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コンとローラ(コン編:第2回(全4回)たたかい)
荒野を歩く
倉庫みたいな空間を抜けると
そこはいかにもゲーム世界でありそうな荒野だった。
遠くには漫画でよくある
砕けた高層ビルみたいな建物も見える。
ふと俺は自身を確認した。
ダンディーによると俺はコンというキャラクターらしい。
しかしなんだなんだこの雑な設定は。
コンの名前通り、
キツネの人型キャラで額に鉢巻、
身体には変なアーマーに靴はバスケのバッシュぽいのを履いている。
![](https://assets.st-note.com/img/1681435929103-xRC2YzgNyX.jpg)
まあ仕方ない。夢だしなあ。
俺はしばらく
先をふわふわと飛ぶAIダンディーに着いていった。
ダンディー
「近い。
この近くにハドウのギアがある、
あるいは、それを持つものがいる!」
俺
「しかし、
なんかオープンワールドにしちゃ
殺風景な地形が続くもんだな。
まあ当時のタサーンじゃ
頑張ってる方かなー」
ダンディー
「??
コン!
タサーンとはなんだ?」
俺
「ああ、
それは話すと・・・」
エンカウント!
突如!
前方少し先のレンガの壁が
大きな音と振動をたてて砕け、
そこから高さ5メートルくらいのロボットが現れた!
濃い緑のボディに
頭部らしき部位から赤い光球らしき目のようなもの。
![](https://assets.st-note.com/img/1680925252487-VBd5oHm5Tx.png)
俺
「なんだコイツ!敵か!?」
ダンディー
「気をつけろ!
コイツは帝国軍の機動メカ「クザ」だ!
小型だが強力な敵だ!」
俺
「そうなのか?!
こっちはなにか武器はないのか?」
ダンディー
「武器か?
武器ならあるさ!
ワタシとキミとの勇気が最強の武器さ!!」
俺
「いや、
そういうのより
銃とか楽なの!」
ダンディー
「む?
あの建物の中に
こちらが使えるメカがある!」
俺
「よし!
行こう!」
俺はダンディーの示した建物に走った。
建物の中には
外で遭遇したロボットに似たロボットが
数体しゃがむように置いてあった。
AIはそのうちの一体に近づくと
しばらく動きを止めた。
ダンディー
「よし!いけるぞ!
コン!乗り込んでくれ!」
俺
「ええ?
どうやって?」
ダンディー
「背面のハッチから乗り込むだけでいい。
あとは私がサポートしよう!」
俺
「マジか!」
俺はロボットの背面に周りこみ中に飛び込んだ。
バタン!
ハッチが閉まる。
中は真っ暗だった。
俺
「おい!
ダン、ディー!
どうなって・・・」
ミョミョミョミョ・・・と
音とともに振動がなる。
気づくと俺はしゃがんでいた。
しゃがんだロボットと一体化していた。
![](https://assets.st-note.com/img/1680925199374-z81qXjrzLN.png)
ダンディー
「どうだ?
コン?
うまくリンクできたか?」
眼下にさらに小さくなったAIがいた。
俺
「あ、ああ、
これで戦うのか?」
ダンディー
「そうとも!」
俺
「ええー」
俺はこのロボットがある建物内を見渡した。
武器になりそうなものがない。
ダンディー
「いこう!コン!」
俺
「勝てるかなー?」
都合よく建物の入口の反対側は
大きく開放されていた。
俺はほぼ一体化したロボットで外に出た。
俺
「そういえばさっきの緑のロボット、
追ってこなかったなあ」
ダンディー
「ああ、だがヤツにも
私同様に
戦術AIが組み込まれているのは間違いない」
俺
「俺みたいに人みたいなのも乗っているのか?」
ダンディー
「それはありえない。
ヤツは無人タイプだ!」
俺
「ああ、そう・・・」
俺(ロボ)建物の前まで来た。
10メートル先に緑のロボットがいる。
緑のロボットは少し顔を上げ、
こちらを視認すると眼を光らせた。
俺はとっさに上腕部を前に出し
ガードの姿勢を取った。
俺
「向こうも丸腰か!」
緑のロボット
「おお!!
遂に会えたぞ!わが宿敵よ!!」
俺
「・・・は?」
緑のロボット
「長かった・・・実に長かった!
お前に出会えるまで!」
俺
「何を言ってるんだ?」
ダンディー
「むぅ・・・
どうもこのクザは
帝国軍を離れた機体らしいな」
俺
「なんでそんなのがここに?」
ダンディー
「ウム・・・
しかしヤツの機体からハドウのギアの反応がある!」
俺
「やるしかないってことか!」
俺はガードを解く、
右足を後ろに引き、構えぽくポーズを取った。
俺
「戦うのか?」
緑のロボット
「当然だ!
