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刃物専門編集者の憂鬱 その27 「JKGナイフコンテスト2024 受賞者コメント」


こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。
肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいているのですが、ちょっと珍しい「刃物専門編集者」としての日々を、あれこれ書いていこうと思います。

表彰式、見てきました


今年のJKGナイフコンテストも無事、終了した。

おめでとうございます

表彰式が終わった後に、受賞した主な皆さんからコメントを頂いたので、ご紹介したい。
なお、ナイフの写真はJKGのサイトからお借りした。

コンテストの結果

応募作品一覧

いずれも閲覧可能である。
ご興味のある方はリンク先をチェックすることをお勧めする。

その1 受賞作と受賞者コメント

◾️JKG大賞
Masterpiece Far Eastern
丸山 律

実は完成したのは、応募最終日の朝でした。だから、受賞して最初の感想は「間に合って良かった!!」なんです。気持ちを込めてつくった作品だったので、これが受賞できなかったら、どうしたらいいんだろう、とまで考えていたので、大賞は本当に嬉しいです。フルタイムの作家になって1年半ほどですが、受賞をきっかけに作品がより多くの方々の目に留まっていただければなと考えています。

ベストインショーを受賞した武藤美彦さん(左)と。 丸山 律さんは武藤さんの作品が憧れの対象。早速、武藤さんにコメントをもらっていました。

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
由緒正しきアートナイフの系譜を継ぐ方が現れたなあと思いました。プロの作家としてますます世界に羽ばたいてください!


◾️優秀シースナイフ賞
2024ボウイ
下谷拓也

受賞できるとは全く思っていなかったです。気合いが入ってなかった訳ではないのですが、シースが予定とは違うタイプのものになったこともあり、せめて名前だけでも出品させていただこう、くらいの気持ちでした。だから今回の受賞は「嬉しい」と「びっくり」が半々でしたが、よく考えてみるとやっぱり嬉しかったですね! 今後はナイフショーへの出展なども挑戦してみたいと思います。

授賞式で(右はJKG会長の鈴木康友さん:以下同)。下谷拓也さんは本業の傍らナイフをつくり続けているそう

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
破綻のない理にかなったデザイン、削りなど加工の精密さ、素材の選択の確かさ。いずれもが高いレベルでまとまっていました!


◾️優秀フォールディングナイフ賞
ワーンクリフ
丹後雄一郎

受賞できるとは思っていなかったこともあって、ひときわ嬉しいです。4年連続(’21:藤本保広メモリアル賞/’22&’23:奨励賞)で賞をいただけたことも光栄だと感じています。今まで、自分がつくりたいものをつくるという考えで続けてきましたが、そのスタンスを変えず、これからも自分にしかつくれないナイフを目指していこうと思いを新たにしました。来年も応募したいな、と思っています!!

実は写真もいい腕を持っている丹後雄一郎さん。同郷の同志、水澤祥太さん(右)と。彼もいいナイフつくってます

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
昨年の作品から様々な要素に気を配られてきた結果、全体のクオリティが非常に上がったと感じています。どのパートも楽しませてもらいました。


◾️鈴木眞メモリアル賞 
Arts & Fusion
岡島健二

独立後初めて制作した1本になります。 制作環境づくり等の準備期間に2年以上費やし、多くの方のご協力とアドバイスにようやく報いることができたと感じています。「ウィリアムヘンリー」に憧れ、精密加工と手加工による装飾の融合を目指してきました。今回の作品に関しては、まだまだやれる事もあったという反省もありますが、今後も積み上げた知識や経験を詰め込んだ作品に取り組んでいきます。

岡島健二さん。明確な意図と強靭な意志で、美しい作品をものにした。今年(2024年)の関アウトドアズナイフショーでも受賞。すごい!!

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
精度の高い機械加工を取り入れながら、手仕事も組み込むバランス感覚に好感を持ちました。ショーでの展示でも評判を呼んでいました。
(*筆者は選考に関わっていません)


◾️藤本保広メモリアル賞 
リバートレック
平野眞也

ナイフをつくり始めたのは1988年。随分前になるのですが、コツコツと続けてきました。少し前に仕事を退職してから、セカンドライフを楽しもうという思いもあって、本格的に再開しました。同じく長年の趣味である釣りに使える作品を中心に制作しています。今回の受賞は大変な名誉と光栄を感じると共に、レジェンドの名前に恥じない作品を製作しなければとの思いも強まりました。

ナイフメイキングはセカンドライフを楽しむツールとしても優秀。それを体現している平野眞也さん

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
ぱっと見た時のシルエットの良さ、手にした時に持ち心地の良さ。まさにカスタムナイフの良さを端的に表すような作品です。
(*筆者は選考に関わっていません)


◾️デザイン・アイデア賞
マッチ箱
冨岡博美

人に勧められて応募したのですが、受賞できると思っていませんでした。驚きましたね。ネイルマークを山本徹さんに入れていただき、シースを中村英二さんにつくっていただきました。昔からナイフづくりを楽しんできた、尊敬できる仲間たちです。彼らと名前を連ねた作品で受賞できたことが、一番嬉しいかな(笑)。ありがとうございました。

冨岡博美さんはやすりメインで加工していくスタイル。仕上がりは実に精緻でベテランの味わいが

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
アイデアの楽しさと確かな技術に支えられた美しいデザイン、腕利きに任せるところは任せるという合理性も大変好感を持っております。


◾️レポーター&エディター賞
Hildr(ヒルドル)ISZ417VK
石崎祐也

昨年、コンテスト用に制作していた作品を最後の段階で失敗してしまって応募できなかったことが悔しかったので、今年受賞できたことが嬉しいです。ナイフづくりは奥深く、まだまだ頑張らないと思っています。発展途上であると自分でも感じていますが、これからも理想とするナイフにちょっとでも近づけるよう、努力をし続けていきます!!

石崎祐也さん。選考した圷正史さん(左)と。レポーター&エディター賞は基本的に圷さんが作品をセレクトします。もちろん筆者も大納得しての選出です

刃物専門編集者から(こっそり)ひとこと
一昨年(2022年)の応募作から注目していましたが「使い手のことを考えたナイフ」というポイントがブレておらず、感服いたしました。



その2 受賞作と受賞者ポートレイト(奨励賞)


奨励賞も素晴らしい作品ばかりだった。

◾️奨励賞

3.5インチ フィールド&ストリーム(相田モデル)
遠藤幸男

遠藤幸男さん


機械式夜桜 ~sakura roid~
横尾貴志

横尾貴志さん


M-1 Hunter(ランドールM-1習作)
長谷川新一

長谷川新一さん


Starlight
藤田貴大

藤田貴大
さん


アフリカヌス2(Ⅱ)
中山晋太郎

中山晋太郎さん


JKGナイフコンテスト、ぜひ応募を

 JKGのコンテストの最大のメリット、それはショーで応募作が一堂に展示されるところにあると個人的に思う。
 そして受賞作を見ることも、そして作家がOKするならば、実物を手に取ったりしながら、やり取りができるところ。
 これ、ナイフメイキングする上で、ものすごいプラスになると思うんですよね。

丸山さんが自作を分解。筆者には理解不能の専門的な会話が作家さんたち同士で繰り広げられていました


 今年応募した人もしなかった人も、ぜひ2025年、応募をオススメします!!


おまけ

 せっかく東京に来たので、倅と蕎麦を食べにいきました。
 東京都美術館にも行ったので、その流れでのれんをくぐった上野の名店。
 もう、新蕎麦の季節になっていました。


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