1台の月極駐車場探しが私の人生を180度変えた!①
株式会社ハッチ・ワークの代表取締役社長、増田です。
当社は「月極駐車場の貸し借りをホテルのように便利に」を目指し、月極駐車場を賃貸管理する不動産会社と利用者が参画する、プラットフォームを運営している会社です。
主には、業界有数の月極駐車場検索サイト「アットパーキング」、そして賃貸管理会社向け月極駐車場オンライン契約システム「アットパーキングクラウド」を提供しています。
「なぜ月極駐車場なの?」
これは本当によく聞かれます。確かに駐車場ビジネスというと、「コインパーキング」のほうが馴染みのある方も多いかと思います。駅周辺やレジャー先で、一時的にクルマを駐車する場所が「コインパーキング」です。一方、クルマを所有していて自宅に駐車スペースがない方が、毎月賃料を払って借りるのが「月極駐車場」です。縁のない方には、借りたことはおろか、探したこともないことでしょう。
ニッチなところに目を付けたもんだな、と思われるでしょうが、実は私の原体験がきっかけとなっています。そこで、この場を借りて「1台の月極駐車場探しが私の人生を180度変えた!」と題し、現在までを綴ってみたいと思います。
月極駐車場を探すのは思っていたよりずっと大変だった
遡ると、2008年頃のことです。
当時、私はオフィス仲介事業の部長職でした。1件の仲介手数料が1,000万円を超えることもたびたびあるような、バリバリの営業マンです。
普段は公共交通機関を使って移動をしていましたが、さらなる営業効率の向上を目指して、「営業車の導入」を検討しており、都内の本社の近くに月極駐車場を探すことになったわけです。
まさかそれが私の人生を変える日になろうとは…(笑)。
「月極駐車場ぐらい、その日でも契約できるかな?」
なんて軽く考えながら、インターネットを検索。すると、まず最初に驚いたのは、月極駐車場専用の検索サイトがないのです。当時、お部屋探しの中心は、既にインターネットに移行していましたし、ホテルの予約もオンラインが当たり前でした。それなのに月極駐車場には検索サイトがない!
仕方なく、近隣で地元密着営業をしている不動産会社を訪ねてみました。店舗で相談してみると、「月極駐車場の取り扱いは少ないんですよ」と言われ、提案できる駐車場はなさそうとのこと。別の店舗に足を運ぶと、親切に探してくれたものの、やはり条件に合うような空きの駐車場はない、と。
いくつか回っていると、ある店舗の方が「たぶん、どこの会社も自社で管理している駐車場しか提案できないと思いますよ」と教えてくれました。
私はハッとしました。確かに、お部屋探しと違って月極駐車場は手数料が安価ですから、積極的に付き合う気になれないのも当然か、と妙に納得しました。
その方から、いくつか空き駐車場を提案していただいたものの、希望している圏内からは外れていたため検討できず、肩を落としながらお店を後にしました。
後日、仕方がないので本社の周辺を歩いてみました。すると、「月極駐車場」の看板があちこちに見つかります。
「あれ、意外とあるじゃないか」と思い、看板に記載された電話番号に電話すると、既に訪れていた不動産会社に繋がりますが、「満車」とのこと。諦めずに、見つけた看板に次々電話をしていると、「担当じゃないとわからない」という反応もあり、折り返しを待つことに。
折り返しの電話があり、要件を伝えると幸いにも「条件に合う空きの機械式駐車場がある」との教えていただきました。
増田:「ありがとうございます。ちなみに機械式とのことですが、トヨタのウイッシュは入りますか?」
担当の方:「申し訳ないですが、ちょっとわからないですね。実際にそのクルマで試しに停めてみてもらえますか?」
増田:「え…あ、はい」
この時クルマがなかったものですから、結局翌日に教えていただいた場所に向かいました。管理人さんに声をかけようかと思いましたが、機械の操作盤を一目見てわかりました。
「高さが入らない…」
入庫可能なサイズが書いてあるからです。
その時私は、「もしかしたら月極駐車場のデータを整理して、管理会社の皆さんも、探している人も、誰もが簡単に確認できるようになったら、すごく便利なんじゃないか」という思いが沸き上がってきました。
データが整備されていない未開の地を見つけた
探し始めてから3日が経過しました。
引き続き歩いて探していると、ようやく条件に合いそうな月極駐車場を見つけました。申込希望であることを伝えると、「車検証や免許証、任意の保険証券の写しを持参して、来店してください」とのこと。
「車検証も保険証券も、手元にない…です…」
その時もクルマで来ていたわけではなかったため、用意ができず、このあと忙しくなることがわかっていたので、月極駐車場探しはそこで終了。あえなく断念して、社員に任せました。
この体験から、「来店しなくても契約できる仕組みがあれば、世の中の役に立つに違いない」と確信めいた想いを持っていました。
そう、月極駐車場のデータが整備されれば、簡単に駐車場探しが出来ると思ったからです。
それ以降、営業車の導入にはすっかり興味が薄れてしまい、この「月極駐車場を探す人と管理会社が助かる仕組みをつくること」に夢中になっていました。
「大変なことを初めてしまった」誰も月極駐車場データ整備をやっていない理由
希望条件に合う月極駐車場を探すことが、こんなに難しいなんて信じられませんでした。なにせ、不動産仲介のプロを自負していましたから。
「きっとホテル探しのように便利にできるはず!」
「私が月極駐車場探しを楽にする仕組みを作ろう。」
そう決意し、まずはポータルサイトを作るところから始めることにしました。
何と言っても月極駐車場データは存在しないわけですから、歩いて情報収集するしかありません。私と数人のアルバイトの方で、街中の月極駐車場を1件ずつ調査し、コツコツと地図を作りはじめました。
港区、渋谷区、千代田区と、都内中心部から攻めていく。まさに「ローラー作戦」です。
通常ポータルサイトは自社で情報を入力するものですが、当社で掲載すれば手間がかかりませんし、掲載料も無料にすれば、管理会社も喜こんでくれる気がします。「これはいいんじゃないか?!」と期待に胸を躍らせながら、作業を続けます。
しかし、早々に高すぎる壁にぶつかることになります。
「あまりに月極駐車場の数が多くて、先が全く見えない…」
せっかく見つけたビジネスチャンスですから、「もっと早く進めたい」と焦りが出てきて、アルバイトの方を増員。それでもメドは立ちません。「もっともっと」なんて言っているうちに、気づけば最大100人にもなるアルバイトの方を雇っており、人件費も重くのしかかる状態。もう退くに退けません。
「誰も月極駐車場データ整備を本気でやらないのか」
その理由がわかってきました。
「これは大変なことを始めてしまった…」
続きはまた次回でお話します。
それではまた。