Weekly AR Review vol.8|NVIDIAのクラウドサービスに世界最大級のデモ、そしてHADOアカデミー開校!
ここ一週間のAR関連ニュースをまとめるWeekly AR Reviewです!
「NVIDIAのクラウドサービスの発表」や「株式会社Moguraのコンサルティング・開発サービス『Mogura NEXT』」など、興味深いニュースが続々報道されました。今週も、それらの中からご紹介したいと思います!
※ 今回は少しフォーマットを変えて、取り扱うニュースの数を増やしてみました。これからしばらくは、このフォーマットでお届けします。
『Weekly AR Review vol.8』で取り上げるトピックはこちら⬇️
NVIDIA、5Gを活用したクラウドサービスを開始
アメリカの半導体メーカー『NVIDIA』は、クラウドレンダリングをし作成したAR/VRコンテンツを5Gの回線を使い配信するプラットフォーム事業を開始しました。
NVIDIAは、SteamVRとOpenVRのコンテンツに対応するクラウドレンダリング・パイプライン 『CloudXR SDK』を近い将来リリースする予定です。
クラウドプラットフォームを活用することで、企業にとってはハイクオリティな3Dコンテンツ制作をクラウド上で可能にさせ、ユーザーにとってはクラウド上で処理をすることにより端末の負荷を軽減させることが見込まれています。
技術面でも期待できるNVIDIAのクラウドサービスですが、5Gのビジネスモデルとしても注目が集まりました。
NVIDIAは、5Gネットワークを構築する”通信業者”に『CloudXR』を活用してもらおうと計画しているようです。通信業者がCloudXRをAR/VRのストリーミングサービスのプラットフォームとして活用することにより、ユーザーが使用するキャリアを選択する際に、具体的メリットを提示することができるようになります。NVIDIAはxR領域で通信業者とユーザーとの橋渡しをしていくビジネスモデルを築いていこうとしています。
次世代の通信インフラとなる5Gですが、「どのように5Gを通じてARコンテンツがユーザーまで届けられるのか」がこれから議論する必要がありますね。
FacebookのARグラスにSamsungのチップが採用か
韓国の電子産業界業界紙「Electronic Times」のレポートによると、FacebookのARグラス用にSamsungのチップが開発されているようです。
今回の報道では何に使われるチップなのかは明らかにされていませんでしたが、おそらくトラッキングに関わるものだとみられています。
Facebookはこれまでにも電源の持ちの長さに対する懸念点を指摘してきましたが、中でも、最大の問題点はポジション・トラッキングや空間認識等の消費電力でした。今回話題になったチップはその対策のようです。
今年9月に開催されたFacebookのイベント「Oculus Connect 6」にて、Facebookが開発中のメタバース構想「LiveMaps」とそれをARとして体験するグラスに関する発表がありました。グラスに関しては、リリースは数年後を見込んでいます。今回の報道は、その進捗を知れるものとなりそうです。
消費電力の効率化はこれから重要なトレンドになってくると思います。
最近話題になったNrealLightも、長時間着用しているとデバイスに熱が溜まり、おデコの辺りが熱く感じます。日常使いが視野に入れられ、長時間の着用を念頭に開発されているグラス型デバイスにとっては、これは深刻な問題です。
今後、消費電力を効率化させ、この熱をどこまで軽減できるのか、デバイスを開発する企業の動向が気になります。
AT&T Stadiumで世界最大級の『5G×AR』デモ!
アメリカのテキサス州に本拠地をおくNFLチームDallas Cowboysのスタジアムで行われた『5G×AR』のデモ。そこでは、30m大のカーボーイズの選手がスタジアムを動き回ります。
今回のデモを協力した企業は、スタジオ事業を手がけるNexusとVPS技術を提供しているScape Technologies。これらに加え、5Gの普及を進めるアメリカの大手通信会社AT&TとAR事業を拡大しようとしているSumsungがこのプロジェクトに参加しています。
これらの企業が共同で制作したものが、この世界最大級の『5G×AR』のデモです。
このデモでは、5Gの具体的な使い道としてのARが提案されています。
デモでは、スタジアムの建物の形状をVPSで正確に読み取り、5Gを通じてARコンテンツを適切な場所に配置することを可能にしています。また、VPSを採用することによって、誤差を数センチメートルに抑えることが可能です。
今回はSumsungも技術協力として入っており、このデモを体験するためには、Sumsungのスマホ「Galaxy S10 5G」を持っている必要がありました。現在、AR体験が提供されていても、デバイスによる制限が大きいようです。”クアルコム社の『Snapdragon 855』を積んだデバイスのみ”のような制約がしばしば見受けられます。
今後、デバイスの制限が緩み、体験できるユーザーが増えることも期待したいですね。
※このプロジェクトの詳細についてはこちらのサイトでまとめられています!
