Weekly AR Review vol.4|衝撃のGAFA。ついにARに本腰を入れ始めた!
2019年9月、GAFAの内の3社からARに関する報道が次々に飛び出ました。
Amazon、Apple、Facebookと誰もが知る企業も本格的にAR事業に乗り出したということで、業界内では一時ざわつきました。そんなニュースをキャッチアップしていきます!
この記事では、それぞれの発表(と噂話)に注目しながら各社の動向を探ってみたいと思います。
それではいきましょう!
Facebook、自社開発しているARグラスとARクラウドを発表
まずはこのニュースから見ていきます。
Oculus主催のイベントOculus Connect 6にて、Facebookのアンドリュー・ボスワース氏による開発段階のARグラスに関する発表がありました。同氏によると、すでにいくつかのプロトタイプが開発されている模様です。さらに、デバイスのポテンシャルを上げるための大規模な3Dマップ構築に向けたコンセプト「LiveMaps」も同時に公表となりました。
「LiveMaps」は多層構造で世界を認識するシステムということだと言えます。プレゼンの中でFacebookはいくつかLiveMapsの使い方の可能性を示していました。例えば、通知を空間に表示したり、リアルの物体にデジタルでラベルを貼り付けたり、ホログラムで表示されたアバターと出かけたり、と言ったものです。
近年、こういった多層構造を持つ3Dマップ、もしくはARクラウドに関する構想が登場してきました。これらは『Metaverses(メタヴァース)』という造語で呼ばれたりもしています。
Magic Leapが構想を打ち出しているMagicverseもその一つです。
僕の主観ですが、企業は違えどこれらの概念は基本的に類似しており、Metaversesとしての差別化は難しいと思います。そこでこれから求められてくる問いは、「Metaverseの実現にどうやってアプローチをしていくのか」です。
Facebookはしばしばプライバシー情報流失等の問題で取り沙汰されています。
これからARクラウドを開発するためには、プライバシーの問題が避けては通れません。実用的なARクラウドには継続的な情報収拾と、より一層の個人のデバイスへのアクセスが必要であるからです。今回のニュースが流れた際にも、Twitter上ではLiveMapsのコンセプトよりも、LiveMapsが引き起こすであろうプライバシーの問題に注目が集まっていたように見えます。
Facebookがどのようにこの問題に対処し、LiveMapsの実現に向けて動いていくのか注目していきたいですね。
Amazon、Alexaを搭載したARデバイスを発表
Facebookと同じタイミングで、AmazonがAlexaを搭載したARデバイスを発表しました。その名もEcho Framesです。
通常のグラス型ARデバイスと違い、目の前には何も映し出されません。その代わりに、Amazonが提供するAlexaから指向性スピーカーを通じてのアシストを受けることができます。重量は31グラムとなっており、通常のメガネと変わらない重さです。想定販売価格は$179.99となっています。
同様のデバイスにBoseのBose Framesがあります。
重量は約45g。両方のツルの部分にスピーカーとマイクが内蔵されていて、通常のスマートフォンで使えるSiriをはじめとする音声アシスタントにアクセスができます。加えて、防水性能やモーションセンサーの機能も持っています。
これらのデバイスは視覚ではなく聴覚に特化したデバイスと言えます。
ARと言えば「ビジュアルで何を表示するか」について考えがちですが、僕個人としては「五感すべてへのアプローチ」を考えるべきだと思っています。中でも、視覚と聴覚へは比較的アプローチが簡単で、すでにあるデバイスにARの機能を組み込むことで実装されています。例えば、グラス型デバイスであればスクリーンがベースとなり、Echo Framesであればスピーカーの延長線上で考えることができます。一方で、その他の五感、触覚・味覚・嗅覚に関しては、重要であるものの、アプローチをするためには特殊なデバイスを一から作る必要があります。
今回紹介したEcho FramesとBose Framesは、聴覚へのアプローチによって体験を拡張しようとする動きです。メッセージの通知や簡単な情報を得ることや、音楽を手軽に聴くことができる、と言った日常の体験には視覚からよりも聴覚からの情報取得の方が手軽な可能性があります。
そしてこれから、AR時代ならではの聴覚体験が生まれてくるのかもしれません。例えば、『AR時代のSpotify』。「音楽を身に纏う」と言った体験が可能になってきたら面白そうだな、と個人的に思っています。
視覚だけなく、聴覚へのアプローチも今後増えてくるでしょう。ARにおいて『音』は重要な要素であり、深い没入感を生むために必須な要素です。
今後、Echo Framesを含む『音のARデバイス』も随時キャッチアップしていきます!
*Bose Framesは日本でも発売になりましたね!
Appleによる新製品発表。ARグラスは。。。
残念ながら、9月にもAppleのARデバイスに関する正式な報道なありませんでした。。。
ただし、『デバイス開発が進行中だ』という報道が(噂レベルですが)ありました!
9月の初めに流れたニュースの中に、iOS 13の内部ビルドから「Garta」と呼ばれるARデバイスの名前と「STARTester」という謎の機能が発見されました。
このことが発見されてから、9月11日のAppleイベントにて何らかの発表があるのではないのかと期待が高まりました。が、当日にはARデバイスに関する発表はなし。僕も「やっぱりか〜」と肩を落としました。
しかし、9月20日にTwitter上でxSnow氏(アカウント名)がSTARTesterから立体視用の機能を発見したことが話題になりました。
さらにその数日後、AppleがARデバイスの広角視野に関する特許を申請してることが報じられています。
Appleは着々とARデバイス開発を進めている模様です。
ただし、リリースはまだ先になりそうです。思い返すとスマートフォンが出始めた時、Appleはその先駆者とは言えませんでした。他社が続々とデバイスを発表する中で、Appleは市場を確保できるデバイスの開発を水面下で進めていたのです。そして満を持して登場したiPhoneは瞬く間に普及しました。
つまり、AppleがARデバイスを出すタイミングは『Appleが市場でポジションを取れる確信のあるデバイスが開発されたとき』。
僕らはただその時を待つだけです。
いつくるGAFA?
豊富な資金があるため、GAFAがARデバイス開発に本腰を入れ始めたら、一気にARの社会実装が進みそうな気がします。
FacebookのARグラスやARクラウド『LiveMaps』は明らかにARの普及に向けた動きですし、Amazonの『Echo Frames』はAmazonの持つプラットフォームをARに拡大しようとする動きです。Appleも今は息を潜めていますが、水面下で開発を進めているのは明確です。
ちなみに、今回登場しなかったGoogleですが、B2Bの分野でARグラスのシェアを広げている模様です。
それぞれがどのような戦略でARに関わっていくのか楽しみです。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
数日後にアップロード予定の『Weekly AR Review vol. 5』も宜しくお願いします。
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