刃物専門編集者の憂鬱 その5 「え、オレが選ぶんすか!? 2023」
こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。
肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいているのですが、ちょっと珍しい「刃物専門編集者」としての日々を、あれこれ書いていこうと思います。
■今年もやってきました、ナイフコンテストの季節が。
以前にも書いたことがあるが、作家によるハンドメイドのナイフ、いわゆるカスタムナイフの世界には、いくつかのコンテストがある。
日本において、プロアマ問わず応募できる、代表的なコンテストとして、真っ先に上がるのが、ジャパンナイフギルド(JKG)という団体が主催する「JKGナイフコンテスト」である。
ナイフメイキングが静かなブームとなっていることも手伝ってか、近年は、応募作のクオリティが明らかに上がっている。審査の末席のそのまた末席を汚す者としても、応募作を拝見することが、毎年秋の楽しみともなってきている。
今年も例年通り、9月上旬に応募期間が設けられており、下旬に選考会が行われる予定となっているのだが、今回から、レギュレーションの一部が変更になった。
応募作品の制作中の様子をSNS等で公開してもOK、となったのである。
■ウェブ上で拡散されていくカスタムナイフの情報。
この話を、JKG事務局の切れ者、ハルキ氏から伺った時には、面白そうだな、と感じた。
日本のカスタムナイフ界は、インターネット上で情報交換がされる割合が高いな、と思っていたからである。
2020年から、Twitter(現X)上で、継続的に開催されている「SAKURAウェブナイフショウ」などの影響も大きいだろう。SNSで自らの作品や制作工程を紹介することに始まり、各自の作品の建設的な批評や、技術のノウハウの提供などが、活発に行われている。
他ジャンルの現状と比較した上での話ではないが、今、誰によって、何が作られていて、どんな素材や道具に注目が集まっているのか、最新の情報が得られる場所として、多くの人々がウェブを活用している、と実感していたのである。
その状況を見ての「変更」だから期待できる。僕は、X上で繰り広げられる「制作風景」を、注目してきている。
■X上のハッシュタグ付き投稿をほんの少しご紹介。
主だった投稿をピックアップしてみよう。
■まだ間に合うか!? 今年は9/10までが応募期間です。
ハッシュタグがついていて、なおかつ僕の個人アカウントと相互フォローになっている方に限ってセレクトしたのだが(もしチェックもれがあったらスミマセン)、このほかにも、コンテスト作品であろうと推測できる作品の制作過程を紹介する投稿も数多い。
どれも眺めているだけで面白い。僕にとってひときわ嬉しいのは、制作過程を覗き見られることだった。コンテストの応募用紙には「アピールしたい点、苦心した点」を書く欄があり、僕も毎回、目を通してはいるのだが、やはり画像や、各工程にかけた時間をリアルタイムで見ていると、なるほどな、と感じるのである。
投稿が選考基準にはあまり影響しないようには思う。あくまで出来上がった作品で判断するからだ。だが、見ているだけで、周りの愛好家たちの気持ちが「アガる」ことは間違いない。
応募期間は、9/10までである。詳細は、JKGのHPの特設ページに掲載されている。
例えば、ストックしていた作品などを応募する手も残っている。まだギリギリ間に合うと思うので、興味を持った方は、一度リンク先を見てもらいたい。
■『日本のカスタムナイフ』ってイカした本があるらしいよ。
ちなみに僕はホビージャパンという出版社から出ている、こんな本の編集などを担当させていただいている。
今年末から来年に発行される予定の本でも(詳細は追ってご紹介させていただきたい)、受賞作の一部は紹介させていただけたらと思っている。
幾分かでも応募のモチベーションを上げる一助になれば幸いである。