って“ゴーストバスター”を体験するものとなっています。
今回の体験ではSonyが開発する新型ARデバイスが使われています。ディスプレイの解像度や視野角、CPUの性能などは今回は非公開ですが、動画を見る限り外部機器と接続するケーブル無しで動作しているため、スタンドアローン型のデバイスのようです。動画から6DOFのトラッキング機能とハンドトラッキング機能も確認できますね。
2019年10月12日(土)から12月8日(日)まで、約600名の体験者を公募しているようですので、ご興味のある方はぜひ!
最近こういった映画の世界観とARのコラボが増えてきたように思えます。
例えば、ハリーポッター。『Pokémon GO』で有名なNianticはハリーポッターシリーズとコラボした『ハリー・ポッター:魔法同盟』を今年6月にリリースし、話題を呼びました。
さらに、10月にはハリーポッターのファンアプリにこんな機能も追加されました。
ハリーポーターの映画で印象深い『組分け帽子』。それがARで試せる機能です。(*このアプリ日本では対応していないみたいですね。残念)
Source:VRScout
『AR×映画』の取り組みは、自身を映画の中に入ったような気分にさせる没入感を演出するものだと考えられます。これから登場する『AR×映画』の施策は、映画を観るだけのものではなく、体験させるものとしてアップデートするかもしれません。
『ゴーストバスターズ』や『ハリーポッター』のような、広く認知されているストーリーと現実ベースの世界観を持つ映画作品は、現実を拡張させるARと特に相性がいいのかもしれませんね。(その一方で『スターウォーズ』のような映画はVRとの方が相性がいい気がします。)
これからが楽しみ!
NrealLightの日本での展開・活用がどのようなものになるのか、今から楽しみです!性能も高く、ファッショナブルなデザインで日常使いの可能性も感じさせるだけに、このデバイスを使ったユースケースには期待してしまいます。
教育現場でのAR活用はまだまだ可能性があります。科目ごとに違った活用の仕方があり、それぞれの科目にどのように導入されるのか、楽しみですね。
積極的に行われるようになった映画とARのコラボも、それぞれの映画に合った世界観の演出やARの使い方が提案されてくると面白くなってきます。
まだまだ可能性を感じさせるAR。
これからもニュースを追っていきます!
来週公開の『Weekly AR Review vol. 7』もよろしくお願いします!
過去に公開した『Weekly AR Review』は⬇️のMESON XR MAGAZINEから見れます!
僕が所属しているMESONは「Spatial Computing時代のユースケースとUXをつくる」をテーマに掲げて活動しています。MESONの理念に共感して一緒に働いてくれるメンバー、プロジェクトをご一緒できる会社を募集中です!
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