この国が設定すべき遠隔診療の未来ビジョンについて
厚労省→中医協で出てきた遠隔診療への手当の方向性について。
大前提に、医療費削減の話が先行してしまい、テクノロジーは「医療費を大きく占める生活習慣病に効くはずだ」というロジックで無理やり組み立てようとし過ぎた。
結局、"遠隔診療の範囲"を自ら狭めていないか??
落とし所を探し過ぎて、その先がない落とし所に置いてしまったような。
そもそも、生活習慣病、喫煙や食べ過ぎ、本当にテクノロジーで解決しようとすべきものなのか?
その疾患罹患者については、まず医療費負担を上げれば良いだけではないのか?自己責任で負担しなさいと。
日本全国 津々浦々、健康診断と投薬と生活習慣指導していればいい、装置産業化している生活習慣病対策は、テクノロジーがなくても集約され、効率よく処理される、できる。定型化して計画立てられるのであれば、医師である必要もないのではないか?薬剤師や保健師でなぜダメなのか?
患者が多い生活習慣病や計画通りに診察や施術を進められる疾患対応に遠隔診療のテクノロジーを持ち込む意義はきわめて薄く、医療の本筋からズレていると思う。甘えるな、歩いて来なさいと。
逆に、患者の数が少なかったり、医療機関が少なかったり、急な対応で突発的に色々な疾患バリエーションが出てしまったり。
すなわち「需給がアンマッチになりやすいところ」でこそ、時間と空間を超えて、最適なリソースを集めるというテクノロジーを持ち込むべきだろう。
たとえば、
・通院が難しい難病、終末期の患者の診察
・特定疾患で拠点/専門医が少なく、かかりつけ医では対応しきれない診察支援
・救急など疾患を選べない多様なバリエーションによって、必要な専門リソースを集めなくてはいけない診察
・急性期と慢性期の病院間、病院と在宅医療での患者情報と状況の引き継ぎ
今やっている診察を、遠隔でやろうとするからおかしくなる。今やれていない診察を、患者のための医療を、社会に必要な医療を、遠隔でこそやれるようにすべきである。
この国のテクノロジーの使いどころのズレを、この領域の皆に気付いてもらう必要がある。
"遠隔"とは、物理的な距離だけではなく、過去・現在・未来の時間軸、その軸の上で離れた"時点の距離"を吸収するテクノロジー、という意味で捉えられている人はあまりに少ない。
それはたとえば症例が物理的に散ってしまい、希薄で希少な治療例を、広くAIなりで国境さえ時間軸さえ超え、束ね、次につなげる。そういう実用的なテクノロジー。
ICT医療と遠隔医療のビジョンの違いはそこで。
今年は、本当の価値を、現場で実証してみせる。
#ICT医療
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