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コンとローラ(ローラ編第4回(全4回)アタシの守りたいもの

聖なる森に来た


それから、
アタシは魔女の手先から
神樹さまをお守りする役として、
この森に来た。

アタシ
「最初の森と違って明るい感じだねー
ウサ」

バリー
「そうよ!
ここは神樹さまの偉大なる霊力で守られているのよ!」



アタシ
「うーん!今日も良い天気だなー」

アタシは大きく伸びをした。

草花の咲き乱れるこの丘で、
ゴロゴロしていた。
そばにある木の葉が
時折風でサラサラと音をたてている。

アタシが神樹のあるこの聖なる森に派遣されて
どれくらい経つのだろうか。

あるもの全てが癒やしだ。
神樹さまもとても優しいし
動物たちともとても仲良くしている。

パタパタ・・・
フクロウが飛んできた。
あ、コタさんだ。

コタ

コタ
「ホッホー、ローラさんや。
神樹さまがお呼びですぞー」

アタシ
「うん!わかった!
ありがと!」

コタは木の枝に止まった。
アタシはたったっと駆けて
神樹さまの元へ向かった。


しばらくして


ヒュッ!と音がすると、
コタに矢が刺さった。


ドサっとコタが枝から落下した。

コタ
「オ・・・オマエは・・・」

ヒュン!
さらに矢が刺さり、コタは息絶えた。


正体


森の中心部と呼べる場所に
神樹様はいらっしゃる。

アタシはここへ来て
神樹様と沢山お話をした。
時には現実世界の愚痴なんかも
聞いてもらった。w

アタシ
「神樹さま!」

神樹
「やあローラ、
こんにちわ」


神樹

アタシ
「こんにちわ!
みんなから何か連絡が来ましたか?」

神樹
「いや、まだないねえ。
森も今日も平和のようだ」

アタシは神樹さまの前にある丸太に
よいしょと座った。

神樹
「今日はキミに面白い話をしてあげようと思ってねえ」

アタシ
「えー!どんなのだろー」

神樹
「ふふ、むかしむかし、
あるところに女の狩人がおりました。
彼女は狩人としての腕は悪く間の抜けた人物で
人々にバカにされていました。」

アタシ
「あはは・・・」

神樹
「しかしそれは仮の姿で
彼女には勇者を復活させるという
大いなる使命がありました」

アタシ
「もう!神樹さま!それってアタシじゃん!」

#神樹
「そうだ。キミだね。
ククク。ローラ、
これがなんだか分かるかい?」

神樹は枝の手を上げた。
そこには金のリングがあった。

アタシ
「神樹さま!それは!
あれ?あれ?」

アタシは自分の右手を掴んだ。
リングは確かにある。

神樹
「フフフ・・・そろそろ頃合いか・・・
ありがとう伝説の狩人・・・」

神樹は突然恐ろしい声を上げ
大きく巨体を震わせた!

体色は明るい茶色から
おぞましく黒く変わり
枝には無数の棘が生え、
穏やかだった表情も
赤い眼光の形相になった!

正体をあらわした神樹

アタシ
「う・・・嘘・・・
まさか・・・もう・・・」

神樹
「フハハハハハ!!
そうだ!!遅かったな!!
オマエがここに来る時には
もう神樹はオレ様だったのだよ!!」

ゴゴゴゴゴ・・・
地面が割れ太い根があちらこちらに出現した。


ひかり


アタシ
「そんな!そんな!
そんなーーー!!」

アタシは天を見上げ叫んだ。

計画が漏れていたの!?
こちらの作戦が!

神樹
「フフフ。俺様はこう見えて
実は紳士なんだぜ、ローラ。
きちんと真実ってやつを教えてやろう。
オマエが普段話していた
辛い現実ってやつだろうがね・・・」

アタシ
「うぅ、うっ!・・・・・・」

アタシはがっくり膝を落とし
くしゃくしゃになって泣いた。

泣きながらふと
左手に目をやる。

人差し指に銀の指輪をはめていた。
あれ?
こんなのしてたっけ・・・?

