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訪問リハビリ利用者さんのモチベーションを高める会話術!

「痛みがつらい...」
「歩くとふらつく...」
「外に出かけられなくなった...」

訪問リハビリの利用者さんは目的意識を持ってリハビリを希望し、セラピストは利用者さんの目的に合ったリハビリを計画し、目的の達成を支援していきます。

しかし、利用者さんの中には、徐々に訪問リハビリへのモチベーションが下がってしまう方がいます。

例えば、歩けるようになりたいと言っていたが、歩行練習には消極的で、下肢筋力トレーニングばかりをやりたがる...
痛みなく歩けるようになりたいと言っていたが、体幹・下肢の筋力トレーニングには消極的で、ストレッチや雑談ばかりになってしまう...

上記のようにセラピストの思いとは裏腹で利用者さんのモチベーションが低くて困ったことはありませんか?

今回は、訪問リハビリ利用者さんのモチベーションを高める会話術について紹介します。


モチベーションが下がる理由

沈黙


”モチベーションが下がる”とは、掲げた目標に向けて行動が取れなくなっている状態と解釈できます。

それでは、なぜ”行動がとれなくなってしまう”のでしょうか?

訪問リハビリを始めた当初の利用者さんは、ポジティブ、もしくはネガティブな感情があるため、感情をエネルギーとして使うことで行動を起こしやすくなっています。

ポジティブな感情とは?
「杖で歩けるようになりたい。」
「麻痺した左手を生活で使えるようになりたい。」
上記のような内発的な気持ちになります。
ネガティブな感情とは?
「転びたくない。」
「家族に迷惑をかけたくない。」
上記のような外発的な気持ちになります。

そのため、セラピストから見た利用者さんは、リハビリへのモチベーションが高いように見えます。


喜怒哀楽


しかし、やる気、負けん気、不安のような感情を起点とした行動は長続きが難しいため、感情に振り回される利用者さんは、モチベーションが低下していきやすいと考えます。

歯磨きや着替えなどのように生活の中に習慣化されてしまい、感情がないままに行動がとれる状態になれば、モチベーションは関係ないのですが、リハビリはそうもいかないと思います。

リハビリでは、利用者さんが困難になった生活動作ができるように挑戦的課題を行うため、常にある程度のやる気や集中力が必要になります。

そのため、セラピストが利用者さんのモチベーション=やる気、集中力を高めて行動しやすくなるように関わることが必要です。

モチベーションを高める関わりの中で重要になるのが、”雑談”や”リハビリ時のフィードバック”のような「会話」になると考えます。

モチベーションを高める会話術について、以下で紹介します。


モチベーションを高める会話

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モチベーションは、目標に向かって前へ進んでいる感覚があること=現在と未来のつながりを感じることで高まります。

しかし、人間の注意は、目標という未来の出来事よりも、行動という現在の出来事に向きやすいため、適宜、目標までの進捗を確認したり、考える機会がなければ、自然とモチベーションは下がっていきます。

つまり、モチベーションを高める会話とは、利用者さんの目標をテーマにして会話することになります!

利用者さんの目標にした会話を行う時には、あるポイントがあります。

歩けるようになりたい利用者さんとは「歩行」について会話、痛みがある利用者さんとは「痛み」について会話をするだけでは、モチベーションを高まりません。

あるポイントとは、セラピストのリハビリ視点で会話を進めるのではなく、利用者さんの欲求に合わせた会話を進めることになります!


利用者さんの欲求に合わせた会話

訪問リハビリの利用者さんは、ポジティブ、もしくはネガティブな感情をきっかけとして訪問リハビリのサービスを開始していますが、それぞれのリハビリに対する欲望は様々あると思います。

人間の欲望は、以下の4つに分けて考えることができます。

1.獲得
2.絆
3.理解
4.防御

それぞれについて詳しく解説し、会話の考え方を紹介します。


1.獲得

スキルアップ


獲得の欲望とは、自分にとって何か貴重、レアなことを得たいという思いになります。

一般的には、「受験をして資格を取りたいから勉強する」、「ほしい服を買いたいからお金を稼ぐ」のようなことになります。

訪問リハビリに置き換えて考えると、歩行が不安定な利用者さんにとっては「外を歩けるようになって買い物に出かけたい。」のようになるため、リハビリ目標と親和性が高く、セラピストが行う日々のポジティブフィードバックにより、モチベーションを高めやすいと思います。


2.絆

感情


絆の欲望とは、人との繋がりを得たいという思いになります。

一般的には、「親友と同じ高校に行きたいから勉強する」、「好きな有名人と同じ服を着たいからお金を稼ぐ」のようなことになります。

リハビリに置き換えて考えると、歩行が不安定な利用者さんにとっては「安定して歩けるようになって友人に会いに行きたい」のようになるため、リハビリ中の会話では友人との思い出、友人と会いに行ってやりたいことなどについて触れながら、リハビリの進捗状況、予後予測の会話を進めることで、モチベーションを高めやすいと思います。


3.理解

改善の可能性


理解の欲望とは、試したい、知りたいという思いになります。

一般的には、「人の気持ちを考えられるようになりたいから心理学を勉強する」、「歩いても疲れにくいという靴を履いてみたいからお金を稼ぐ」のようなことになります。

リハビリに置き換えて考えると、歩行が不安定な利用者さんにとっては「歩くとふらついてしまう原因を知りたい」、「ふらつきを軽減させる歩行補助具を試したい」のようになるため、リハビリ中の会話では歩行分析の考察について説明したり、歩行補助具の紹介などで会話を進めることで、モチベーションを高めやすいと思います。


4.防御

脅威


防御の欲望とは、脅威から守られたい、楽になりたいという思いになります。

一般的には、「親に怒られたくないから勉強する」、「親としての威厳を守りたいからお金を稼ぐ」のようなことになります。

リハビリに置き換えて考えると、歩行が不安定な利用者さんにとっては「ふらついて転びたくない」、「家族の手を煩わせたくない」のようになるため、リハビリ中の会話では転倒予防、現状の身体機能でできる効率的体の使い方、福祉用具や介護保険サービスの紹介などで会話を進めることで、モチベーションを高めやすいと思います。


まとめ

今回は、訪問リハビリ利用者さんのモチベーションを高める会話術について紹介しました。

モチベーションは、目標に向かって前へ進んでいる感覚があること=現在と未来のつながりを感じることで高まりやすいため、利用者さんのリハビリ目標をテーマにして会話すると良いと考えます。

この会話を進める上で、利用者さん自身の欲望に合った内容で進めることがポイントになります。

欲望は以下の4つに分けられます。

1.獲得の欲望
例えば、「外を歩けるようになって買い物に出かけたい」

2.絆の欲望
例えば、「安定して歩けるようになって友人に会いに行きたい」

3.理解の欲望
例えば、「歩くとふらついてしまう原因を知りたい」、「ふらつきを軽減させる歩行補助具を試したい」

4.防御の欲望
例えば、「ふらついて転びたくない」、「家族の手を煩わせたくない」


訪問リハビリの利用者さんの欲望は、上記の4つのすべての欲望が存在することも考えられますが、強さや優先度は人それぞれになります。

セラピストが利用者さんに合わせた会話を進められるようになると、モチベーションを高めるだけでなく、信頼関係を深めることにもつながると思います。

是非、試してみてください!

利用者さんの本心を語ってもらうためのコミュニケーションアイディアについて、以前の記事で紹介しているので、以下の記事も読んでみてほしいです!



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