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こんにちはライカ
火災で全てのライカを失った。
なんて大袈裟に書いたが、実際にはMDaとM9の2台である。しかし、趣味の写真も撮れない自暴自棄の生活の中で、嫁のたった一言に救われた。
「新しいカメラでも買えば?」
これによって私は、いや、私の写真生活は再び爆誕するはずだった。が、意気揚々と購入したHasselblad Xシステムは私の想像とは違っていたのだ。
ローリングシャッター現象。
私たちの世代で許される〝現象〟は〝バクチク現象〟だけである。
その激しすぎるローリングな現象に心が折れてしまった。ツァイスレンズを電子シャッターでスナップ撮影をすると像が激しく歪むのである。それは私がLSDをやっているのではないかと見紛うかの歪み具合いだった。
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ただし、この現象は電子シャッターを使った時のみの状態であり、通常の純正レンズを用い、レンズシャッターを切れば奥行きのある高解像度な写真を容易に撮影できた。
今後はこのカメラの性能を活かす作風の写真も撮りたいが、今は違う!これまで何十年とやってきたように街や人が撮りたい。純粋にスナップが撮りたい。そして帰りに安酎ハイでしっぽりと優勝したい。
その気持ちはマグマのように噴き上がり、やがて火山を伝い大地へ渡り、とうとうヤフオクやらメルカリやら楽天やらebayという電子マーケットの大海原へ流れ出た。
再びサイトを毎日眺めるようになってしまった。そう、スマートフォンのバッテリーがマグマのように熱くなるまで。
ついでに言うと、このハッセルX1Dで娘の運動会を撮影したが、買ったレンズの画角が広角であり、まったくダメだった。高すぎる解像度に任せて力技でトリミングしようとしたが、さすがに無理がある。娘の小学校になって初めての運動会すら満足にフレームに収められなかった。何のために写真をやっているのよ。
この失敗により、再びのカメラ選びはフルサイズの一眼レフに決まった。来年こそは新しいガンダムバズーカで娘を爆写してやる。
さて、気持ちを切り替えて、今回私の相棒候補season2はこの3つの機種に絞られた。
・Leica SL-2S
発売からちょうど良い値頃感。手ブレ機能が嬉しい。ただ、マップカメラで触った時は漬物石のように重かった。
・Leica SL
ライカR3を彷彿させるデザインが好き。2Sより値段も安いがブツが少ない。重量はSL-2Sとほぼ同じ。
・SONY α7S
サイレントシャッターが嬉しい。他の候補より値段が桁違いに安い。かつて無印α7を使っていたので使い慣れている。
ちなみに昔はニコンも満更ではなかったのだが、私の愛用していたNikon 1マウントからZマウント移行への裏切りにより、完全に選択肢から外れてしまった。
根気よく毎日白バイ野郎よろしくヤフオ&メルカのパトロールをしていた。私はピントはずれなわがままジュリエットなので、スナップから仕事に家庭。おはようからおやすみまでやりたい写真をなんでもこの新しい一眼レフに背負わせ撮ろうという算段だ。
それ前回も言っててあんたハッセルX1Dに走っちゃったじゃん!
って異論は認めよう。だが、同じ轍は踏まない。なんなら今回はすでにハッセルを所有しているので心に余裕もある。時間をかけてゆっくりと検討できるではないか。
その時点ではSL-2Sがかなり値段が落ちてきてタマ数もあり、有力な候補になってきている。しかし、純正レンズの値段が高い。このまま予算通りに突き進むとボディは買ったがレンズは全部シグマのズームになる。それはカッチョ悪い。どのぐらいカッチョ悪いかというとローン組んでトヨタヴェルファイヤの中古を買ったが、お金が無くてタイヤはオートバックスプライベートブランドの激安タイヤを履いているぐらいカッチョ悪い。
ほら、カッチョ悪い。
では、SONY α7Sはどうか。ファーストα7を持っていたのでmng的な感動がない。ちなみにこのα7、バッテリーの持ちがコンバットアーマーダグラムの作戦行動時間かよってぐらい鬼悪かった。ふらりと近所に出かけるにも常に予備バッテリーを6本持ち歩いてないと不安でしょうがない。こいつは真夏の部活に持っていくゲータレードぐらいグビグビと電池を飲み干すのだ。
あと、シャッター音が馬鹿デカい。どのぐらい馬鹿デカいかというとセクシー女優の松本まりなの喘ぎ声くらい馬鹿デカいのだ。どのぐらい馬鹿デカいか試しに動画サイトで「marina matsumoto」と検索していただきたい。
な?デカいだろ。
シャッター音が馬鹿デカいので当然スナップには向いていない。ガッチコンガッチコン言うので田舎なら7km先からでも写真を撮っていることがバレるだろう。娘の幼稚園の演劇ではシャッター音でパパが悪目立ちをしてしまっていた。ただ、画質は最高に良かった。ツァイスのズームレンズ24-70mmと単焦点の35mmの組み合わせはそれはそれはシャープネスでヌケがいい。なのでα7Sのサイレントシャッターさえ使えれば、あとはバッテリー問題だけだ。ただ、ひとつ気になることはサイレントシャッターモードにもこれまたローリングシャッター現象が起きるのかどうかの心配である。ボブ・ディランは私に問う。
どんな気分だい?