神樹
「ククク・・・
まずオマエのそのリングは偽物だ。
本物はここにある。
すり替えさせてもらった。

オマエがここに来て夜に寝ている間、
俺様はオマエの記憶を覗かせてもらった。

ククク
これでもう分かっただろう?
オマエ達の負けだったんだよ・・・・」

アタシ
「・・・・・・」

左手の銀の指輪が輝いた。
その光はだんだんと強くなる。

神樹
「ククク・・・
オマエの泣く姿は初めて見るな・・・
なかなかゾクソクするぜ・・・」


アタシ
「・・・・ないのね?」

神樹
「ああん?」

アタシ
「アナタが覗いた私の記憶に、
泣いてるアタシはいないのね?・・・」

神樹
「何を言っている?」

アタシ
「なら・・・
アタシ達の勝ちだ・・・ふふ・・・」

アタシはフラフラと
弓矢の置いてある場所に歩いた。

神樹
「今更何をしても無駄だ。
今、楽にしてやる!」

アタシに鋭く尖った
無数の黒い枝が襲いかかる。


カッ!


アタシに襲いかかった枝は
光とともに粉々に砕けた。

アタシの周囲に半球状の
白く輝くバリアが張られていた。

神樹
「!!オマエ!!
これは一体!?」

アタシは弓を手に取り
みんなに教えてもらった通りの準備をした。

アタシは神樹の方を向いた。
弓の調子を確認し、
「よし」と一呼吸した。

顔は泣き崩れた後だが
今なら見せる相手に困ることはない。

アタシ
「ええと、ゲスナンデス?
だったかしら?」

神樹
「?!
何故俺様の名を!?」

アタシ
「ああー
むかつくむかつく!
キザの情報全部悔しいほど正確で!」

ゲスナンデスは先程までの威勢が衰え始めていた。

アタシ
「ええと、
なにから話せばいいかな?
そうそうアナタの持ってるそのリング、
もちろん本物よ。
でも
中に鍵はもう入ってないの。
ウサに渡しちゃったの。」


ゲスナンデス

ゲスナンデス
「ええ?
えええええええええええええええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

アタシ
「アナタのことも知ってる、
キザからの情報でね。
もう神樹様に取り憑いていたことも。」

ゲスナンデス
「そんなバカな!
オマエの記憶にはそんな情報はなかったぞ!」

アタシ
「でしょ?」

ゲスナンデスは憤慨し、
再び枝の攻撃を繰り出した。
しかし何回攻撃しても
その切っ先は
アタシを傷つけることはできなかった。

アタシはクスっと笑った。

アタシ
「アナタの記憶を覗く能力を
逆に利用させてもらったの。
これで」

アタシは左手にしている
輝く銀の指輪を見せつけた。

アタシ
「この指輪、
本当にすごい力を持っているんだ。
まずアナタ達魔物からの攻撃を
一切無効化してくれる守りの力」

ゲスナンデスの攻撃が激しくなる。
アタシは構わず話を続けた。

アタシ
「そしてもう一つは
聖堂でアタシが真実を知って泣いた時から
この計画までの記憶を封印する力。
封印は
アナタの邪悪な力をこの指輪が感知した瞬間に解き放たれて、
アタシ、全てを思い出したの!」

ゲスナンデス
「クソ!
クソ!
クソ!
クソーーーーーーーー!」

なおも攻撃は続く。

アタシ
「アナタ、魔女の手下では結構上の方だって
キザの情報なんだけど、
けっこう抜けてるのね。
さっき呼びにきたフクロウも使い魔でしょ?
自分以外の魔物の心配をしてなかったの?」

ゲスナンデスは攻撃の手を止めた[p]

