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コンとローラ(コン編:第1回(全4回)プロローグ)
プロローグ
![](https://assets.st-note.com/img/1680923178096-NXE5Q6BmBp.jpg)
俺はドアを開けて自室に入った。
玄関にはダンボール箱がある。
ああ、確か先週田舎から届いたんだっけな。
俺は仕事でクタクタの服を洗濯機に投げ込みシャワーを浴びた。
コンビニで買ったものをテーブルに置く。
ビール、弁当、スナック菓子。
スマホをいじりながらそれらを口に運んでいく。
さて、荷物開けなきゃ。
母さんから電話で催促されてたんだ。早く開けろって。
俺はカッター片手に荷を開けた。
中にはいつもの野菜や果物、味噌なんか、
そして、いつもの手紙。
・・・ん?なんだこの袋は?
開けてみる。ケースに入ってる円盤。
CDだよな?これ?
母からの手紙によると、
田舎の俺の机の上にあったから
ついでに入れといたとのことだった。
「スマホで聞けるでしょ」
ってそりゃ無理だよw
しかしなんだこれ?
音楽CDじゃなくCDRなんだけどな。
CD表面には
「MOIプレゼン用(ガセドン開発3課蓮田)」とある。
ガセドンは知っている。
今もある、はずのゲームメーカーだ。
ってことはこれはゲームソフトなのか?
俺はスマホでできる限りの検索をかけたが、
詳細は分からなかった。
ふと「秋葉原 MOI 」でワード検索をすると、
「家電のケンちゃん」という店舗が出てきた。
んー
ゲームとか最近全然やってないけど、
まあちょっと行って聞いてみるか。
どうせ明日休みだし予定もないし。
久しぶりに観たCDケースを弄びながら俺は決意した。
秋葉原にて
秋葉原の電気街口に来た。
![](https://assets.st-note.com/img/1680923201842-GJRAzyQZ5C.png)
久しぶりだ。めっちゃ久しぶりだ。
何年ぶりだ秋葉。
一時期はここにあったゲーセンに通っていたな。
「チュンチュンカフェいかがですかぁ~?」
着物を来た若い女性が声をかけてきた。
俺は軽い奇妙な声を上げて、
それを遮断して歩きはじめた。
こ、これが今の秋葉かー。こっえー。
「家電のケンちゃん」のある建物は
ガード沿い通りにあってすぐ見つかった。
そういえば「ジャンク屋」的な店には
人生初の入店だ。
俺はまるでお化け屋敷を進むがごとく
ゆっくり歩いた。
通路を進むと、
昔見たことがあるゲームが
色々と置いてあったコーナーがあった。
ゲームソフトも沢山陳列されている。
左側にはジャンク(ガラクタ)コーナーもある。
白いビニールテープの上から
マジックで「ジャンク品(動作未確認)」と
書いてある。
再び視線を右に移すと隅に人が座っていた。
風貌は細身の中年男性。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102445446/picture_pc_084e3d9e43b2c0e2ee60854e428824c9.gif)
ヒゲに長髪をくくって、
いかにもジャンク屋店員という感じだ。
ずっと机にある小さい機械をいじっている。
俺は思い切って声をかけた。
俺
「あ、あのう・・・」
店員
「んん?なんだい?」
良かった、
思ったより怖くない。
俺
「実はですね、
これができるゲームってあるかなー?
って、思いましてー」
俺はカバンから昨日のCDRを取り出して店員に見せた。
店員はCDRを受け取り、
ケースから取り出し裏面まで丁寧に見た。
店員
「へえーこりゃ懐かしいわ。
MOIかー」
俺
「知ってるんですか?」
店員
「うん。まあ、ね。
これ社内プレゼンで作られたヤツだよ」
俺
「遊べます?」
店員
「普通のタサーンじゃ動かないよ。
社内ロムだもん」
俺
「タサーンのゲームだったんですか?」
店員
「そうそう。
もちろん発売はされなかったよ」
俺
「ああー
じゃあ無理かー」
店員
「遊んでみたいでしょ?」
店員の意外な言葉に驚いた。
俺
「え!?
そりゃあまあ・・・」
店員
「そうだよねー!
ここまで来てくれたんだしね。」
店員のテンションが
明らかにさっきより上がっている。
俺
「でも普通のハードじゃ動かないってさっき…」
店員
「俺動くヤツあるから貸してあげるよ」
俺
「ええ!?」
ゲーム起動!
俺は自室でなんとかスペースを作り、
借りてきたディスプレイとタサーンの接続をした。
秋葉の店員はハラダと名乗った。
そのハラダさんから非売品ゲームが動くタサーンと
うちにTVがないと申告すると
接続できるディスプレイまで貸してくれた。
そんなわけで
帰りは久しぶり両手がずしりと重かった。
全く学生以来だよ、こんなことするの。
いや、でも正直わくわくしてきた。
ソシャゲの10連ガチャとはなにかが違う、
不思議なわくわく。
俺は再度、接続を確認し、
タサーンの電源を入れた。
じゅぅおーん!
ひゃらりらーん!
みたいな起動音と画面にはロゴが表示された。
ゲームの世界?
俺は意識を失った。
いや、夢を観ているのか?
確かゲームを起動したような・・・。
?
「おお!コン!
やっと来てくれたか?」
呼びかける声に気づくと
周りが明るくなった。
そこは小学校の体育館くらいの大きさの
倉庫みたいな場所だった。
壁に崩れたように横たわる
全長10メートルを超える鉄の巨人?
ロボットがある。
俺に声をかけた物体は
そのロボットの足元でフワフワと浮いていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1680923257898-ySk55AAlCw.jpg)
俺
「お前は?」
?
「なんと!
忘れたのか!
キミの乗る戦闘艦ラクーンドッグに搭載されたいた
戦闘ロボ「ダンカム」のAI、
ダンディーだ!」
俺
「ダンディー?」
笑える名前だ。
俺は改めて周囲を見渡した。
ああ、ゲームの世界だ。
でも夢だ。
VRってやったことないけど
こんな感じなのかな?
俺は苦笑いをして
この奇妙な夢の続きを楽しむことにした。
ダンディー
「おお!思い出してくれたか?」
俺
「ああ少しな。
状況を教えてくれ」
俺は適当にゲーム状況を探ることにした。
ダンディー
「私はダンカムで発進し、
帝国軍中枢に向かった。
敵の攻撃は激しかった。
私は奮闘したが、
帝国軍エースの機体に撃墜されてしまった。
なんとかここまで退避していた。
修理が必要だ。
人員と物資の要請連絡をして、
こうしてキミが来てくれた訳だ。」
俺
「そっか・・・
悪い。来たのが俺で。
あと物資って?」
ダンディー
「ハドウのギア、ポンティアムCPU、Xメモリの3つだ!」
俺
「あーごめん。
物資なくて俺だけ来ちゃって」
・・・ってこんな感じでいいのか?
話が進むのか?
ダンディー
「いいや!
ならばキミと私が探せばいい!」
俺
「そうなの?」
さすが簡単に話が進むらしい。
さすがテストゲームだ。
ダンディー
「そんなこともあろうかと、
キミを待つ間センサーで
その3つのパーツのある場所をサーチした。
キミとなら一緒に探せそうだ!」
俺
「そうなの?」
二度目だ。
捜索ゲームなのか。
俺はそう理解した。
ダンディー
「さあ、行こう!」
(つづく)