転がる石ころみたいになるのは?
ローリングに泣かされてここまで転がってきたので、ライクアローリングストーンは避けたい。
折しもそのようなタイミングでLeica SL(typ601)の出物が出現した。前回はSL2-Sをほぼ手中に収めかけて取り逃がした。お前ははぐれメタルかよ状態だった。だが、あれから1カ月以上勉強した。大事なチェック項目がいくつかあるが小慣れたもんだ。まずこのモデルはストラップを取り付ける部分がアムロ・レイのように非常に傷つきやすい。なのでどれだけ実戦を経験したかはストラップを見れば一目瞭然である。それとペンタ部分はエッジがたっているので、ここも傷つき易し。あと底部の擦り傷。ここらの塗装がハゲてきているならそれは酷使された証拠だろう。今回も私は極美品を求めている。多少リアルタイプガンダムのようなギャザリングは構わないという体(てい)ではない。自分がつけた傷は許せても、他人がつけた傷は絶対に許さない。そこは昔からブレていないのだ。
今回の出物は某大型写真屋さんのネット販売サイトだった。ペンタ部分に小傷がある程度でストラップ金具の部分にはほぼ傷が見当たらない。ガチで使ってないヤツだ。これは多少高くてもフィッシュオンするしかなかろう。この美品でこの値段はカメラパトロール(CP)開始以来、未だかつて無かったからだ。背面の液晶にも前所有者のカバーガラスが貼ってあり、こちらも問題ない。
すぐさまポチった。結構な時間がかかり私の働く事務所に配送された。配送元は例の新宿店かと思ったら九州の中古センターからだった。
ライカ純正のズームレンズ24-70はフジヤカメラ、予備バッテリーはビックカメラで新品を2つ、そしてMマウントアダプターもビックカメラ。単焦点50ミリのレンズはエルマー5cmF3.5。
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50エルマーだけはネットでビッカンビッカンに綺麗なヤツを奮発した。師、北井一夫先生から〝エルマーレンズは玉に少し傷があったほうがよく写るよ〟と忠告された。無理やり磨かれピントの甘い綺麗なタマが結構あるからだ。その忠告を無視して今回はビッカビカのを買(こ)うたった。売っちゃ買って人生で4本目のエルマーである。同じものを4回も買うのでバカ一代である。いや四台か。
そして、最も使う35ミリレンズはメガネ付きズマロンを改造した爪付きF2.8をこれもネットで購入した。本当は北井一夫よろしくエルマーの35mmがよかったのだが、エルマー35展という素敵な写真展と時期が重なり、なんとなく気恥ずかしくて買えなかった。いつかこっそりと買ってこっそりと使おうと思う。
ズマロンもこれで人生6本目である。同じものを6回も買っちゃ売ってなのでどアホウ甲子園である。
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本体、レンズ、予備バッテリーなど撮影に関わる全てのパーツが事務所で揃った時点でレッツ・ボルトイン!で合体し、一つのカメラとして自宅に持ち帰ったボルテスV。もちろん堂々とペンタ部に刻印されたLEICAのロゴとあの赤いバッジはパーマセルテープで隠した。持ち歩いているカメラがライカであることで得することが何もないからである。
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早速、撮影に出掛けて試し斬りをしたいのだが、外は生憎の梅雨空。窓に付いた雨粒を見つめては、ひとり深いため息をついていた。あ、嘘だった。一度会社帰りフジヤカメラにレンズを買いに行った時にズームレンズの試写はしている。思ったほど重くないなとは感じたっけ。でも合計3枚しか撮影しなかった。さすがにそれだけでは感想も何もない。ちゃんと写るかチェックしただけ。
やっと晴れた日曜日、ライカと娘を連れて初めて行くタコさん公園に出かけた。なんて書くと仲の良い父娘に見えるかもしれないが、実は私が娘のポニーテールを上手いこと出来ずに喧嘩しながら家を出た。
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しかしながらこれで念願の試し撮りができる。Leica SL(2015年発売)にはエルマー5cm F3.5を装着し、娘の握る手を振りほどいてはスナップ撮影を久しぶりに楽しんだ。私のデジタル一眼レフ歴はα7(2013年発売)以来、デジタルライカはM9(2009年発売)以来なのでその薄くて古い誰の参考にもならないインプレッションをここに記そう。
