結婚式を挙げない結婚【2021/10/26】
この日は、世情を騒がせたさるお方がご結婚した日。テレビや新聞、ネットでもこのニュースで持ちきりだった。周知のことなので、敢えてお名前は出さないでおきたい。このご結婚については、さまざまな考え方、見方がある。週刊誌の書き方は明らかに行き過ぎだと思う。「結婚は個人の自由」という意見も当然だと思う一方で、今回のケースは当事者だけの問題ではなく、象徴天皇制の在り方の根本を問う課題も内包しているので、非常に難しい。ここでは言及を避けたい。
最近は、入籍するカップルのほぼ半数が、結婚式を挙げない「ナシ婚」を選んでいるという。そういう意味で、お二人は極めて今日的だ。ただ、婚約内定が発表された2017年時点では、2018年11月4日に帝国ホテル(東京都千代田区)で結婚式が行われる予定だった。金銭的理由や「意味が見出せないから」と、元々、「ナシ婚」を選択するカップルとは事情が違う。男性側家族の金銭トラブルなどで「ナシ婚」に追い込まれた形だからだ。
実家の宮邸を出発するとき、淡い水色のスーツ姿の女性が手にしていた小さなブーケ。それだけが、結婚らしさをささやかに演出していた。結婚会見にもお祝いムードは皆無で、報道陣と対峙する緊張感に包まれていた。
結婚式という一生もののハレの日は、誰彼も祝福される、人生のシーンでも希有な体験だ。お二人も、新しい人生の門出をお祝いされたかっただろうに…。笑顔のない会見を見て、切ない気持ちになった。