『ティ』もなかった
これまでに「『ジェ』はなかった(方言をのぞく)」と「『ディ』もなかった」というnoteを投稿しましたが、その流れで『ティ』もなかったというお話。
「ディ」がなかったわけですから、「ティ」もなかったことは想像できると思います。
(ここで「なかった」というのは、標準的な日本語の音声・音韻としては使われていなかった、という意味で、方言などは除きます。)
本来「ティ」でもおかしくないのに「チ」が使われている言葉(外来語など)、代表例は「チーム」(team)でしょうか。
ほかに、飲食店やホテルの従業員に渡す「心付け」である「チップ」(tip)、金属の一種の「チタン」(titan)などがあります。
しかし、現在では「ティ」という発音はかなり使われるようになっています。
「お茶」の意味の「ティー」(tea)や「10代」(狭い意味では13〜19歳)を表す「ティーン」(teen)などは普通に使われています。
それでも、「ティップ」よりは「チップ」、「ティタン」よりは「チタン」の方が言いやすい(発音しやすい)のは確かだと思います。
また、「ティ」が「チ」になっている固有名詞としては、アメリカの電機メーカー「ウェスチングハウス」(Westinghouse)などがあります。
本家の"Westinghouse"社は現存しませんが、現在は日本法人として「ウェスチングハウス・エレクトリック・ジャパン株式会社」があり、原子力関係の事業を行っているそうです。
一方、高級ブランドのCartie は「カルティエ」と表記しています。
かつては「カルチエ」と書くこともありましたが、「チエ」(「チ」「エ」)と書くと「チェ」(che)と区別がつきにくいという問題があります。
似た例で、パリの学生街 "Quartier latin"(「ラテン区」の意味)は、現在も「カルチエ・ラタン」と書くことが多いようです。
これも「カルチエ」ではなく「カルチェ」と発音されがちですね。