スポーツとジェンダー
2023年が明けた1月1日、東京・立川市で「元日女子相撲大会」が行われた。
小学生の「わんぱく相撲」を楽しんでいる子たちから、女子の競技相撲をやる中高生、大学生、社会人、その選手のお母さん、または過去に相撲をやっていた人など、様々な環境で、とにかく相撲を愛する女性たちが集まって、初めて開催された大会だ。大会運営も、その、相撲をやる女性たちが主にあたったという。
私の友達で、文筆家の金井真紀さんも参加して、金井さんたら、2回も不戦勝で、3回目は負けてしまったのに、なんと入賞。表彰状をもらっていたのはワハハハ笑ったけど、素人の金井さんが土俵に立ったその勇気だけでも表彰ものかも」。
でも、女子の相撲は1997年から行われている。最初は相撲をオリンピック競技にしたいという日本相撲連盟(日本相撲協会とは別のアマチュア競技団体)の思惑から始まって、当時の新聞は「一体誰がそんなものをやる?」と女子相撲を馬鹿にしていた。でも、女性たちが競技としての相撲を自分たちで育て、今や女子相撲は世界に広がった。そのあたりのことは、「世界のおすもうさん」という金井さんと一緒に作った本に書いた。
スポーツとジェンダーのことは最近はよく語られるようになった。中でもしかし、女性と相撲というのは、日本では大きく乖離していて、最初から大方の人は「女性が相撲なんてやるの?」と思っているだろう。でも、やるのだ、やる。世界では女子が相撲をやるのはあたりまえ。「女子だから相撲やるのおかしいと思う?」とか聞くと、あんた何言ってんの?って顔をされる。女子だろうと男子だろうと、相撲はスポーツとして愛好されている。
なぜ、女子が相撲をやるか? はぁ? あたりまえだ。だって相撲は面白いし、女子にこそ、実は向いてるスポーツに思う。女子相撲の選手のお母さんたちにも取材をしたが、「うちは息子も相撲をやっているが、だんぜん女子相撲の方が面白い」という声を何回も聞いた。女子の相撲は見ているだけでも圧倒的に面白い。何せ動きが早くて、次に何をしてくるかわからない、先の読めなさが圧倒的で、そこが女子の相撲の面白さ(のひとつ)。あと、ガッツすごい。みんな頭であたり、顔から落ちることをいとわない。ほんと、もう、たたかうガッツがすごいのだ。だけど、相撲はグーで殴ったりしない。基本アマチュアでは張り手などもなくて、殴らない格闘技として愛されている。
しかし、まだまだ女子相撲をやる環境は整っておらず、最近では京都の、その、本で私が取材していた女性選手たちがクラウドファンディングを立ち上げて、練習環境の整備を整えたいと訴えている。
ぜひ協力してあげてほしい。よく女性と相撲の問題となると、大相撲の土俵に女性が上がれない、女人禁制が言われるけど、ぶっちゃけ、相撲をやる女子選手たちは、大相撲という興行には興味なく、それよりも国体や高校総体に女子部を作ってほしいと願っている。私はいつか、女子のプロリーグが立ち上がることを願っている。
ところで、アルテイシアさんの新刊「自分も傷つきたくないけど、他人も傷つけたくないあなたへ」を読んだ。トートツのようだけど、つながってる。
アルさんのフェミニズム本はいつも大好きで、毎回いろいろ教わることだらけ。今回も、ジェンダー平等に賛成していますと言いながら配偶者を嫁とか家内とか呼んだりする方に「それ、ジェンダー平等に矛盾していますよ」と指摘すると、キョトンとされたりすることを。。。彼らには悪気はないけど知識もなく、その根底には知識を得るための努力はしない、「性差別は自分には関係ない」と他人事に思ってるからだと、指摘していて、膝パーカッション打ちまくった。
ほんとうにそうだ。ほんとうに、そう。賛成してるけど関心もない。他人事。でも、それじゃ、いつまでたっても何も変わらない。ほんとうにそうだよ~~~~~~と大きく法螺貝を吹きたい。
テニスの大坂なおみ選手が妊娠を発表したら、プロならもっと計画しろとかいう声を見た。リプロダクティヴ・ヘルス・ライツを学んでほしい。この言葉が世界に大きく出て来たのは1995年の「北京・世界女性会議」だ。一体それから何年たっているのだ? 学んでほしい。
知ることはすごい大事だ。知るための努力をすることも大事だ。私自身、ジェンダーのこと、まだまだ学び始めたばかり。スポーツでも政治でもふだんのくらしでも、どこにでもジェンダーの問題は大きく横たわつていて、居心地悪くさせたり、前に進むことをはばんだりする。そういうこと、大きな声で言っていきたい。私自身、もっともっと学んでいきたいと思う。