刃物専門編集者の憂鬱 その18「ショーレポート:T-OD GEAR SPOT 2024 編」
こんにちは。「編集者&ライターときどき作家」の服部夏生と申します。
肩書きそのままに、いろいろな仕事をさせていただいているのですが、ちょっと珍しい「刃物専門編集者」としての日々を、あれこれ書いていこうと思います。
はじめに (少し長いです)
年一度のペースで発行してきたムック本『ナイフダイジェスト』。
諸事情が重なって、発行が先延ばしになります。
関係者の皆さま、そして読者の皆さまには、多大なるご迷惑をかけてしまい、申し訳ございません。
ムック(大判のビジュアル重視の本)や書籍(読み物)といった刃物関連の「紙の本」は、今後も発行していく方向で進めています。
予定が決まり次第、随時、お伝えさせていただきます。
少しペースダウンすることにはなります。
恐縮の限りではありますが、お待ちいただければ、大変、幸いです。
情報の発信は続けたい。
そんな思いを同じくする発行元ホビージャパンの担当氏とも相談して、この度、同社のウェブサイト「アームズウェブ」で
【ナイフダイジェスト WEB版】
を始めさせていただくこととなりました。
いくつか新規企画も始動させる予定です。
このnoteとも連携させながら、ウェブだからこそできるような記事も、ご紹介していきたいと考えています。
これからもどうぞ、ご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
*ご意見などございましたら、当方のXのDMまでご連絡いただければと思います。
T-OD GEAR SPOT、今年もいいショーでした
さて、今回は6月16日に開催された「T-OD GEAR SPOT」の模様をご紹介したいと思う。
同ショーは、毎年6月に、東京·池袋のサンシャインシティで開催されている。
ナイフに限らずミリタリーアイテムも含めた「さまざまな作家もの」が展示販売されるショー。
僕は昨年はじめてお伺いして、その熱気に驚かされた。
そして、鍛造刃物の作家をはじめ、個性豊かな面々がそろった今年も、やっぱりその熱気は健在だった。
ここではダイジェストで、撮影させていただいた順に各ブースをご紹介していこう。
ポートレイトと作品で紹介するT-OD GEAR SPOT
毛利沙羅さん(右)と舞音さん(Pagos Craft) 鍛造作品を制作するふたり。新進の作家だが人気も高くブースには途切れず人が訪れていた。
真坂洋之さん(SDT-WORKS) カランビットや鍛造作家とのコラボモデルなど多彩に展開。今回はナイフ作品も多数展示し注目を集めた。
NIGHTHAWK EDGE リピーターも多い人気作家も参加。質実剛健を形にしたような作品は、アウトドアでも頼りになりそうだ。
武市広樹さん(Rock Edge Works) T-OD GEAR SPOTを主催してきた作家。安定した人気を保つ独自性の高いショーの存在は貴重だ。
五十嵐 護さん(ZERO鍛冶) 注目度急上昇中の鍛造刃物作家(右)。主催する鍛造合宿も人気だ。左はサポートで参加したミズこと水澤祥太さん。
KINGFELIX bagworks レザーバッグの作家も初参加。機能性の高い作品が来場客のみならず出展者たちからも注目を集めていた。
マトリックス·アイダ ナイフメイキングに興味の持つ人なら誰もが知るショップも参加。店長の相田東紀さんのわかりやすい説明は貴重だ。
萩野 力さん(AsurahKnives) インテグラルスタイルの作品で人気の作家も参加。米ブレードショーにも初参加して刺激を大いに受けたそう。
市川志郎さん(I川商店) 実用性とデザイン、そして独自性の高いアイデアが共存した作品で瞬く間に人気となった作家。新作も展示されていた。
LT-1 カスタムガンやカイデックスホルスターなどを製作する工房も参加。ミリタリーファンをはじめとする人たちの注目を集めていた。
杉田 匠さん たくちんの名でナイフ等を制作。精度抜群でアクションがスムーズなバタフライナイフは、機会があればぜひ一度手に取ってもらいたい。
鈴木北斗さん(蜜柑刃®︎) 独自性の高いデザインと高い工作精度が広く人気を呼ぶ気鋭の作家。左は応援に駆けつけたあひる製作所さん。
伊藤 亮さん ステ菌という愛称でも知られる作家。スティレットをはじめとしたフォールダーの名手として各方面から高く評価される。
豊和精機製作所 猟銃専門店も参加。写真は代表(左)と副代表。ナイフに限らず、各分野での評価が高い出展者がいることでショー全体の魅力が増している。
寺田忠夫さん(アトリエトマス) ストック&リムーバルから鍛造まで幅広い作風と技術を持つ作家。高い実用性と持つ楽しさを共存させたナイフが人気だ。
岡野育実さん(秋水) ナイフをはじめとした刃物類を数多く手がける鍛造作家。今回は自ら鍛造した創作した作品を数多く並べ、注目を集めた。
たまごち ファクトリーモデルを中心に、コレクションナイフを展示販売。バリソンナイフや米ファクトリーの貴重なモデルも多く来場者の注目を集めていた。
山田トール健多郎(PROMETHEUS) ”Thor(トール)”の愛称でも知られる新進のナイフ作家も参加。スリングショットなどの作品も手がける多才な作家だ。
おわりに
出展された方をすべてご紹介させていただいた。
超駆け足になってしまったが、ものすごく楽しかった。
このショー独自の客層があり、独自の盛り上がりがあり、他とはひと味違う発見や出会いがあると思う。
毎年開催して、実績を重ねてきたゆえの「伝統」のようなものが生まれているのだろう。
多色刷りの個性がある分野には、揺るがない文化が生まれる。
日本の刃物文化の厚みのようなものを感じさせるショーだった。
T-OD GEAR SPOTは来年も開催される予定である。
参加に興味のある方は公式Xで情報をチェックしていただきたい。
おまけ
ショーの前日まで、刃物関連とは別の取材で北海道にいた。
ルピナス咲き誇る北の大地からやってくると、東京のコンクリートジャングル感が否応もなく実感できて、なかなか面白かった。
土地ごとの個性がはっきり感じられるのは、日本のとってもいいところだと思う。
海外のことなんてほとんどわかっていないけど、それでも。
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