われらは生まれた時より死ぬときまで戦う宿命!」
緑のロボットも武闘家のように構えを取った。
なんか昔遊んでいた格闘ゲームキャラのセリフみたいだな。
よし、適当に合わせよう。
俺
「俺が勝ったらお前の持つ、
ハドウのギアをもらうぜ!」
緑のロボット
「よかろう!」
俺
「・・・ええと、
お前が勝ったら・・・?」
緑のロボット
「さあ!ゆくぞ!」
俺
「え?」
緑のロボットはこちらに接近し、
パンチを繰り出してきた。
俺は一発目をかわし、
二発目は肘のガードで受けたが
腕が少ししびれた。
少し距離を取った。
俺は深くため息をついた。
俺
「おいダン!
これマジで武器ないんだな!
格闘だけなんだな?!」
ダン
「そうとも!
その機体は格闘に特化された・・・」
俺
「わかった!わかった!」
俺は緑のロボットに少し左に回り込んで
フックを見舞った。
緑のロボットの反応は遅れたが、
両腕でガードをしてきた。
しかし手応えがあった。
ヤツのガードが開いた。
俺はヤツの顎にアッパーを食らわした!
派手に宙に浮く緑のロボット。
後方に大きくふっとばした。
俺
「やった・・・のか?」
ダン
「ダメージ値はかなり高かったはずだ。
これなら・・・」
シュウゥゥゥ・・・
と倒れた緑のロボットの身体から
蒸気のようなものが放たれている。
俺がふぅと息をつくと、
そのロボットは
ちゃっと起き上がって
また構えを取った。
緑のロボット
「やるではないか、ともよ・・・」
俺
「俺の勝ちだよな?」
緑のロボット
「まだ始まったばかりだ!!」
ヤツはさっきとは全く違う速度で突っ込んできた。
俺
「ラウンド制かよ!くそ!」
緑のロボットは
その巨体から考えれない
身軽さでドロップキックを繰り出し、
俺はそれをもろにくらって
今度は俺が大きく吹っ飛ばされた。
あたた・・。
俺の機体からも蒸気が出た。
これが一本取られたエフェクトなのか。
あれ?
でもそんなにすげえ痛いって訳じゃない。
俺は起き上がり前方に構えるヤツを見た。
俺
「イーブンか・・・」
どうする?
2本先取が条件なら、あとがない。
どうする?
少し考えていた瞬間に、
またヤツが突っ込んできた!
ヤツのハイキックを
俺はなんとかかわした、
が、次の瞬間膝蹴りを食らった!
俺の機体は
またしても大きく後方にふっ飛ばされ蒸気を放った。
負けを確信した。
俺
「ああー負けたかー」
俺はゆっくり起き上がった。
俺
「え?」
前方にまた緑のロボットが構えている。
俺
「3本以上取るのか!
めんどくせー試作ゲームだな!」
果てなきバトルロード
俺は久しぶりに感情を少し出して緑のロボットに向かっていった。
ふっ飛ばし
ふっ飛ばされる
ゲーム終了のフラグが立たない。
ふっ飛ばし
ふっ飛ばされる
ふっ飛ばし
ふっ飛ばされる
ふっ飛ばし
ふっ飛ばし
ふっ飛ばし
おおい!
もう勝ち越しだろ?
ふっ飛ばし
ふっ飛ばし
ふっ飛ばし
ふっ飛ばされる
ふっ飛ばされる
ふっ飛ばし
ふっ飛ばし
ふっ飛ばされる
ふっ飛ばされる
たたかいの果てに
クザ
「まだだ!
来い!コン!」
俺
「いくぜ!クザ!」
もうずっと戦っていた。
これが格闘ゲーだと理解してからは
気が楽になった。
殴り合い、蹴り合い、投げたり投げられたり、
どれくらいの時が流れたのだろう。
気づくとステージ背景も夕暮れになっていた。
俺のジャンプキックがクザに決まった。
ふっ飛ばされダウンするクザ。
俺
「っしゃ!!」
クザ
「見事だ、コン」
クザはゆっくり起き上がった。
俺
「え?お、おう。サンキュな。
でも次は・・」
さっきから脚を少しぴょんぴょんしている自分がいた。
クザ
「今日はわれの負けを認めよう、ともよ」
クザからの意外な言葉に俺は少し驚いた。
俺
「俺の勝ちか・・・?」
クザ
「ああ。今日はな。」
そう言うとクザはどこにあったのか
歯車のようなものを俺に差し出した。
ダン
「ハドウのギアだ!」
ダンはそれに光線を当て
内部に取り込んだみたいだった。
俺
「オマエはどうなるんだ?」
俺は急に弱気になって聞いてしまった。
クザ
「われはもちろん帰る。」
俺
「帝国にか?」
クザ
「そうではない。
われを待つ、者のもとへだ」
俺
「え?・・・・」
クザはそう云うと背中を向け
夕陽に向かって
ゆっくりガシンガシンと歩き出した。
俺
「クザ!」
クザは左手を上げた。
クザ
「コン、
久しぶりに熱い戦いをさせてもらった。
感謝する。」
俺
「お、俺だって・・・」
クザ
「また戦おう、この地で」
俺
「あ・・・ああ!」
クザの姿が夕陽に溶けていった。
(つづく)