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私の長所

人にあだ名をつけることが得意です。

履歴書の自己PRに書いたこと、など無い。


損保時代の私は、沢山のあだ名を生み出していた。とんでもな相手(特に代理店様が多い)ほどカワイイあだ名をつける。
そうすることで相手への苦手意識が軽減される気がした。

同僚たちも面白がってくれ、
フロアに広がるギスギスした空気を、少しだけでも緩和できていたのではないかと自負してる。

私が退職すると決まった年度末、支店全体で行う納会的なものがあった。
ホテルの宴会場かなんかで。
他の地域へ異動になる人、退職する人たちが一人ずつステージの上へ。


支店への(空気的には支店長への)感謝の言葉を皆と同じく定形文のごとく私も述べた。

そして、送り出される我々は、所属支社の先輩や後輩からプレゼントと共に送る言葉をいただく。

この時、私は何を期待していたのだろう。
恐らく、7年間への労いだろう。


それは当たり前のように、定形文としてもらえるものと信じて疑ってもいなかった。

そして私の番。

「〇〇さんはあだ名を付けるのが上手かったですね。次の職場でもこの力を発揮して下さい!」


私は失望感で一杯になった。

内勤リーダーを担っていた年上女性。この方はお世辞にも社会性があるタイプではなかった。
彼女には悪気がないのはわかる。
むしろ定形文ではなく、気を利かせたつもりなのだ。

内輪の飲み会なら嬉しい言葉だったかもしれない。しかし私にとってその場は、最後のけじめの場だったのだ。

「私の7年間を肯定してもらいたかった」

今までの辛い思い出が走馬灯のように流れ、
私は涙を流し続けた。

名残惜しさではなく、悔しさの涙とは誰も気づかなかっただろう。気づくような会社なら辞めていない。

定形文は無難だが人を傷つけることはない、と知った。

そして、あだ名を付けるはスキルは履歴書には書けない。

それよりも私には長所が沢山あるから。

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