ゲスナンデス
「そんな!そんな!」

アタシは矢を弓にセットした。


アタシ
「アタシの親友は!
最強の狩人だ!
沢山矢を使うけどね!」

アタシは弓を構えた

ゲスナンデス
「よ!よせ!
神樹がどうなってもいいのか!?」

アタシ
「それも知ってる。残念だけど、神樹さまはもう・・・
でもアナタを倒せば
時間はかかるけど神樹さまは
また復活するんだ!」

ゲスナンデス
「おおおお」

邪悪なる樹木は震えていた。

アタシ
「そしてこの矢。
ドミーが一生懸命作ってくれた破邪の矢。
確実にアナタだけ倒せるわ!」

ゲスナンデス
「わあああああ!!」

アタシはずっとやってみたかった
シェキの笑顔をイメージして笑ってみた。

アタシ
「ああ。
矢は沢山作ってもらったから
少しくらい外しても大丈夫だって。
ドミーはとても優しい人よ。」

邪悪なる樹木は号泣しているように思えた。
なかなか珍しいシチュエーションだなと思った。

アタシは狙いを定めた。
といっても
この前のレースの時の射的に比べれば
眼前の的は壁みたいなものだ。

アタシ
「ホントはね!
クリアしてこのゲームを終わらせたくないわ!
でもね!
アタシが好きになったこのゲームの世界の人たちを、
これ以上苦しませたくないの!」

邪悪なる樹木が
逃走を図ろううと縮小をはじめた。

アタシ

「笑いたきゃ笑えー!!」

アタシは矢を放った。

すぐに矢筒から矢を取り出し放った。
矢がなくなるまで放ち続けた。



もどったよ


オオワシの居る神殿に
光の魔法陣が現れ、
アタシはトンとそこに降り立った。

オオワシは穏やかな表情で目を細め
軽くガァと鳴いた。

アタシ
「ただいま!うんうん!
だいぶ元気になったね!
良かったー!」

ウサギが奥から出てきた。

ウサ

ウサ
「おかえり!ローラ!
お疲れ様でした!」

アタシ
「へへん!うまくいったわウサ!
はい!これ!」

アタシはゲスナンデスが
消失したところに落ちていた鍵を渡した。

ウサ
「本当にいいの?
皆に挨拶していかなくて?」

アタシ
「うん!いいの!
帰りたくなくなっちゃうし!」

ウサ
「分かったわ・・・」

ウサはそういうと
鍵になにやら言葉をかけた。

鍵は光輝き
オオワシの鎖の方に飛んでいった。

ぱあっっとオオワシを束縛していた鎖が消失した。

オオワシはグァァァァァァと大きく鳴き、
翼を大きくゆっくりはばたかせた。
それでも吹き飛ばされそうだ。

アタシ
「へへ・・
良かった・・・
これであとは勇者さまを迎えに行くだけだね」

ウサのぽっちゃりした身体も光輝いていた。

アタシ
「ウ・・ウサ・・・
どうしたの?・・・」[p]

そこには身体にピッタリな装飾綺麗な鎧を着た
金髪ロングヘアのモデルスタイルの女性がいた。

勇者

女性は硬直しているアタシに近づいた。

彼女はアタシの頬を撫でた。
アタシはなんともいえない気分になった。

女勇者
「ふふ、イケメンでなくてごめんなさい、
ローラ」

アタシ
「そそ・・・そんなことは・・・
えへへ・・・」


神殿の外に出た。

オオワシは伏せて待っていた。

オオワシの背に女勇者は乗った

女勇者
「さあ!行ってくるわ!ローラ!
色々ありがとう!
楽しい旅だったわ!」

ローラ
「アナタも元気で!
また会いましょう!」

女勇者
「ええ!
絶対よ!」

オオワシは飛びたって
魔女の城へ向かっていった。



またゲームが遊びたくなった。


日曜の昼。
アタシは再び秋葉原にいた。

秋葉原

軽い足取りでラジオデパートに入った。

ハラダさんがいた。

ハラダさん


ハラダさんはアタシに気づくと
作業を止め通路に出てきた。

ハラダ
「やあ、キミか」

ハラダさんにゲーム機の入った紙袋を渡し、礼を伝えた。

ハラダ
「で、どうだった?
楽しめたかい?」

アタシ
「めっちゃ面白かったです!」

ハラダ
「な、良作だったろヽ(´ー`)ノ」

アタシ
「また来ても良いですか?」

ハラダ
「もちろん!
通販もやってるよ!」


アタシは建物を出て
電車に乗り自宅に帰った。

明日の支度を終えると
スマホを手に取った。
ムサシ兄ちゃんに通話をした。

#アタシ
「兄ちゃん!久しぶり!
元気してる?」

アタシはウキウキとして話を続けた。

アタシ
「今度そっちに行く時、
ゲーム機持っていくから、遊ぼうよ!!」


ローラ編おわり

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