【効果的な訪問リハビリ】知らなきゃ損!目標を話し合う時の心得!!
訪問リハビリでは、自宅内の環境、利用者さんの身体・精神特性に合わせたリハビリを提供し、利用者さんの望む生活を実現できるように支援していきます。
利用者さんが望む生活を実現するためには、セラピストが素晴らしい運動や課題を提供するだけでなく、現状の利用者さんに見合った目標を設定することが大事なると思います。
目標設定では、達成までの苦労が少なすぎても、多すぎても、利用者さんのやる気を低下させてしまうため、利用者さんの意見を尊重しつつも、セラピストの意見が反映されるように、じっくりと話し合った方が良いです。
しかし、この目標を話し合う時に利用者さんが高望みであったり、自己卑下が強かったりして困ったことはないですか?
今回は、訪問リハビリの目標を話し合う時に、セラピストが知らなければ損してしまう心得について紹介します!
訪問リハビリの目標を話し合う時の心得
訪問リハビリの目標を話し合う時の心得とは、「感情移入ギャップを理解しておくこと」になります。
感情移入ギャップとは、感情の高ぶりによる行動への影響を過小評価しやすい現象になります。
つまり、冷静な時には感情が高ぶった時の自分自身の行動をうまく想像することができず、反対に感情が高ぶっている時には冷静な行動を考えられないことになります。
これは、感情が高ぶっている他人の行動を理解できないことにもなります。
例えば、ダイエットの目標を立てたが、失敗してしまったケース。
満腹状態で(冷静な時)、「おやつを食べない」、「夜は野菜だけにする」というダイエットのための目標を立てました。
しかし、満腹状態の時には、感情が高ぶった時の自分の行動を想像できていないので、美味しそうなおやつを目の前にすると、食べたいという感情が高まり、ついつい食べてしまいました。
「ダイエットは明日から」と自分自身を励ましながら、ダイエットを続けますが、小腹が空くたびにおやつを食べてしまい、体重が増えてしまいました。
その結果、「おやつを食べない」という目標がクリアできない自分を責めてしまい、ダイエットを断念してしまいました。
上記のように感情移入ギャップを理解しておかなければ、高すぎる目標設定により、行動の継続が難しくなります。
そこでは、感情移入ギャップを理解して目標設定をするためには、どうすれば良いのでしょうか?
以下で詳しく紹介します!
目標を話し合う時のポイント
目標を話し合う時は、利用者さんの感情を想像し、冷静な時と感情が高ぶった時の両方で行うことがポイントになります。
そして、冷静な時と感情が高ぶった時でも継続可能なやや高い目標を設定していきます。
具体例を3つ紹介します。
ケース①
歩くと腰が痛くて、なかなか運動できない利用者さんの場合。
リハビリを行う前=感情が高ぶっている時に、一度目標について話し合いますが、自主トレーニングで歩行練習をすること、日常での活動量を増やすことに対しては、消極的な発言が多いと思います。
そこで、リハビリで痛みに対するアプローチとしてストレッチや関節運動、リラクゼーションなどにより血行を促進して痛みの軽減を図っていきます。
その後には、感情がやや冷静になるため、再び目標について話し合う機会を設けることで、利用者さん自身で行えるストレッチや関節運動について興味を持つことができます。
セラピストが痛みの軽減を図った後に、目標について話し合わなければ、セラピスト=痛みを楽にしてくれる人というレッテルを張られてしまい、利用者さん自身で行動する意欲をさらに低下させてしまうかもしれません。
ケース②
「リハビリしても良くならない。。。」
「運動するとすぐに疲れてしまう。。。」
精神的な不調によりネガティブになっている利用者さんの場合。
リハビリを行う前=感情が高ぶっている時に、一度目標について話し合いますが、利用者さんの口から目標について聞き出すことが難しいと思います。
そこで、雑談を通して利用者さんの話を傾聴していきます。
雑談や傾聴に関しては、以下のリンクで詳しく紹介していますので、こちらの記事も読んでほしいです!
利用者さんと親しく会話ができた後には、リハビリの目標=利用者さんの望み、本音を聞き出しくなります。
これは、「気分一致効果」の活用になります。
「気分一致効果」とは、楽しい時には楽しい経験、悲しい時には悲しい経験が想起されやすくなるという現象なのですが、言い換えれば、気分が良いと相手に対して心を開きやすくなり、気分が悪いと相手に警戒心を持つことになります。
ケース③
病院から退院したばかりで、リハビリに対してやる気満々の利用者さんの場合。
リハビリを行う前=冷静な時に、一度目標について話し合いますが、積極的にリハビリ、自主トレーニングを行えるような意見を聞き出せると思います。
しかし、この時の利用者さんの意見をセラピストが鵜呑みにして、リハビリ開始時から高い目標設定と自主トレーニングの提案を行い、スタートダッシュをかけてしまうと、入院中とは違う自宅生活での忙しさから、リハビリすることに疲弊してしまうかもしれません。
その結果、セラピストから言われたことができない自分を責めてしまい、やる気を下げてしまうことが考えられます。
そのため、リハビリ開始時には、自宅生活になると忙しくなり、リハビリだけを頑張ることができないこともあるというエピソードを利用者さんと共有し、やや低めの目標から設定することをおススメします。
セラピストが意図的に下げた目標を次々に達成していくことで、利用者さんのやる気の維持に繋がります。
まとめ
今回は、訪問リハビリの目標を話し合う時に、セラピストが知らなければ損してしまう心得について紹介しました。
訪問リハビリの目標を話し合う時の心得とは、「感情移入ギャップを理解しておくこと」になります。
感情移入ギャップとは、冷静な時には感情が高ぶった時の自分自身の行動をうまく想像することができず、反対に感情が高ぶっている時には冷静な行動を考えられないことになります。
そのため、目標を話し合う時には、利用者さんの感情を想像し、冷静な時と感情が高ぶった時の両方で確認し、継続可能なやや高い目標を設定することをおススメします!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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