第16話 君、不利だと思わない?
夜マンションを友人と歩いていた。私はそこのマンションの子どもとすれ違った時に声を掛けた。
「君、不利だとは思わない?」
子どもはとっさにと聞き返してきた。
「何で?」
「だって子どもだよ。」
「そんなことないよ。」
その子は自信たっぷりに話す。
「だって君、背が小さいよ。」
「大丈夫だよ、私お兄ちゃんいるもん。」
「今はいないじゃん。」
「いるよ。」
その意味は良くわからなかったし、何を勝負しているのかもわからなかったが、近くに私の友人もいるはずで、その子より断然有利だった。
「じゃあ、君、一人になってよ。」
その子は言った。確かにその子一人に対して私ら二人では不釣り合いだと思った。
私は階段をのぼり一人になることにした。
「じゃあ階段降りるよ。」
連れの友人は降りて行った。
「目をつぶって。」
そう言うと、その子どもは私の後ろにまわりこみ私に抱きついた。
「目を開けて。」
目を開けるとどこかの屋上にいた。葉っぱが見えるけれど、恐くてそこがどこだかも見渡せない。
「どこだよー。」
半泣きの声で私は言う。
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