HADOアカデミー、日比谷に開校!
AR技術とスポーツを融合したテクノスポーツ「HADO」を体系的に学ぶことができる学校『HADOアカデミー』が2019年10月15日に開校しました。
カリキュラムを通じて、HADOの基本的なプレイ方法を学び、プレーの基礎力の向上させることが目的とされています。全ての課程を修了した受講者は「HADO公認チーム」として活動でき、HADOに打ち込めるためにサポートを受けることができます。
「HADO」を提供するmeleapは「HADOを文化として根付かせ2021年にプロリーグ化」を目標に掲げており、プロの育成のための学校としても機能していくようです。
この他にも、meleapはHADOの日本大会・世界大会の開催をはじめ、フィリピン大手メディアABS-CBN社との独占契約締結や、小学校の体育の授業に試験導入されたりと、HADOのブランド化とプレー人口増加に積極的に動いています。
特に注目をしたいのがHADOコミュニティの拡大。
HADOは、AR業界というコミュニティではなく、スポーツとしてのコミュニティを広げることにより、より定着しやすい土壌を形成しています。さらに、その中に「日本大会・世界大会」や「プロ・アマチュア」と言った階層を提供することで、コミュニティの輪郭を明確にしています。その一方で、小学校の体育の授業に試験導入されるほど、プレー習得もし易くなっており、スポーツとしての入り口の広さも兼ね備えています。
今回の『HADOアカデミー』の開校も、HADOコミュニティの拡大を念頭においたものと考えられます。次のアクションが期待されますね。
領域特化のコンサル・開発サービス『Mogura NEXT』開始
Mogura VRで知られている株式会社Moguraが、AR/VR/VTuber領域に特化したコンサルティング・開発サービス『Mogura NEXT』を開始するようです。
xR関連のメディアを運営していることもあり、xRに関するデータの蓄積量は業界屈指。またそれだけでなく、Moguraでは2018年から開発チームも発足しており、研究開発にも積極的に取り組んでいます。
『Mogura NEXT』のWebサイトで述べられている3つの特徴(業界調査・ノウハウ構築・開発)を強みとして、これからどうARを活用していきたい企業をサポートするのか注目ですね。
(ARだけでなく)xRを用いたサービスをデザイン・開発するためには、従来のサービスデザインとは違う、専用の知識とアプローチが必要になってきます。
おそらく、それぞれのAR関連企業が独自にARに関するノウハウを構築・蓄積していると思います。そして今、そのノウハウを共有するタイミングにきているのかもしれません。今回の『Mogura NEXT』でも「ノウハウ構築」が強みとして挙げられているように、日本のAR業界が成熟しつつあり蓄積したノウハウをシェアし、活かすフェーズに入っていきている、と考えることができそうです。
(※ MESONからは代表のカジさんが『MESONのARサービスデザイン』についてまとめてくれています。)
答えが見つかっていないARサービスデザインだけあって、それぞれの企業の強み・得意領域を生かしたサービスデザインやコンサルティングが現れてくると思われます。
これから
国内・国外ともにAR開発が加速しつつあります。
『NVIDIAの5Gを活用したクラウドサービス』はまだ見ぬAR/VRが社会に実装された未来を見ています。Facebookは着実に一般への普及に向けたARグラスを開発しているようですし、複数の企業が共同で行う大規模なARプロジェクトの下地も築かれているようです。
『HADO』はARの枠をはみ出して、ARスポーツの領域を着実に開拓し、人の育成にまで乗り出しています。『Mogura』はコンサル業務を本格的に始めることで、蓄積したノウハウを外部とシェアし、企業のAR活用を広めようとしています。
この調子でARの可能性が広がっていくといいですね!
まだまだ課題の多い業界ですが、これからが楽しみです!
来週公開の『Weekly AR Review vol. 9』もよろしくお願いします!
過去に公開した『Weekly AR Review』は⬇️のMESON XR MAGAZINEから見れます!
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