親子間の売買でも越境は調べておこう
うちの会社では親子(親族)の間での不動産取引を数多く手伝わせて
いただいているのですが、その際には細かく現在の不動産状況を
買い手様にご説明をいたします。
その際に注意をするのが、隣地(隣家)からの越境、反対にこちらから
越境しているものがないか、です。
というのも、この越境、意外に隣地(隣家)の所有者とトラブルになる
ことが多く、また、金融機関から冷たい対応がされることがあるからです。
なので、親子(親族)間での不動産取引では、えいやっーとやってしまう方
が多い中、「このような事が将来あるかもしれません」と説明し、必要であ
ればその対応策もサポートしていくのです。
では、どんな事がありうるのか。
私が話を聞いたトラブルは次のようなものです。
・親族から買った一戸建てに住みだしてしばらくしたら、その隣家から
「家を建て直す予定があるので越境している物を撤去して欲しい」
と申し出があった。そこで、撤去の見積もりを取ったところ
かかる費用は40万ー50万円とかなり高額。すぐには支払えないので、
待って欲しいと伝えたが、隣家からは親族とは口約束ではあるものの、
「家を建て直すときにはすぐ撤去する」と言明されていたとのこと。
親族はうろ覚えながら言ったようだが、では撤去費用を負担して欲しいと
お願いをしたが、そういったことを含めて安くしたので、買い手の方で
支払って欲しいの一点張り。そんなことなら最初から撤去費用を含めて
ローンを支払っておいた方が良かった・・・
このようなものです。もう1つあります。
・2~3年前に父親から買った家のローン金利を下げようと、金融機関に
借り換えの相談をしたところ、越境の解消が条件で、かつ隣地所有者から
「越境を解消したとの同意書が欲しい」と言われたのこと。
当たり前ですが多くの金融機関は、権利を侵す越境を嫌います。
そこで、さっそく費用をかけて越境を解消。
ただその後に隣家に同意書をもらいにいったのだが、一向に同意書に
サインをくれない。
理由を聞いたところ「前に何度もあなたのお父様に越境を解消して欲しい
とお願いをしたが、一向に取り合ってくれなかった」
「なので、私もこの件だけは協力はしない」と言われたとのことだった。
普段は懇意ではなくとも、小さい頃から知っている隣のおじさんに言われ
ショックなのと、その話を聞いた金融機関からは「それではローンは難し
いですね」と解決策を出してもらえず、二重にショックを受けたそうで
す。
結構、ハードなお話ですよね。
これらの話は不動産取引の業界あるあるなのですが、知らないと見過ごして
しまうことです。
そのためできれば、購入前に越境の存在を調べ、確認しておき
①そのままとする、②越境を解消する、③隣地(隣家)と同意書を
作成しておく、この3つの中からリスクを見据えて選択判断することが
必要となってきます。
また、このリスクに対応をした購入資金計画を立てておくことが
必要となるのです。
親子間での不動産取引の際には越境を確認しておきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?