まずはボディのデザインだ。私は大昔Leica R3を愛用していたので、このR3を彷彿させるクラシカルでエッジの効いたペンタ部分のデザインは非常に好みである。記憶が確かなら1995年にR4を購入してから、やっぱり気になってすぐに安いR3を買い足した。確か松屋銀座の中古カメラ市で仕事を抜け出し開店と同時駆け込んで見つけて、内金を入れてそのまま会社に戻り、ど迫力で社長から金を借りてそのままカメラ屋に戻り購入したっけ。とんでもなくカッコいい社員だったな。
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そんなほろ苦い思い出とともにライカSLを掴み、鞄から取り出す。しっかりと剛性の強い躯体には安心感がある。M/SLアダプターを介したひと回り小さいM型レンズを装着すると重量も軽くなり、大きさもさほど気にならなくなる。この、カメラの大きさというのも自分が感じるものではなく、カメラを構えて相手がどう感じるかである。それは空気感でわかる。ハッセルX1Dの時はダメな空気だった。
スイッチを入れて、もどかしくもファインダーを覗くと大きくて見やすかった。像がクリアに写り、少し落ち着いた色味の見え味にも好感がもてる。グリップの上にあるシャッターボタンの位置も押しやすい。驚いたのはシャッター音、α7に比べたら遥かに静かだ。スナップをしていて全く気にならない音量。シャッターを押すとコキッコンと鳴く。音質的にはM9よりも低く目立たないのではないか。
バッテリーの持ちもM9には劣るが申し分ない。一日中電源入れっぱで撮影しても3本あればこと足りるだろう。長旅にはあと2本、計5本は持ち歩きたい。一応持ち運べるコンパクトなUSBの充電器も新たに購入した。
スイッチオンの立ち上がりが遅いが、撮影に入るとスイッチを入れたまんまなので気にならない。スリープ状態はあまりバッテリーを食わないようだし、シャッターを半押ししてやればすぐにスタンバイ状態になるのでストレスは皆無だった。それにボディ背面左端の位置にひっそりとスイッチがあるので小まめに切ることは諦めた。
ファインダー内、ピントを合わせるピーキングモードがボタン一つ触るだけで変わってしまう。慣れてないので戻すのにひと苦労だった。
あとISO感度が設定しづらかった。AUTOだと64だの私の腕を試すようにこれでもかと低い感度で撮ろうとする。私は大体絞りF11固定なので、状況によってはブレてしまう。設定次第なのかもしれないが、ここは状況に合わせてマニュアルにした方がいいかもしれない。今日は薄曇りなのでISO1600くらいにして使った。
軍艦部にある小窓のデジタル表示は見えやすく、いつでもシャッタースピードを確認できていい。こいつはスリープ状態になるまで、いつでも露光を計測している。露出補正もダイヤルをグリグリするだけでラクチンだった。
スマホに転送するアプリはあのクソ不安定なSONYのIEMとかいうアプリより優秀だった。初見でなんのストレスもなく登録、転送ができた。
発売から8年も経ったカメラだが必要十分だった。ヤバい、M型買わなくてもこれで全て事足りてしまう。私の撮影スタイルにはやっぱりライカだ。22歳の時に初めて買ったバルナックのIIFから取っかえ引っかえ30年使い続けて、8年前に発売されたカメラでもなんの違和感もなく使える。とにかく楽しい。
私のライカで撮る理由はどれだけ目立たず速く撮影出来るかが全てだ。となるとM型の方がさらに速いのだろうか。あぁやっぱりM9が恋しい。
設定次第かもしれないが、こいつは撮影した後に旦那こんなん撮れましたぜとプレビュー画像を見せてくる。SLの操作マニュアルがもうオフィシャルサイトからダウンロードできないのでもどかしい。
私の新しい相棒となるからには、日本一撮影環境が厳しい極限の街、埼玉県の「熊谷」にもちょくちょく連れて行くだろう。きっと傷だらけになってリアルタイプガンダムみたいに歴戦の風格がつくはずだ。これが真鍮でペイントだったらなぁ。
帰りはまたまた娘と些細なことで喧嘩をしながら帰った。家から持ってきたお弁当を食べている時、娘が落とした箸を1回目は洗ってきてあげたが、2回目は自分で洗ってきなさいと言ったら、嫌だ嫌だとうぉんうぉん泣いたからである。
京成大久保駅の踏切が鳴るなか、小さな紅葉のような可愛い娘の手は私の人差し指を強く握ったまま、まだ悪タレをついている。
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