サブマリン横綱航海記
「怖ッ!地獄の生き物かよ!」
海底から伸び上がってきた巨大な鎌を受け止めながら、私は叫んだ。今の攻撃に対応できたのは私の反射神経の成せる技だろう。
複合海洋研究施設を襲った深海の古代生物は、どうやら予想を超えたモンスターのようだ。
海が好きで引き受けたこの仕事、海の藻屑となるならそれも本望だけど、コイツに食われるのはノーサンキューです。
「うわ、間近で見るとますます怖いわ」
メガゼブラマンティスシュリンプ(仮称)の無機質な顔が厚さ15センチのアクリル越しに迫る。種の壁を越えて伝わるその殺意。
けどなー、ホホジロザメにパンチして鍛えた私の性根の座り方は半端じゃねーぞ? お?
大型マニュピレーターを備えた全球型潜水艇「蒼海力士くん」が、化物シャコの両腕をガッチリと掴み、互いの動きを封じている。そして。
「決まり手は隠し腕じゃー!!」
ひみつボタンで小型マニュピレーターが展開、水中銛銃の引き金を零距離で引いた!
(つづく)
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